「セツアンの善人」 世田谷パブリックシアター 2024.11.03 13:00~
recriって聞いたことありますか?
チケットのサブスクで、登録すると(もちろん会費あり)、チケット診断にあったチケットを月1枚
送ってくれるというもの。登録時に自分の嗜好を入力しておきます。
その後のアンケート(診断)で、たとえば「流行は押さえておきたい」とか「考えさせられる作品が好き」とか
答えていくと、その人にあったチケットを選んでくれるんです。
今回初めてそのrecriで選ばれて送ってもらったチケットが、この「セツアンの善人」でした。
白井さんの演出はいくつかは見てますが、そこまで好みではないので、この芝居はチケット取りにいかなかったんですよね。
キャストもそこまで惹かれなかったし。。。
でも、なかなか面白い作品でした。ブレヒトの作品で、いろんなキャストで何回も上演されてきたものなんですね~
あらすじは
「善人を探し出すという目的でアジアの都市とおぼしきセツアンの貧民窟に降り立った3人の神様たち(ラサール石井、小宮孝泰、松澤一之)は、水売りのワン(渡部豪太)に一夜の宿を貸してほしいと頼む。ワンは街中を走り回って神様を泊めてくれる家を探したが、その日暮らしの街の人々は、そんな余裕はないと断る。ようやく部屋を提供したのは、貧しい娼婦シェン・テ(葵わかな)だった。その心根に感動した神様たちは彼女を善人と認め、大金を与えて去っていった。それを元手にシェン・テは娼婦を辞めてタバコ屋を始めるが、店には知人たちが居座り始め、元来お人好しの彼女は彼らの世話までやくことになってしまう。ある日、シェン・テは、首を括ろうとしていたヤン・スン(木村達成)という失業中の元パイロットの青年を助け、彼に一目惚れをしてしまう。その日からシェン・テはヤンが復職できるように奔走し、金銭的援助もしはじめるのだが、その一方で、人助けを続けることに疲れ始めていた彼女は、冷酷にビジネスに徹する架空の従兄、シュイ・タ(葵わかな・二役)を作り出し、自らその従兄に変装をして、邪魔者を一掃するという計画を思いつく……」
舞台美術がなかなかでした。ロビーに模型もって、手に取ることもできました。
そう、カプセルを積み上げたような部屋になってて、、、
昔の中銀カプセルタワーみたいな感じです。その部屋のいくつかに生演奏のミュージシャンの方も。
水売りのワン(渡部豪太さん)が登場し、貧民街の住人たちに水のペットボトルを奪い取られてしまう。
そこに現れた3人の神様たち(ラサール石井、小宮孝泰、松澤一之さん)
一晩泊めてほしいと頼む。ワンは街をめぐって家を捜したが、、、みんなそのような余裕はないと断る。
そんな中、貧しい娼婦シェン・テ(葵わかなちゃん)が神様を泊めてあげるのだった。
3人の神様はお礼にシェン・テにたくさんのお金を与えて去っていく。
シェン・テはそれで、タバコ屋の店を手に入れ、商売を始める。
が、あまりに善人であるシェン・テは、知り合いの大人数の家族に居つかれ、商品のタバコを勝手に取られたりするのに、彼らの世話をしてしまう。結局タバコ屋の家賃も払えないようになってしまう。
ある日死のうとしていた、元パイロットの青年ヤン・スン(木村達成さん)を助け、二人は恋人どおしになる。彼がまたパイロットになれるためにと、お金の援助もはじめるようになり、さらに困窮。疲れ果ててしまう。
そこで、彼女は冷徹な従兄シュイ・タ(葵わかなちゃん・二役)という架空の人物を作り出し、シェン・テを救おうとする計画をたてる。
シェン・テの家に住み着いていた家族を追い出し、タバコ工場を始めることにする。
シェン・テにたかっていた家族はそこで働き始め、タバコ工場は軌道にのってどんどんと大きくなる。ヤン・スンもここで働いているが、うまく立ち回り工場の責任者となっている。しかしシュイ・タはあまりに冷酷であるため、従業員たちは不満を持ち出す。そして従妹のシェン・テはどうしたと言い出す。シュイ・タがシェン・テを殺して財産を独り占めしようとしているのではとなり、裁判を起こされてしまう。
