三田風月堂が創業以来焼き続けている『千代田せんべい』は
70年経っても変わらない道具、変わらない製法で一枚一枚焼いています。
今の店主がお店を引き継ぐにあたり、祖父から引き継いだガス台をガス屋さんにメンテナンスしてもらい
そのままの変わらない風味のおせんべいを、一枚ずつ 気持ちをこめて焼き続けていこう、と決意を固めたのでした。
『手焼き』と謳っていても、実際はオートメーションで作られている焼き菓子が
世の中には多く出回っている中で、うちのはまるっきりの手焼き。
40度以上にもなるガス台の前で2時間、熱くて重い鉄の焼型をひっくり返しながら焼いていき、
焼けた頃になると焼型を取り出し、焼型を開いたら素手で焼けたおせんべいを
(写真左端の)丸太みたいな台の上に置き成形する。
ちょっとでもタイミングが合わないと次々に焼いているおせんべいが全部焦げてしまう、
型に乗せる生地の量が多すぎても少なすぎても、焼きすぎても焼が甘すぎても商品にならない
まさに感覚と焼くリズムで作られているおせんべいなのです。
そして、手焼きだから、焼きムラがあります。
その焼きムラの、色が濃すぎるものは食べると苦いので商品からは外しますが、
じんわりこげ茶色のものは、昔から愛されてきた風味があるので商品にしています。
(写真下側のような焼き色は風味が香ばしいと言われ、愛されてきた色です。)
ですが、このところ、その焼き色に苦情がくることもあります。
焼きムラがある時点で「そんなもの商品にすべきではない」とおっしゃる方もいます。
私には これこそが手焼きの色だし、味だし、貫くべきなのではないかと思っているので
焼きムラができるからといって 手焼きはもうやめましょう、という気にもなれません。
そして、苦情がくる反面、あの焦げ味が懐かしくて大好きなんだ、
と言ってお土産にされる方もいらっしゃいます。
店主は「苦情が出るからには、これからどうやっていくか向き合うのが私たちの仕事」といって
日々考えているわけですが、、、。
スーパーの野菜ですら、土も虫も不揃いな形すら許されなくなったこの時代。
何もかもオートメーション、既製品があふれるこの世の中で、昔ながらの完全な手作りのものを
作るということの難しさにぶつかっている10年目の三田風月堂。
購入された方 すべての人が 笑顔になってもらえる商品を作っていくことと
深く向き合えるチャンスでもあり、時代と志とをどのように沿わせいくか考えるターニングポイントでもある。
そんな今日この頃です。
三田風月堂の洋焼き菓子を詰合わせた、三田風月堂で最も大きいサイズのギフトセットです。
クッキー、マドレーヌ、パウンドケーキから、季節の焼き菓子、限定商品など、
旬の三田風月堂を味わっていただける内容となっております。
これまでは3000円のギフトまでしか普段は出していなかったのですが、
度々リクエストがあったので、今回包材を仕入れてレギュラーギフト入りすることになりました。
¥5000(tax in)