すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【MMT】消費税なんて欠陥しかない

2020-02-09 19:03:04 | 政治経済
所得税は過熱したインフレを抑制する自動安定化装置になる

 MMTについてふれた記事を過去に2本書いた。だが、まだまだ書き足りないことがたくさんある。そもそもMMTをブログのたかが1エントリーで書き切るなんて不可能だ。ゆえにしかたないのだが、とはいえ気になってしかたない。

 2本の記事を書き終えたいま、「あそこが足りない。ココも足りない。緊縮派にツッコまれるんじゃないか?」。そう思うと不安で夜も眠れない(どないやねん)。で、過去記事で泣く泣く省略したポイントを今回書いておくことにした。

 まず国債を発行して財政支出できるなら、無税国家が作れるんじゃないか? という人がいる。まあ理論的には可能だが、とはいえ税には税の役割がある。例えば累進性を持つ所得税は、過熱したインフレを抑制する自動安定化装置になってくれるのだ。

 景気がよくなり儲かった人は、そのぶん所得税を多く取られる。つまり政府が税という形で世の中からお金を抜き取り、過熱したインフレをさますわけだ。こんなふうに累進性を持つ税があれば、自動的に景気を調節してくれてインフレが嵩じないよう保ってくれる。

一律に課税し消費をジャマする消費税

 その意味では累進性がなく、消費に一律に課税する消費税は欠陥だらけの税なんだ。経済の命である「消費」という貴重なものに課税することで、人々が消費する意欲をなくさせてしまう。

 しかも消費税には、累進性がある所得税のような「富を再分配する機能」もない。つまり所得税は富める者からお金を取り、財政支出という形で所得の低い者に再分配してくれる。

 唯一、消費税に意味があるのは安定財源だって点だ。だが、そもそも国債を発行して財源を作れるんだから、消費税なんて必要ない。「安定財源だ」などとありがたがるのは、人々からお金をむしり取って緊縮財政を進めたい財務省だけだ。

税金を納められるからお金には価値がある

 また一方、税はお金の社会的地位を保証してもいる。

 つまりお金で税金を納められることによって、お金の価値が担保されるのだ。お金で税金を払えるのだから、人びとにとってお金はありがたい。税金を払えるからこそ国民はこぞってお金を所有しようとする。だからこそお金には価値があるのだ、って話だ。

 最後に財政支出の意義について。例えば90年代の日本みたいに、景気浮揚策として財政出動して「空席ばかりの市民ホール」や「飛行機が着陸できる農道」を作ったりするのは、イマジネーションの欠如以外の何物でもない。

 いまの日本なら深刻化する社会保障に思い切って財政支出できるし、土木工事をするにしても本当に人々の役に立つ事業を考えるなんてたやすい。支出を渋って止まっている、老朽化して劣化の激しい公共インフラへの投資などいくらでも案は考えられる。

 現にいま、崖やら道路やらが不意に崩れたりしているではないか? 真の意味でのワイズ・スペンディング、国土強靭化が必要である。

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人間はAIに仕事を奪われるか?

2020-02-06 17:22:18 | 政治経済
働かなくてもいい時代が来る

 産業革命の時もそうだったろうし、パソコンが登場したときもそうだった。世の中でとんでもない技術革新が起こったときには、決まって必ず「○○に仕事を奪われる」って話が出るものだ。例えば「パソコンに仕事を奪われる」というふうに。

 で、いま俄かに言われているのは、もしAIが進化したときには「人間はAIに仕事を奪われるのではないか?」ということだ。

 結論から先に言えば、(言い方を変えれば)「人間がAIに仕事を譲って楽隠居する時代が来る」というお話だ。

 というか日本はむしろ少子高齢化で働き手に困ってるんだから、AIとロボットが進出してきてくれるのは逆にありがたい。生産性も上がって一石二鳥である。

 えっ? そんなこと言うけど働かなくちゃ生きていけないじゃないか? と言うなかれ。これは未来の話だ。ちなみに人間は別に働かなくても社会は回る。ベーシックインカム(BI)でやりくりすればいい。

 その財源はどうするのか、って? そりゃ政府が国債を発行すればいい。ちなみに家計や企業とちがい、政府は別に借金を返さなくてもいいのだ。え、めちゃくちゃじゃないか、って?

 いや例えば最近、著書『MMTとは何か』(角川新書)を出した経済評論家の島倉原氏によれば、日本政府の借金は明治時代とくらべ「約4000万倍になっている」という。つまり政府の借金というのは「そういうもの」(返さなくていい)のである。

 具体的には、政府は国債の償還時に「借り換え」をし、基本的にはずっと借りっぱなしでいいのだ。

 全国債の半分はいま日本銀行が保有しているから、利払いもしなくていい。日銀は政府の子会社で、日本政府とは「統合政府」の関係だ。親子みたいなものである。だから日銀が国債から得た利息も、国庫返納金として日銀は政府に返す決まりになっている。

 そもそも政府の借金(国債)は、日銀との統合政府内で「実質チャラ」なのだ。親子の関係なんだからそういうものである。自国通貨建て国債がデフォルトすることはない。日本は自国通貨発行権を持っているのだから、そもそも破綻のしようがない。

人間は仕事をしないと堕落するか?

 さて、財源についてはそういうことだ。だから仕事はAIにまかせて、人間は安心してベーシックインカムで生活すればいい。もちろん社会保障費はベーシックインカムに含めてもいいし、あるいは別途、国債を発行してもいい。

 ちなみに人間がベーシックインカムで得たお金は、AIが運営する事業やサービスに支払われる。だから人間が働いていた当時と同様、貨幣は世の中をうまく循環する。

 え? 働かないと堕落するんじゃないか、って?

