政治家などが問題が起きて責任を取ることを要求されたときに、この職を続けて頑張ることが責任をとること、言われることがよくあります。政治家だけに許された?この対応。どこかの知事さんもこれかと思ったら、どうも自分は悪いことはしていない、また今回のことは知事を辞職しなければならないことは思っていない、とのこと。先週から少し潮目が変わって来て、この人を支持する意見も聞かれるようになりました。11月の知事選に向けて、県議会と県民には、健全な民主主義が維持できるかが問われることになりますねえ。ほんと。
それはさておき、前回『コシファントゥッテ』を取り上げましたが、今回はこの歌劇を映像で見るときに、私が以前から見ている舞台についてであります。それは、2002年9月1日にベルリン国立歌劇場での公演。かなり前にNHKBSで放送されたもの。「ドリス・デーリエの新演出による《コジ》が衝撃のデビュー。音楽監督バレンボイムの推進力に富む明快なバトンのもと、歌唱演技に若手実力派歌手を迎え、モーツァルトの傑作オペラがコミカルにそして艶やかにフラワー世代のラヴ・コメディーとして甦ります」です。
出演は、ドロテア・レッシュマン(フィオルディリージ)、カタリーナ・カンマーローアー(ドラベッラ)、ダニエラ・ブルエラ(デスピーナ)ヴェルナー・ギューラ(フェルランド)、ハンノ・ミューラー=ブラッハマン(グリエルモ)、ローマン・トレーケル(ドン・アルフォンゾ)そして、ダニエル・バレンボイムの指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団と合唱団であります。
まず、舞台設定は現代で1960年代のよう。空港での三人の男が恋愛談義。そして姉妹の家に移り、二人の男は海外出張。代わりにヒッピー風に変装した男二人が登場、となる。まず、これまでの演出だと、ロココ風の貴族の姉妹と軍人の男ふたり。これでは見る気にならないですねえ。近年は、現代を舞台にした演出が多いのは嬉しい。たた、これではマリファナでも吸ってそうな若者がたくさん出て来ますがね。そして、お話がおもしろいのです。それは出演者の演技と演出の巧さによるところが大きい。これにモーツァルトの音楽が加われば、もう退屈することなしです。
まず、変装前後でガラッと雰囲気の変わった男二人ですが、その変化が実におもしろい。生真面目なサラリーマンから、長髪のヒッピー兄ちゃんに。これはあの姉妹でなくても騙されるかってところ。ギューラのマジメで丁寧な歌唱、第21曲の「助けてくれそよ風」は、美声を駆使して心が洗われるようでした。第27曲のカヴァティーナでドラベラの心変わりを知った悔しさを歌う悲しみは大いに共感できました・ブラッハマンのはじけた様子は、とても楽しいがやはり辛いかな。第26曲のアリアで自分に靡いたドラベッラへの怒りで、「女はみんなひどい仕打ちをするものだ」と言って、客席の女性を懐中電灯で照らし廻るあたいは、おもしろかったですね。
一方、姉妹の方もフィオルディリージがグリエルモへの愛を守ろうとする健気さと、これに対して、簡単に心変わりするドラベッラの対比がいいです。グリエルモの心を許したドラベッラは、その背信ともいえる行為にもかかわらず、その開放的な性格ゆえか、違和感がそれほどなく、自身の行為を正当化するように歌う第28曲のアリアは、おかしな説得力がありました。そのときにオーケストラピットを囲むように設定された舞台で、指揮者バレンボイムに語りかけ、それにバレンボイムも応じる一幕があり、これも楽しかったですねえ。これに対して、フィオルディリージは第25曲での心移りを押さえ込もうとする苦悩のロンドと、第29曲でフェランドに心ならずも落ちていく悲喜の極みのレッシュマンの絶唱と表情は、目が釘付けになりましたねえ。やはり、このレッシュマンの歌と演技は実によかったです。しかし、この姉妹が心変わりする場面は、ともに迫真の演技で、妖艶さも加えて本当に素晴らしかったのであります。
私は、第二幕が好きなので、そっちの方ばかりの言及になりましたが、もちろん第一幕あっての第二幕でした。またデスピーナとアルフォンゾもよかったのですが、この4人の方に目と耳が行ってしまいました。あしからずであります(笑)。
