里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

なぜ記者は権力者と「麻雀」をするのか

2020年05月22日 | 社会・経済

 ジャーナリスト・青木理氏が語る記者の「本音」と「本分」

   AERAdot 2020.5.22


 日本中を驚かせた新聞記者らと東京高検の黒川弘務検事長(63)の「賭けマージャン」疑惑。黒川検事長はすでに辞表を提出したが、一緒にマージャンをした新聞記者らの行動もそしりは免れまい。たとえ取材活動の一環だとしても、コロナ禍の非常事態下で「渦中の人物」とマージャンに興じる記者の行動原理とはどういうものなのか。記者と権力者との距離感は常に問題視されてきたが、食卓ではなく「雀卓」を囲むことで権力者の懐に入り込むのは、一般的な記者の手法なのだろうか。元共同通信の公安担当として多くの権力者と対峙してきたジャーナリストの青木理氏に、権力者に食い込む「記者の作法」と「距離の取り方」について聞いた。
*  *  *
――夜討ち、朝駆けも含めて、記者が情報を取るために取材対象者の懐に入り込む手法はいくつかあると思います。そのなかで、今回問題となった「マージャン」についてはどう思われますか。

青木氏 取材相手とざっくばらんに話をし、少しでも本音を聞き出すため、マージャンや酒席の場を利用する取材手法は昔からあったし、僕も共同通信の記者時代にはやったことがあります。緊急事態宣言下だったという問題などは別にありますが、取材対象とマージャンや会食すること自体は否定しません。もちろん、その際に場所代や飲食費の支払いをきっちりとし、互いに利益供与などを受けないことは大前提になりますが。

 そして最も大事なのは、そのような場で話を聞くのは一体なんのためなのか、誰のためなのかということです。記者の役割はまず事実を早く広く伝えること、そして、あらゆる分野の権力者や強者に監視の眼を注ぎ込むことです。これがメディアとジャーナリズムの根源的な役割であって、ならば安倍政権の「お気に入り」とされ、違法、あるいは脱法的な手段まで弄して検事総長に抜擢されようとしている人物が本音ではどう考えているのか、背後には政権のどのような思惑があり、どのような綱引きがあったのか、少しでも聞き出して記事にするのが仕事でしょう。
僕が知る限り、今回のマージャンに参加していた記者がそうした記事を書いた気配はありません。政権の問題点などを浮き彫りにするスクープを『週刊文春』が連発するなか、結局のところ新聞記者は権力者と懇ろになるだけで、市民が知りたいことは報じないんだという強烈なメディア不信を持たれても当然でしょう。

――酒席やゴルフよりもマージャンの方が密接な時間が長く、記者にとっては情報が取りやすいという側面はあるのでしょうか。

青木氏 ゴルフはやらないのでわかりませんが、マージャンは酒を飲みながら打つこともできるし、時間が長いということはあるかもしれません。ただ、いわゆる接待マージャンですから、コテンパンにやっつけるわけにもいかないし、本気でやってるふりもしなくてはいけないし、相手が「勝つまでやめない」なんていうタイプだったりすることもあって、結構面倒くさいですよ(笑)。
僕は直接の面識がありませんが、黒川氏はかなりマージャンが好きなようで、つい最近も別の大手紙記者に「マージャンをやりたい」と声をかけていました。検察官僚としてはとても社交的で人づきあいが良く、人たらしのような側面もあると聞いています。政官界への人脈も広く、根回しや調整能力も非常に高いそうです。

 そういう意味では能吏で、黒川氏を直接知る検察OBや関係者で彼を悪く言う人はほとんどいません。記者の評判もいい。それなりに情報もくれるんでしょう。要するに、話していいこととダメなことの腑分けがきっちりとできて、話せることはきちんと話す柔軟性と頭の良さも持っている。

 その社交的で人づきあいが良いと言われる部分などが、今回は最悪のスキャンダルとして噴き出してしまったわけです。推測ですが、政権から抜擢される形で次期検事総長と目され、自分がよもや「刺される」ことはないだろうというおごりがあったのかもしれません。当たり前の常識と自制心がある人間であれば、こんな状況下で記者たちとマージャンをやろうなどという発想にはならないでしょうから。

――河井克行前法相の買収疑惑に続き、検察ナンバー2である黒川氏も賭けマージャンで失脚しました。本来、最も順法意識を高く持つべき閣僚や官僚がこうした不祥事を起こすのは、一体なぜなのでしょうか。

青木氏 行きつく先は安倍政権の体質だと思います。問題点は数えきれませんが、たとえば政権の「人を見る目のなさ」は重症です。

 黒川氏の場合でいえば、人あたりがよくて根回しや調整能力にたけている点は、検察官僚としては有能なのでしょう。政権からの評価が高かったのも理解できなくはない。ただし、検察組織のトップとして適任かといえば、それはまったく違います。政官界への根回しや調整能力にたけているということは、それだけで政治からの独立が求められる検察組織への深刻な疑念を引き起こします。公訴権を基本的に独占し、独自の捜査権まで有し、時には政治を捜査のターゲットにする検察トップの検事総長には明らかに不向きです。

 それぞれの機関のトップには、それにふさわしい人材がいます。内閣法制局長官、日銀総裁、NHK会長、各省庁の幹部などもそうですが、安倍政権は歴代政権がかろうじて自制してきた人事権を放埒に行使して、政権にとって都合のいい人物、政権にとって使い勝手がいい人物ばかり抜擢するという恣意的な人事を強行してきました。その結果、霞ケ関などには忖度病が蔓延し、公文書は改ざんされ、統計は不正処理され、ついには検察でも脱法的な法解釈変更や法改正の動きまで出るようになった。

 そういう意味では今回の事態も、安倍政権の「人を見る目のなさ」と放埒な人事権行使が生み出したのです。もちろん黒川氏本人にも、一緒になって賭けマージャンに興じた新聞記者にも、法務・検察組織にも大いに問題はありますが、実は法務省は昨年末、黒川氏を定年退職させる人事案を官邸に示していたんです。黒川氏自身もそのつもりで、退職後に所属する弁護士事務所も決まっていた。ところがその人事案を官邸が蹴飛ばし、定年退職を認めなかったから、法務省は定年延長などという奇策をひねり出し、黒川氏は東京高検検事長の座にとどまることになりました。
だからこそ、奇策を後づけで合法化する検察庁法改定案もつくられ、黒川氏が渦中の人物となり、今回の騒動も起きてしまったんです。すべてを明確に謝罪し、一連の事実経過を説明し、責任をとるべきは、どう考えても安倍政権です。そのことを忘れてはいけません。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)


 新聞の部数が落ち込んでるさなか、このようなことが暴露された。いつになったら目を覚ませるのやら?

今日の菜の花畑

ようやく霜注意報解除。


気持悪いキノコ