コレクティブ・カウンターが炸裂する
プレミアリーグ第7節で現地時間9月30日、ウルヴァーハンプトンとマンチェスター・シティが対戦した。ホームのウルブスが2-1で勝利した。シティは開幕からの連勝が6で止まった。
彼らはシティをリスペクトし、5-2-3の陣形でブロック守備をした。だがそれだけでなく、チャンスになれば両WBを上げて3-4-3に変化し、積極的にビルドアップして攻撃に出た。要所で敵を剥がす個の力がある選手が目立った。
アタッカーであるペドロ・ネトによる単独ドリブル突破のほか、複数の選手が速いぺースでパスを繋いで前に飛び出すコレクティブ・カウンターが利いていた。
彼らはただ守るだけでなく攻撃への意欲が強く、好機と見れば少ないタッチ数でパスを繰り出し敵陣へ殺到した。その結果、2点をもぎ取り王者シティを陥落させた。
ネトが右サイドを食い破る
立ち上がりの13分。中盤でのシティのポゼッションに対し、ウルブスがプレスをかけてボールを奪い取る。そしてネトが右サイドを食い破った。
彼は単独ドリブルで縦を突破しボックスへ侵入。ゴール右脇で味方にマイナスの折り返しを入れる。するとボールは足を出したシティのDFルベン・ディアスに当たってゴールに飛び込む。オウンゴールでウルブスが先制だ。
彼らの核弾頭であるネトは
第5節のリバプール戦でも大活躍し、すんでのところでレッズを倒す原動力になっていた。レッズ戦でも彼はサイドを蹂躙し、きわどいクロスを何度も入れ続けた。
さて、その後はシティがボールを保持し、彼らの前半のポゼッション率はなんと69%に上った。だがウルブスもスキを突き効率よくカウンターをかける。
44分にもネトは右サイドをドリブルで攻め上がり、呼応した味方としばらく敵陣でポゼッションした。かくて前半終了。リードしたホームチームの思惑通りの展開である。
アルバレスがFKを決めシティが同点に
試合は後半に入り50分だった。ウルブスはラインを上げて中盤~前線でポゼッションした。続く52分にはロングボールを入れ、受けたネトが右サイドでキープ。そこを基点に彼らは敵陣でボールを保持しパスワークを見せた。
彼らはワン~ツータッチでテンポよくパスを繋ぐ。いつも縦に速いカウンターをかけるというより中盤でのポゼッションも見せ、1点リードしている状況で上手に時間を消費した。
一方、58分にはシティが反撃に出る。FKのチャンスだ。ボックスのすぐ外から、FWフリアン・アルバレスが右足でゴール左上スミに直接決めた。同点だ。GKジョゼ・サは片手でボールを手に当てたがそのまま入った。
だが追いつかれてもウルブスのファイティング・スピリットは衰えない。左WBラヤン・アイトヌーリはマイボールになればオーバーラップし、コレクティブ・カウンターの原動力になる。また65分にはシティの攻撃を受けるが、DFクレイグ・ドーソンがシュートを掻き出し必死に守った。
そして66分だ。ウルブスの右WBネルソン・セメドが攻撃参加する。彼は鋭いクロスを入れ、そのこぼれ球をFWマテウス・クーニャがゴール前で落とす。これに左から迫った韓国代表FWファン・ヒチャンが、ゴール右へしっかり押し込んだ。2-1。再び鼻の差をつけた。
70分頃から狼たちはうまく時間を使った
シティが左サイドを攻めると、彼らは常に2枚で慎重に守備対応していた。そんなふうに耐えた69分には、またウルブスがカウンターに入りかける。だが途中でスピードを緩めてポゼッションし、うまく時間を使う選択をする。自分たちがリードしているからだ。
83分にはシティの右SBカイル・ウォーカーの地を這うようなミドルが炸裂。一瞬、ドキリとしたがGKサが捕球した。そしてタイムアップ。黄色い狼たちが攻守に躍動するのに対し、シティの怪物ハーランドはまったく消えていたのが印象的だった。
シティは出場停止中のスペイン代表MFロドリの不在が大きかったとの声もあるが、というより地力はあるウルブスの踏ん張りが目を引いたゲームだった。