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朝比奈さんの巨大なブラームス

2017年06月11日 12時25分03秒 | ブラームス
過日、兵庫県の北の豊岡に出張で行きました。勤務地からは地道で2時間。帰りは、高速を通れば2時間ですが、セコく地道にしました。途中、氷上で道を間違えたこともありましたが、3時間かかりました。朝に勤務地まで1時間を加えると、この日は6時間車を運転していたことになりまして、もうグッタリ。その疲れは週末まで尾を引きました。参った参った。ただ高速で帰った人に聞くと、途中事故があって大渋滞して3時間かかったとのこと。まあ仕方ないですねえ。

そんなことで、今回は久しぶりに朝比奈隆さんの演奏。「去る者日々に疎し」ではないですが、没後15年以上が早いものでたちますね。あまり話題にはならない昨今です。私も思い出したように、その演奏を聴いてみました。今回聴いたのは、ブラームス。交響曲第1番ハ短調作品68。1996年4月6日東京都交響楽団とのサントリーホールでのライブ録音であります。

朝比奈さんのこの曲は、1,1979年の大阪フィル、2,1990年2月の新日フィル、3,1994年11月の大阪フィル、4,2000年9月の新日フィル、と5種類のライブが残されています。因みに演奏時間は1,49'21、2,52'36、3,53'26、4,46'55、そしてこの演奏が53'15となっています。朝比奈さんは、90年代以降、東京で3回、大阪で2回ブラームスの全曲演奏を行っており、そのライブは2~4
と今回の1番です、あと1回は1998年に大阪フィルとシンフォニーホールで行ったもので、これは残念ながらCDには記録されていません。また、今回の1996年の全曲演奏は1番が都響、2・3番が新日フィル、4番が東響で分担されています。さすが1990年以降は朝比奈さんの人気が高まっていったこともあって、ライブが多くCD化されていますね。その中で、最晩年の録音が演奏時間が極端に短いことも注目されますねえ。これについては、最晩年の朝比奈さんはインテンポを目指した。つまり肉体的にも精神的にも限界に近づきつつあった朝比奈さんが、それを乗りきるために、あえて若々しいアグレッシブなスタイルに挑んだのではないかと言われています。ともかく、この都響との演奏は、自然な朝比奈さんのブラームスなのかもしれません。

やはり、このゆったりとしたテンポで、分厚い響き、それにライブの熱気が加わる。うーん、日本人好みというか、ブラームスの理想像、と確信を持って言えます。この演奏では、この都響が充実していますね。日本のオケではトップレベルであるに違いないですね。この優れたオケを意のままに操り、この重厚なブラームスを現出させました。まさに、直球1本、他には何も考えず、楽譜をそのまま音としていくのみ。作為的なものは一切なく、それをすべて迷うことなく力一杯のまっすぐの熱演、約53分全曲に、感動しないわけがありませんねえ。

第1楽章、ここが一番長大。2000年盤と比べても4分近く長い。ちなみにカラヤンの1978年盤は反復なしといえども14分。これだけゆったりとしたテンポでも、まったく音楽は緩むことなく、オケは細部まで明晰であるところが実に感動的。巨像がのしのしと迫ってくる。圧倒されるほかないですね。第2楽章、ここでもゆったりめ。楽器の美しい音色に心が奪われる。伸びやかな旋律がいいです。堅めの様子もありますが、都響頑張っています。第3楽章、木管が自然な響きで素直な展開。次第に演奏が熱を帯びてきて、それが次楽章の前提となっていく。そして、第4楽章、ここでもゆったりとしたテンポで、音楽を慈しむように、また大きな共感を持っての演奏。曲のスケールも大きく、まさに威風堂々?であります。その昔、サントリーリザーブのCFに朝比奈さんが出演されていたのを思い出しますね。そして最後までたどり着くまでの感動的な展開に酔いしれるのでありました。何度も聴いた曲なんですが、実に新鮮でサントリーホールで聴いていたら、鳥肌が立ち涙する他ないな、と思うほどの盛り上がりであります。

しかし、このブラームス・ティクルス、2~4番はCD化してもらえないのですかね。できればSACDで、と言うわけにはいかないのでしょうか。
(fontec FOCD9399 2008年)

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