「東京新聞」2022年8月27日
【ニューヨーク=杉藤貴浩】2017年のノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長は26日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂を受けて記者団に「再検討会議と(核を保有する米英仏中ロの)5カ国だけでは、安全保障上の大きな脅威へ適切に対応できないことがはっきりした」と指摘した。
フィン氏は、核兵器を全面的に違法とする核兵器禁止条約の締約国が6月、3日間の会議で核廃絶を目指す政治宣言を採択した意義を強調。NPT再検討会議を「(今月1日の開幕から)4週間で同様の達成ができなかった」と非難した上で、核禁条約の重要性を改めて訴えた。
フィン氏は会議決裂前の26日午前の記者会見でも、最終文書案に対し「採択されるかどうかにかかわらず会議は失敗だ。核軍縮に向けた具体的行動や工程表が何もない」と指摘。採択されたとしても、ロシアによる核使用の威嚇や保有国の核兵器近代化などの流れに歯止めがかけられる内容ではないと批判した。
文書案が改訂を重ねたことについては「多くの文言が骨抜きになった」と失望感をあらわにした。