シェン・テはヤン・スンの子供を身ごもっていたので、だんだんとシュイ・タに成り代わることが厳しくなってきて。。。
裁判が行われ、裁判員は3人の神様。シェン・テはすべてを明らかにする。生きていくためには善人でばかりはいられなかったと言う。
そしてどうすればよいのか?と神様に問うが・・・
神様たちは、シェン・テの懺悔の言葉を聞いて、やっぱりシェン・テは善人だったと安心し、行ってしまった。
さあ、ここからどうなるの?と思ったら、
長老の隣人が前に出てきて「こんな終わり方でよいのでしょうか?何も解決していません」みたいなことを言い出し、
「解決していないのはわかってますが、あとは皆さんにお任せします」というような無責任な(笑い)挨拶をして幕。
いろいろと突っ込みどころはあるんだけど、
あまりにいい加減な神様たちと、あまりにいい加減な終わり方であっけにとられました。
でも、話自体は面白いし、私たちの胸にグッと刺さる問題提起だし、見ごたえはありました。
善人で居続けるのは難しい、、、どこかに無理が生じますよね。
そして善人とは何か・・・・他人が困っているときに、自分を犠牲にしても手を差し伸べる人?ってことですかねえ。
だけど、その他人のことを思えば、そこで援助しなかったり、突き放したりすることが大事なことも
あるんじゃないかなあとも思うし、なかなか難しいです。
シェン・テは悪意を持って頼ってくる人を見抜けないという問題を持っているとも思ったし。
私は、、、個人的にはシュイ・タの方が好きだったりします・・・
生演奏はやっぱりいいです。で、葵わかなちゃんはたくさん歌ってたけど、めっちゃ歌がうまくてびっくりだった。
声もすごくいいし。ミュージカルとかもやってるんだろうか?
あと、演出で、最初にワンがみんなに取られてしまった水のペットボトル。。。それを回収せずに、ずっとそのままに
なっていて、それが新鮮でした、だから、ときどききゃストが踏んだりして、音が鳴るのが面白かったです。
さて、キャストの感想ですが、
シェン・テとシュイ・タの二役の葵わかなちゃん
上にも書いたように、歌がめっちゃうまかった。声も伸びてたし、すごくよかったです。
ただ、、、二人の演じ分けがやっぱり難しいんでしょうね。
仮面をかぶって衣装を変えただけだと。。。うーん。あんまり背も大きくないし男性には見えずらい。
でも男装のシュイ・タの方が、声の出し方とかしぐさとかは良かったと思ったんですよね。
もう少しシェン・テの方が可愛い感じで演じてればな~と思いました。
ヤン・スンの木村達成さん
三条天皇じゃないですか・・・それはいいんだけど、もっと歌ってほしかったな~
思ったより出番が少なかったけど、でも普通に演じてられたなと。
そんな感じの感想でした。
神様の3人
小宮さんを久々に拝見しました。ってか、ラサール石井さんもいたので、
松沢さんが渡辺リーダーなら赤信号じゃないか!なんて思っちゃった。
この3人のコミカルで無責任な感じ。。。私は好きでした。いい味だったな
ワンの渡部豪太さん
途中、舞台下に隠れてたりするんですよね。すごいね。疲れるよね。
めっちゃいい味で、私は好きでした。
それと、キャストの名前はわからなかったんですけど、
大家さんでシェン・テの秘密を知ってる女性を演じてたあめくみちこさん
すごくよかったです。ちょいちょい心配そうにのぞいてたり、シェン・テのことを
心配しながらも、黙ってみてるという表情がよく出てました。
神様もこういう人を評価してくれればよいのにね。
初めてrecriで芝居に行ったけど、なかなかいい芝居をチョイスしてもらって
よかったです。
12月はいろいろ忙しいので、パスしたんだけど、11月はもうチケット持ってるので
それは楽しみにしてようっと。絶対、普通自分じゃ買わないような芝居だから。