兵庫県知事のことはさておき、今季のペナントレースもジャイアンツとホークスの優勝で終わりました。今年もマリーンズだめでした。いつになったら…。
(TDK TDBA0038 2004年)
それはさておき、前回『コシファントゥッテ』を取り上げましたが、今回はこの歌劇を映像で見るときに、私が以前から見ている舞台についてであります。それは、2002年9月1日にベルリン国立歌劇場での公演。かなり前にNHKBSで放送されたもの。「ドリス・デーリエの新演出による《コジ》が衝撃のデビュー。音楽監督バレンボイムの推進力に富む明快なバトンのもと、歌唱演技に若手実力派歌手を迎え、モーツァルトの傑作オペラがコミカルにそして艶やかにフラワー世代のラヴ・コメディーとして甦ります」です。
出演は、ドロテア・レッシュマン(フィオルディリージ)、カタリーナ・カンマーローアー(ドラベッラ)、ダニエラ・ブルエラ(デスピーナ)ヴェルナー・ギューラ(フェルランド)、ハンノ・ミューラー=ブラッハマン(グリエルモ)、ローマン・トレーケル(ドン・アルフォンゾ)そして、ダニエル・バレンボイムの指揮、ベルリン国立歌劇場管弦楽団と合唱団であります。
まず、舞台設定は現代で1960年代のよう。空港での三人の男が恋愛談義。そして姉妹の家に移り、二人の男は海外出張。代わりにヒッピー風に変装した男二人が登場、となる。まず、これまでの演出だと、ロココ風の貴族の姉妹と軍人の男ふたり。これでは見る気にならないですねえ。近年は、現代を舞台にした演出が多いのは嬉しい。たた、これではマリファナでも吸ってそうな若者がたくさん出て来ますがね。そして、お話がおもしろいのです。それは出演者の演技と演出の巧さによるところが大きい。これにモーツァルトの音楽が加われば、もう退屈することなしです。
まず、変装前後でガラッと雰囲気の変わった男二人ですが、その変化が実におもしろい。生真面目なサラリーマンから、長髪のヒッピー兄ちゃんに。これはあの姉妹でなくても騙されるかってところ。ギューラのマジメで丁寧な歌唱、第21曲の「助けてくれそよ風」は、美声を駆使して心が洗われるようでした。第27曲のカヴァティーナでドラベラの心変わりを知った悔しさを歌う悲しみは大いに共感できました・ブラッハマンのはじけた様子は、とても楽しいがやはり辛いかな。第26曲のアリアで自分に靡いたドラベッラへの怒りで、「女はみんなひどい仕打ちをするものだ」と言って、客席の女性を懐中電灯で照らし廻るあたいは、おもしろかったですね。
一方、姉妹の方もフィオルディリージがグリエルモへの愛を守ろうとする健気さと、これに対して、簡単に心変わりするドラベッラの対比がいいです。グリエルモの心を許したドラベッラは、その背信ともいえる行為にもかかわらず、その開放的な性格ゆえか、違和感がそれほどなく、自身の行為を正当化するように歌う第28曲のアリアは、おかしな説得力がありました。そのときにオーケストラピットを囲むように設定された舞台で、指揮者バレンボイムに語りかけ、それにバレンボイムも応じる一幕があり、これも楽しかったですねえ。これに対して、フィオルディリージは第25曲での心移りを押さえ込もうとする苦悩のロンドと、第29曲でフェランドに心ならずも落ちていく悲喜の極みのレッシュマンの絶唱と表情は、目が釘付けになりましたねえ。やはり、このレッシュマンの歌と演技は実によかったです。しかし、この姉妹が心変わりする場面は、ともに迫真の演技で、妖艶さも加えて本当に素晴らしかったのであります。
私は、第二幕が好きなので、そっちの方ばかりの言及になりましたが、もちろん第一幕あっての第二幕でした。またデスピーナとアルフォンゾもよかったのですが、この4人の方に目と耳が行ってしまいました。あしからずであります(笑)。
兵庫県知事のことはさておき、今季のペナントレースもジャイアンツとホークスの優勝で終わりました。今年もマリーンズだめでした。いつになったら…。
(TDK TDBA0038 2004年)
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