柿は色づき、葉も枯れてきた。
それで試しに甘柿を2個ほど収穫した。
田舎暮らしを始めたころとっても不思議だったのは集落の人が柿を収穫しないこと。
たいていの家には柿の木がある。
でももっぱらカラスの餌。
そのうちカラスさえも食べ飽きて、ただ熟して落ちていく。
ほとんどの家では干し柿にもしない。
それがとっても不思議だった。
でも今では我が家でもほとんど収穫しない。
甘柿が5~6本、渋柿が10数本あるけど、収穫するのはそのうち10本もない。
甘柿のうち売り物になる柿がなるのは2~3本。
あとは昔、昔の、漫画昔話に出てくるような昔懐かしい小さな小さな柿。
渋柿もそう、立派な実がなるのは3~5本。
渋抜きしてそのまま食べられる大きな実をつけるのは2本。
とってもいい干し柿になるのは数本。
あとはせいぜい正月の餅飾りになるほかないような小さな柿。
というわけで今では我が家でもほとんど収穫していない。
そこでせめて秋の風情、
柿食えば鐘がなるなり法隆寺
夕方になるとカラスが山に帰っていく、
そこに寺の鐘の音が、「ご~~~ん・・・」
なんて期待したいけど、
里山の風情がここに来た時にはもう、なくなっていた。
寺は鐘をつかなくなっていた。
そのうち個々の氏寺も廃寺になった。
「か~~~か~~~か~~~」
「ご~~~ん」
こんな里山の風情はもうここでは漫画昔話の世界。
今年もまた柿の実が侘しく実り、侘しく熟し、侘しく落ちていくのだろう。