
窓外で何か気配を感じたのでしょう
私の膝の上から窓の近くへ跳んでいった。
日暮てカーテンを引いている為、何も見えてはいないのだが
戸外の近くでウウ~ッと猫の声 雄同士なのか、雌同士なのか
真剣そのものだ、人間も動物も恋には命がけ。

実はとらちゃんは、9年前の5月に5匹の子供を初産して
見事育てたのである。子猫は夏にはそれぞれ他家に貰われていった。
その秋にまた懐妊しそうなので、避妊手術をしてもらった。
それ以来、恋の季節が来ても血相を変えることは
ほとんど無くなった。
しかしである、本能があってか尋常で無い他の猫の声を聞くと
耳をぴっと立て大きな円い目で、梟そっくりの顔になっているのには
私も同情的になってしまった。
猫は彼も彼女も、手術後は中性のようで穏やかな生涯だが
生命の煌きの躍動感が萎んでしまう。
それで、同情なのだ。





でも、とらちゃんは若い時に一度出産して
5匹も上手に育てたのだから、そして
その様子をつぶさに私達に見せてくれたのだから
今思っても、その子育ては本当に素晴らしかったよ。
幼い顔のとらちゃんが頼もしい母親の顔に変わったものね。
