こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

ベーレンスの「オランダ人」

2015年08月26日 22時01分02秒 | ワーグナー
大変ご無沙汰しております。過日、とある海外の国から無事帰国しました。約一週間の出張でしたが、けっこう気も遣い疲れました。食事もなかなか適応できず、とはいえ毎日三食食べました。ただ、休日に現地の寺院跡をたくさんまわったことが一番印象に残っていますし、現地の親切な人との触れ合いなど、今後も楽しい思い出をつくることができました。もう二度と行くことはないかも知れませんが、また行きたいなと思うのでありました。

ということで、帰国してしばらくがたち、その間更新も二週間以上も遠ざかっていましたが、その間、以前の変わりない、いやそれ以上の訪問者数がありました。大変有り難いことだと、嬉しく思いました。しかし、帰国後バタバタしており、先週はマリーンズも連敗でしたので(?)、少々遅れてしまいました(帰国後、一回しか勝っていません。今日も負けました…)。

それで、今回はワーグナー。というのも飛行機の中で、『トリスタン』などを聞いておりました。でも、『トリスタン』ではなく、『さまよえるオランダ人』であります。演奏は、クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮のVPO。配役はロバート・ヘイル(オランダ人)、ヒルデガルト・ベーレンス(ゼンタ)、ヨーゼフ・プロチュカ(エリック)、クルト・リドル(ダーラント)、ウヴェ・ハイルマン(舵手)、イリス・フェルミリオン(マリー)などであります。1991年11月、ウィーンのコンツェルトハウスでの録音です。

オランダ人の演奏はたくさんありますが、その中でこれを取り上げる理由はただ一つ。ベーレンスのゼンタが聴けるからであります。その昔、もう25年も前のことですが、サヴォンリンナ音楽祭'89でベーレンスのオランダ人をBSで放送していました。これがまたよかった。当時、ベーレンスは全盛期で、この前後でサヴァリッシュやレヴァインの指環でブリュンヒルデを演じました。少し前にはバーンスタインとイゾルデを録音していますね。しかし、ベーレンスはその他は、エリーザベト、エファ、エルザ(むしろオルトルート)やクンドリ-はしなかったんでしょうかねえ。とにかく、私にとって最高のワーグナーソプラノは、ベーレンスでした。

たいたいこの「オランダ人」は、第一幕はあまり面白くない。オランダ人とダーラントがうだうだと暗い雰囲気で繰り言を述べるという感じですかね。第二幕になって、娘たちの糸紡ぎの歌・ゼンタのバラード以降が断然よくなります。それ以降のゼンタはエリックとの絡みのあと、オランダ人との場面になりますが、ここがいい。オランダ人の「遠く忘れられた古い時代の中から」以降のオランダ人とゼンタの場面は一番聴かせてくれます。ここでのベーレンスは、少々詰まり気味で、声を出すのがつらいかと思わせる出だしにもかかわらず、なんのなんの出るわ出るわの声量と高音。ここのところがなんともエロティックなのであります。そして、か細い印象を持つ出だしにもかかわらず、どうしてどうして強靱な響きで、これはもう圧倒されるのでありました。加えて、ゼンタの悲痛な叫びがこれほど表現されていることもないなあ、と思ってしまうのでありました。また、オランダ人のヘイル。ベーレンスとはサヴァリッシュの指環では、ヴォータンとブリュンヒルデでした。まさにワルキューレを思い出しますが、バスの美声はよく通り、締まったオランダ人としていいですね。

また、ドホナーニの指揮も注目すべきものです。私はこのひとの指揮はあまり聴いたことがないし、最近は耳にしません。しかし、ここではVPOのスキの無い管弦楽を駆使して、実に表情豊かで、美しい演奏に耳を奪われました。この人にはまだまだ活躍してほしいです。そういえば、タワーさんからブルックナーの交響曲が再販されました。聴いてみたいものであります。

夏もあと少しになりました。出張がお盆の時期と重なり、今年はほとんど夏休みが取れていないのでありました。しかし、このジャケット、なんとかなりませんかね。
(DECCA 478 2503 1991年 輸入盤)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 残暑お見舞い申し上げます。 | トップ | ジュリーニとワイセンベルグ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ワーグナー」カテゴリの最新記事