※昨日の?ですが 「黴」→「かび」と言う字でした
「土間の出入りを吊るし味噌玉黴吹くの」である
では 続きです
農家では 田圃の畔に大豆を作って全てが自家製だったが
我が家の周りは農家は少なく 俵で売っていた
先ず前から水に浸しておいた大豆を大釜に入れて煮る
煮えて柔らかくなった大豆は
それに類した大きな陽気に入れて
父が新しい藁沓を履いて踏みつぶす作業をする
この作業は大変なので
後には肉挽機を買ってきて潰すようになった
妻に聞くと 高遠では専ら肉挽機のようなものを使っていたそうだ
豆が潰れると
直径20cm.高さ30cmくらいに円筒形の塊を作って藁で縛って
蔵の中など天井に吊るして1か月程 日陰干しにする
この味噌の塊を味噌玉という
農家には必ず土間があったから
父の句のような光景も至る所で見られたのだ
やがて 味噌玉にひび割れが走り
表面にはいっぱいに黴が吹いてくる
その黴を落とし 味噌に糀を混ぜて臼に入れて良く混ざり合うように丁寧に搗き(つき)
目が細かくなった物を樽に入れて保存するという手順だったように思う
妻に聞くと
「六月搗き」という事があって樽からもう一度取り出して搗いたと言うが
僕の記憶には残っていないが
実際には二度搗いた方が細かくなるという事で
二度搗きの習慣もあったらしい
-終-
※肉挽機は記憶にある
幾つも空いた細かい穴が印象的で意味なくハンドルを回していた
これはお蔵を空にしたときに処分してしまったのだと思う
味噌蔵は オクラの横にあった
やはり厚い漆喰の引き戸がついていた
この扉を開けた時は 何とも言えない匂いがしたのを覚えている
そういえば バアバも数年前
自家製味噌を作ってたな・・・