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ブルトヴェングラーのヴィスバーデン・ライヴ

2015年04月20日 23時14分46秒 | ブラームス
プロ野球、バファローズが絶不調でした。開幕前の評価は、中島・ブランコ・古谷野・バリントンなどの大型補強で、非常に高かったのです。しかし、エース金子に、平野・佐藤・ブランコ・ヘルマンなどの故障もあって、開幕15試合経過で借金10。まあ、安易な戦力補強では、勝てないってことでしょうか。現有戦力を鍛えることが大事なんでしょうねえ。このまま眠っていてくれればいいのですが、この週末はライオンズに三連勝。息を吹き返しましたかねえ。

そんなこんなで、今回はブラームス。ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮BPOによる交響曲第4番ホ短調作品98であります。フルトヴェングラーのこの曲については、苦い思い出があるんです。大学生のころ、LPをコツコツと買ってブルトヴェングラーを熱心に聴いていた頃。当時梅田にあった大月楽器で、この曲のLP(1948年10月24日のライブ、EMI盤)を買いました。家に帰ってイソイソと聞こうとすると、A面の時計でいうと10分から30分までにまっすぐに幅5ミリほどのプレスしたようなキズがあるのに気づきました。第1楽章は全く聴けない状況に、もう言葉も出ないほどのショックを受けました。お店に持って行けば、交換か返金してくれたのですが、なかなか梅田には行けなかったことや小心ものだったことからかして、結局そのまま泣き寝入りをしてしまいました。本当に残念でした。そのためか、以降長いことこの曲のフルトヴェングラーの演奏は聴く気になれなかったのでありました。1980年ごろのお話でした。

さてさて、フルトヴェングラーの交響曲第4番の演奏は。現在4種類残されております。今回の演奏は、1949年6月10日ヴィースバーデンでのライブ録音です。この演奏は、他にも仏ターラ盤やセブンシーズなどからも出てますが、私はこのMemories盤しか聴いたことがないので、他との音質の比較はできないのですが、それほどいい音ではありません。でも、この指揮者の演奏ではこんなもんかとも思います。しかし、音は非常に生々しいものになっており、フルトヴェングラーの迫真の演奏を聴くことができます。かの吉田秀和先生が「風花がひとひら、ふたひら舞落ちる様な光景を連想させる」と絶賛された演奏であります。

しかし、やはりフルトヴェングラーの演奏はほんとに聴き応えがありますねえ。テンポはかなり揺れ、全体的には速めかな、という印象なんですが、約43分。一般的な演奏に比べると、少し長いのです。それは、ここが重要というところでは大胆にゆっくりと味わい深い演奏になっているからでしょうか。そしてここぞというところでは、畳みかけるような勢いと熱気をはらんだ演奏を聴かせてくれます。いつもそうですが、いつものフルトヴェングラーの演奏が堪能できます。

第1楽章。冒頭のヴァイオリンによる第一主題の哀愁みなぎる演奏は他では聴けません。この主題がいろんな形の変奏で展開されていく中で、気持ちは高揚し、熱い演奏が繰り広げられる。再現部に至っては熱気は最高潮に達し、弦の高揚しての演奏に、ティンバニの強打が加わり楽章を閉じる。第2楽章、ホルンや木管が第一主題をとぼとぼと荒野を無感情で彷徨うように演奏するが、ヴァイオリンによる第一主題とチェロによる第ニ主題が気持ちに糸を引くように歌われ、安堵感を持つ。そしてここでも感情が高まっていく中で、これらの主題が熱い気持ちが込められて面前に現れていき、第1楽章以上に魂が揺り動かされる。第3楽章、大胆に第一主題が力強く演奏され、ホルンの演奏を挟んで両端には強靱な演奏が展開。後半部の方がより力強く、この熱気と強打は、ブルトヴェングラー以外の何者でもないですねえ。そして、終楽章パッサカリア。30程の変奏。弦はむせぶように奏で、木管の悲しげな響き、ホルンの重くうち沈んだ低音。そして金管で主題が再度歌われ、これ以降はいくつもの変奏が展開されるが、尋常ではない緊張漢と迫力、それをオケが全身全霊を込めて一気にコーダまで駆け抜けていく。いやはやなんとも凄まじい演奏でありますが、その背後にはこの曲と持つ独特の寂寥感が漂う名演であります。

昨日、ニュースでLPの売上げが伸びている、との報道を聴きました。この聴けなかったブラームス、もう一度LPで買って聴きたいなと思わずにはおれませんでした。
(Memories MR2071/74 2008年 輸入盤)

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