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最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

グルダとアバド

2025年02月23日 23時56分00秒 | モーツァルト
寒い毎日が続きますね。過日の朝日新聞から。「さしたる成功も収めていないコメディアン」と呼び、「勝てる見込みのない。始める必要もなかった戦争に、米国を説き伏せて3500億ドルも投じさせた」。とある国のえらい人のSNSへの投稿らしいですが、内容はともかくも、ここでもまたSNS。ある知事さんは記者会見で「SNSによる心ない誹謗中傷は決して許されない」と25回以上繰り返したそうです。SNSは、実に恐いですね。なんともやりきれませんねえ。

そんなこんなで、今回はモーツァルトであります。フリードリヒ・グルダとクラウディオ・アバドの指揮するVPOと録音したピアノ協奏曲です。この両者による演奏は、1974年9月に録音された第20,21番と、1975年5月の第25,27番と四曲が残されています。グルダはこれ以前にスワロフスキーとの第21,27番や、アーノンクールとの第23,26番があり、アバドも、アルゲリッチやピレシュとの演奏を残していますねえ。今回は第20番に焦点をあてます。

このグルダとアバドの演奏は、いろんなCDで発売されていますが、私は以前に三宮にあった、ミスタージャケットというお店で買ったDGからの廉価盤で持っています。確か1989年のモーツァルト没後200年のときに発売された「Mozart Meisterwerke」というシリーズの1枚。安かったんですね。2000円ほどでDGのモーツァルトの名盤が25枚ほど出ていて、かなりの枚数を買いました。当時は一枚3000円ほどしていたので、安かったのが嬉しかったのですね。懐かしいですねえ。

この演奏、どうもアバドの評判が悪いのです。以前にグルダの『レコード芸術』でのインタビューで「1974年の20&21番の録音の時のアバドは素晴らしかったが、翌年の25&27番では、イマイチ退屈になってしまった」と述べています。この後半の評がたいそう衝撃的でその影響を受けてか、世評では、グルダのピアノは素晴らしいが、アバドがだめだ、が多く聞かれるようになったのかな、と思います。しかし、世評はさておき、このアバドの演奏は、私は好きです。そもそもVPOがモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏するということは、実演ではあるだろうと思いますが、CDで聴けるとしたら、ベームの、ポリーニとの19,21番や、バックハウスとの27番などを筆頭にバーンスタイン、プレヴィンなどなどしか思い浮かびませんでした。特に、ベームの演奏は、とてもVPOがよかったですよね。このアバドとVPOも私はとても素晴らしい演奏、と思います。やはりVPOってたいしたオケですねえ。先述のように、モーツァルトのピアノ協奏曲ではそれほどこのオケの演奏を聴かないので、特に新鮮な印象が私にはあります。その点からすると、グルダのピアノと演奏するのは、やはりVPOクラスのオケでないと、と実感させてくれますね。

さて、まずグルダのピアノであります。まずピアノの音色がとても華麗であります。そして華がありますねえ。そして、表情や表現、テンポ、強弱に至るまで、実に変幻自在のピアノ。聴いていると、この演奏には夢中にさせられますねえ。細部に至るまで、とても緻密に考え抜かれたというよりも、即興的に演奏を構築していくように感じさせてくれるのが、このグルダの凄みなんでしょうねえ。これほど聴いていて夢中になるピアノもそうそうないな、と実感します。

そしてアバドとVPOですが、グルダのピアノに匹敵するくらいの演奏を展開しています。まずはVPOがやはり美しい。弦のしなやかで柔らかい響き、木管も惚れ惚れするような音色。これだけの演奏を弾き出しているアバドも名人芸と言わざるを言えませんねえ。そしてグルダからの霊感のようなものもあるんですかねえ。立派です。しかし、そんなVPOの演奏よりも、耳を惹きつけるのがグルダのピアノなんですから…。

第一楽章は、とても大胆で剛輝。ピアノもオケもどんどん表現が広がっていき、こころが踊らされる。中でも秀逸の頂点はカデンツァ。とても深い表現でモーツァルトが心に染み込んできます。そのあとの第二楽章。ここでもグルダのピアノはとても美しい。それにVPOの美音が絡み、極上のモーツァルト。グルダのピアノ、大胆に歌う。そして消えるような儚さ。魂が吸い取られていくようです。第3楽章。これまでの二つの楽章を受けて、それをまとめるような展開に相応しい演奏。最後まで息が抜けません。

さてさて、いろんな課題があるSNSですが、このブログもSNSですねえ。しっかりとした自覚と責任ある言動が大切であります。妄言多謝。
(DG 429 811-2 Mozart Meisterwerke)

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