 いやいまどきはSNSが行き渡っているから、仕事なんかしなくたって自分の興味のあることをSNSで表現すればいい。そうすれば「やってる感」も得られるし、仕事をやるのと同等の充実感も得られる。

 あるいはAさんがSNSで発表したアイディアが具体化し、AIがそれを応用して世の中に新事業が生まれるかもしれない。もちろんそのときAさんは、「あれはオレが考えたんだ」と相当な充実感を手にできる。これは働いてるのと変わりない。

 ただしこの話には一点、注意点がある。

 政府が国債を発行してベーシックインカムやればいいんだけど、思い切った財政出動が許される範囲はインフレ率2〜4%になるまでの話なんだ。(とはいえデフレの日本はめったなことではインフレにはならない)

 インフレ率がそれを超えると(というか、めったに超えないけど)、インフレ抑制策を取る必要がある。例えば財政支出を削減したり、増税や金融引き締め、生産性の向上、規制緩和や自由化などを行ないインフレを抑える。

 まあ仕事をAIに奪われるといっても、創造性や感性を生かした分野は人間の力も必要だ。だから完全に仕事を奪われるってことはないとは思うけどね。ちゃんちゃん。

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MMT(現代貨幣理論)と出会い人生が変わった

2020-02-04 16:51:41 | 政治経済
あやしい宗教じゃない。おカネの正体を解き明かす理論だ

 ネットでたまたまMMT(現代貨幣理論)なるものを知り、あれこれ検索するうち「これはとんでもないモノだぞ」と気づいた。MMTとは、おカネの仕組みは「本当はこうだ」と解説する理論だ。これがもうトンデモなくて、今までお金は「こうだ」と思っていた古い価値観がことごとく打ち砕かれ、否定されて行く。いやもう、すごいのなんのって。

 まずMMTは、お金とは「モノ」じゃなく「情報だ」と説く。つまりお金は「金」(ゴールド)のようなモノではなく、情報=「お金は債務と債権の記録だ」という意味だ。この基本に沿って、従来の「お金像」が次々に翻されて行く。

 最大のクライマックスは、政府の借金についてだ。巷間、「国の借金は1000兆円。返済しないと日本は潰れる」と言われている。財務省が音頭を取り、御用学者と御用マスコミがしきりにそう喧伝している。だが実はこれ、「政府と家計」を意図的に混同させた財務省によるまったくのデマなのだ。

 家計(一般家庭)は借金を返すのが当たり前だが、こと「政府」となるとまったく違う話になる。

 正確には「政府の借金は1000兆円あるが、返す必要はまったくない」のだ。しかも日本は借金どころか、むしろ世界最大の対外債権国であり、世界一の『お金持ち国家』なのである。つまり財務省の言い分はまったくのデマなわけだ。

政府が財政出動すればデフレ不況から脱却できる

 政府は国債を発行してお金を借り、国民のために公共事業をやったりする。で、この借金がいまや1100兆円になっているわけ。だがこれは国債の償還時に「借り換え」してまた借りればいい。わかりやすくいえば、返してはまた借りる、の繰り返しでいいわけだ。

 つまり借金はないのと同じ。しかも全国債の半分は政府の子会社である日本銀行が保有しているから、「統合政府」内で実質、チャラなんだな。

 そもそも自国通貨建て国債はデフォルトしない。日本政府は自国通貨発行権を持っているのだから、破綻のしようがないのだ。

 とすれば政府は国債を発行して財政支出を拡大し、それによって貨幣供給量を増やし経済を刺激してデフレ不況からの脱却を目指せる。日本は20年以上続く暗黒のデフレ不況ともおサラバだ。ただし気をつけるべきは過度のインフレ化で、一般には「インフレ率2〜4%になるまでの範囲で財政出動を続けるべし」というのがセオリーだ。

 さらにすごい新事実は、政府は国債を発行して財政支出すればいいから、「税は財源じゃない」という点だ。これまでは政府が何か政策をやろうとするたびに、「財源はどうするんだ?」という永遠のテーマに悩まされた。いつも財源に付きまとわれた。だがいまやMMTによって、自国通貨発行権を持つ国の政府は「財源問題から解放された」わけである。

「反緊縮」を合言葉に政権交代をめざせ

 もちろん内容が内容だけに世間の反発はすごく、「トンデモ理論だ」との批判が猛然と渦巻く。ところがこれら否定派は揃って「お金の意味」を正確に理解しておらず、まったく見当はずれの攻撃をMMTに加えているだけなんだ。

 しかもMMT攻撃の先鋒に立っているのが、そんな理論を広められたら困る財務省と主流派経済学の一派だってのが笑える。「倹約がモットー」の財務省からすれば、そんな「大盤振る舞い」な理論は敵以外の何物でもないわけだ。

 そしてもう一点、MMTの「政治への影響力が見逃せない」のにも注目だ。ちなみに財務省をトップとする倹約派は「緊縮派」と呼ばれる。これに対しMMTを信奉する人々は「反緊縮派」と呼ばれる。つまり反緊縮派は、「政府は必要な財政支出をし、需要を伸ばして経済を活性化させいい国を作ろう」というグループだ。

 で、すごいのはこの「緊縮 vs 反緊縮」の流れは、従来の左翼・右翼のような左右の別はまったく関係ない点だ。つまり左派と右派とが「反緊縮」の一点で大同団結して政権交代を目指せるところだ。左右の別がなくなれば、そのぶん「大きなかたまり」を作りやすい。すなわち反緊縮をキーワードに勢力を結集し、まったく新しい政権作りを狙えるわけだ。

 いやはや、政治の世界がすっかり熱くなってきた。

 おもしろいねぇ。この動きは。

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