もるるんのよくばりポケット

いろーんなことに興味がある、ミーハーな働く主婦もるるんの日常や思ったことを書いていこうと思います☆☆

「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」見てきました

2016-12-12 23:59:44 | お芝居
「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」 世田谷パブリックシアター 2016.11.09 19:00~

「遠野物語」は大好きな話で、実際遠野にも行ったし、もちろん柳田国男の本も読んでます。
それだけではなく、「遠野物語」の世界を解説した本とかも読んでるし~
遠野の博物館にも何回か足を運んでます。

今回、これを芝居でやるということで、どういう風に料理してくれるのかを
楽しみに行ってきました。

遠野物語で、私が印象に残っている話は
「カッパ淵のカッパ」の話とか、「ザシキワラシ」の話、「オシラサマ」の話などですが、
この芝居でとりあげたのは
「山人」「神隠し」それから「長者の家」の話。

遠野物語は伝承であって、作り話というわけではなく。。。
古くから伝わっている話が代々受け継がれているものが多い。
もちろん、大津波の話など、明治に入ってからの話もあるけれど。
実際、柳田国男が遠野の出の佐々木喜善から伝え聞いたことをまとめたもの。
佐々木喜善も自分の祖母から伝え聞いた話なのだ。

さて、この芝居では、
実際さながら、作家のヤナギダと東北から来た青年のササキが出てくる。
が、時代は近未来か。政府が「標準化政策」を取っている日本。
迷信、怪奇現象などは許されなくなり、真実のことしか話してはいけない世の中。
出版物も、真実のもの。それも科学的に証明されることでないと出してはいけない。
さらに、言葉も標準語で書かないといけないのだ。

ヤナギダが無許可で出版した「遠野物語」は法に触れるということで
警察に連行されている。
そこに警察が呼んできた、法に触れるかどうかを判断する学者イノウエ。

ヤナギダはイノウエや警察官に対して、ササキから聞いた遠野で起こった
奇ッ怪な出来事を話し出す。

その出来事が劇中劇という形であらわされていく。

ところで、この芝居、前説みたいなのがありまして。
それは山内さんが、客電が落ちる前に現れて、客席に向かって話しかける。
怪奇現象の話から、言葉の話へ・・・うまく導入してくれる。

最初は舞台は警察の取り調べ室だけど、
ヤナギダがイノウエに話し出すところから、その舞台が取り調べ室で語られる遠野物語の
世界へとなっていく。まあ、そのたびに取調室の机や椅子や・・お茶が動くんだけど(笑い)
毎回、お茶を片づけるミズノに心奪われそうになったりね(笑い)

ヤナギダは直接遠野に行ってササキに会うところも、物語では描かれる。
っていうか、瀬戸くんの東北弁がめっちゃ上手いんで感動しちゃいました。

語られる遠野の話はいくつかあるんだけど

遠野の町から他の町に行くのに山を越えていくが、そこには山人が住んでいるらしい。
などという山人の話。

娘が神隠しにあってしまったが、何年もたって戻ってきた話

蛇のたたりと長者の家の話。
蛇は先祖の霊というけど、長者の使用人が殺してしまい、それを庭に埋めた。
その庭に生えたキノコでみんな食中毒で死んでしまったという話。
さらに、一人生き残った娘は、何もわからないまま、親族や村人に
財産を根こそぎもっていかれてしまったという話。

さらには、ササキのおばあさんが亡くなってしまうんだけど、
ササキはそれを予知し、、
ササキの家に行ったヤナギダはなくなっているはずのおばあさんと会話をするというような話。

実際に劇にして伝えたり、またササキのおばあさんの伝承という形で見せていく。

そして最後に。。。。伝え聞いたイノウエは「迷信」だという判断を下し、
ヤナギダは逮捕されてしまうが・・・
ヤナギダはイノウエに「あなたに伝えたから」と言い残していく。

遠野物語は特にオチがあるような昔話ではなく、
昔から伝わっているできごとが受け継がれているものだと思う。
そこには、自然や祖先への敬意、信仰といった、土地の人たちに根付いた考え風習が
織り込まれている。

たとえば、長者の家の話では、先祖の霊といわれている蛇を殺してしまったとか。
亡くなったおばあさんの話では、見えるもの見えないものは、その人の気持ちによりそうとか。。。
そういったちょっとした日常のことを伝えているのだと思う。

実際遠野の伝承館などにいくと、お年寄りが地元の言葉をつむいで、次の世代に伝えている映像などがある。

今はネットなどもあって、なんでも伝えることが(表面的かもしれないが)できるが
昔はこうやって伝えていたわけで・・・

奇ッ怪に見えるできごとも、実は奥が深く、何かが根底にある・・・
迷信のように見えるかもしれないが、遠野の人たちはそれを信じて伝えてきたわけだから、、、
それを聞き、伝える人たちにとっては、それは事実といえると思う。



キャストの感想。
仲村トオルさんは、ほんといい役者さんですよね。まず声がいいんですよね。
佇まいもいいし、熱く語るとこもいい。
アフタートークで、流山出身なことを知ってびっくりだった。
柏には高島屋もそごうもあって、松戸には伊勢丹もあるのに、なんで流山には何もにないんだ!
にはバカ受けしちゃいましたけど(笑い)

瀬戸くん。上にも書いたけど、東北弁がほんとに違和感なくすばらしかったです。
アフタートークで、役に入り込むとセーブがきかなくなると言ってましたが、その通り。
舞台から落ちないように気を付けてほしいと思います。
ササキ青年そのものになって熱くなってましたからね。

銀粉蝶さん。ササキ青年のおばあさん役。ほんとにこんな語り部さんいるよな~って思いました

池谷さんは、相変わらず存在感抜群。どんな役でもこなしちゃうんだな~


思ったのとは全然違う切り口からの「遠野物語」ではあったけど、
十分楽しめました。

また遠野に行きたいなってつくづく思いました~
もう一度「遠野物語」も読んでみようっと。

コメント
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