リオ本番のシミュレーション
本大会中、いちばんまとまりがよかった試合だった。同時に前後半で意図的に戦い方を変え、リオ本番でのシミュレーションにも役立ったゲームといえるだろう。
前半の日本はブロックを低く構え、相手を待ち受けるスタイルで来た。「いかにボールを持たずに勝つか?」というサッカーだ。必然的に支配率はイングランドの方が高くなるが、そんな中でも野津田と南野がそれぞれ決定的な形でシュートまで行った。前半のあの少ないチャンスを確実に決めて勝つのが本来の手倉森スタイルだろう。
かたや後半は中盤にアンカーを置く4-1-2-3も試しながら、ブロックを上げて攻勢に出た。すると日本が主導権を握り、イングランドが受けて立つ形になった。あの後半で攻め切れなかったのが今の日本の現状だ。
今大会、戦術を具現化する力など足りない点は目立ったが、それでもミスをなくし、チャンスに得点さえできていれば日本は(デキは悪いながら)全勝していてもおかしくはなかった。それくらい勝負というものはどっちに転ぶかわからないものだ。
一方、大会を通じて選手別では、アグレッシヴにハードワークができるMF喜田と、ミドルが決まれば非常に魅力的なMF野津田、ダイナミックで強さがあるFW富樫が目についた。富樫は強い体幹でしっかりボールキープでき、プレスバックもサボらない。3人とも手倉森監督が考える泥臭いサッカーにマッチした選手といえるだろう。
マナウスでは前半の「相手に持たせるサッカー」をしたい
さて、では日本はリオ本番にどんなスタイルで臨むべきか? 日本が第2戦までを戦う高温多湿なアマゾンのマナウスは、平均気温32度以上、湿度も軽く80%を越える。運動量の多いサッカーをするには厳しい場所だ。加えて対戦相手との力関係を考えても、特にマナウスではこの日の前半に見せた「相手にボールを持たせるサッカー」で行くのがベターだろう。
全体にゾーンを低く敷き、相手にボールを持たせながら、敵の一瞬の綻びを見逃さず一気に攻めるしぶといサッカーをしたい。
もちろん仮にリードされて一定の時間が経てば、この日の後半のようにブロックを上げボールを握って畳み掛けるスタイルに切り替える。その意味では結果が出ないながらも、それなりに本番のシミュレーションができた大会だっといえるだろう。
残るはフィニッシュにおける「個の力」、つまり決定力だ。一朝一夕には改善できない問題だが、思い出すべきは少ないチャンスをガンガン決めまくったあのアジア最終予選である。戦力自体は「U-23史上最弱」といわれながらも、なぜ日本は最終予選であれほどファインゴールを決め続けられたのか? カギはメンタルにある。
人間は、「チャンスだ!」と力むとシュートをふかす。逆に心の余裕があれば氷の心臓で冷静に決め切ることができる。そんな決定的な「メンタル力」が出たのがあの最終予選だった。すべてはチームをあやつる手倉森監督のモチベーターとしての手腕だろう。あの勝負師は選手の心を沸き立たせ、持てる力を2倍、3倍にする術を知っている。私はそこに期待している。
本大会中、いちばんまとまりがよかった試合だった。同時に前後半で意図的に戦い方を変え、リオ本番でのシミュレーションにも役立ったゲームといえるだろう。
前半の日本はブロックを低く構え、相手を待ち受けるスタイルで来た。「いかにボールを持たずに勝つか?」というサッカーだ。必然的に支配率はイングランドの方が高くなるが、そんな中でも野津田と南野がそれぞれ決定的な形でシュートまで行った。前半のあの少ないチャンスを確実に決めて勝つのが本来の手倉森スタイルだろう。
かたや後半は中盤にアンカーを置く4-1-2-3も試しながら、ブロックを上げて攻勢に出た。すると日本が主導権を握り、イングランドが受けて立つ形になった。あの後半で攻め切れなかったのが今の日本の現状だ。
今大会、戦術を具現化する力など足りない点は目立ったが、それでもミスをなくし、チャンスに得点さえできていれば日本は(デキは悪いながら)全勝していてもおかしくはなかった。それくらい勝負というものはどっちに転ぶかわからないものだ。
一方、大会を通じて選手別では、アグレッシヴにハードワークができるMF喜田と、ミドルが決まれば非常に魅力的なMF野津田、ダイナミックで強さがあるFW富樫が目についた。富樫は強い体幹でしっかりボールキープでき、プレスバックもサボらない。3人とも手倉森監督が考える泥臭いサッカーにマッチした選手といえるだろう。
マナウスでは前半の「相手に持たせるサッカー」をしたい
さて、では日本はリオ本番にどんなスタイルで臨むべきか? 日本が第2戦までを戦う高温多湿なアマゾンのマナウスは、平均気温32度以上、湿度も軽く80%を越える。運動量の多いサッカーをするには厳しい場所だ。加えて対戦相手との力関係を考えても、特にマナウスではこの日の前半に見せた「相手にボールを持たせるサッカー」で行くのがベターだろう。
全体にゾーンを低く敷き、相手にボールを持たせながら、敵の一瞬の綻びを見逃さず一気に攻めるしぶといサッカーをしたい。
もちろん仮にリードされて一定の時間が経てば、この日の後半のようにブロックを上げボールを握って畳み掛けるスタイルに切り替える。その意味では結果が出ないながらも、それなりに本番のシミュレーションができた大会だっといえるだろう。
残るはフィニッシュにおける「個の力」、つまり決定力だ。一朝一夕には改善できない問題だが、思い出すべきは少ないチャンスをガンガン決めまくったあのアジア最終予選である。戦力自体は「U-23史上最弱」といわれながらも、なぜ日本は最終予選であれほどファインゴールを決め続けられたのか? カギはメンタルにある。
人間は、「チャンスだ!」と力むとシュートをふかす。逆に心の余裕があれば氷の心臓で冷静に決め切ることができる。そんな決定的な「メンタル力」が出たのがあの最終予選だった。すべてはチームをあやつる手倉森監督のモチベーターとしての手腕だろう。あの勝負師は選手の心を沸き立たせ、持てる力を2倍、3倍にする術を知っている。私はそこに期待している。