ときどき晴れ

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Matterhorn登頂計画 7/27~28 マッターホルンで天候悪化3700mでのビバーグ!

2006年07月28日 | Matterhorn
◇◇◇  マッターホルン(Matterhorn) ヘルンリ稜下山編  ◇◇◇




■マッターホルン頂上 4478m ヘルンリ稜より単独登頂!



■頂上からヘルン小屋方向を見る。

マッターホルン(4476.4m)の頂上に登頂したのが16:18。
頂上には誰もいないので、セルフタイマーで記念写真を撮り早々に下山準備。
聖者の像の足元のアンカーにロープを掛けて懸垂降下開始。
俺の細いダブルロープは相変わらず絡みやがる。
絡んだロープが、アイゼンに引っかかるし・・・・。
25mの懸垂を終え、ロープの回収をしようとロープを引っ張るが全然ロープが流れてこない?
途中の岩にロープは引っかかっていないようなのに???
仕方ないので、聖者の像まで登り返してみることに。
ロープがこなかった理由は、アンカー部はロープを掛けられすぎて、ロープの形にアンカーが削れてしまっている為に、ロープが滑らなくなってしまっていた。
アンカーに付いてる、スリングに再度ロープを通して再懸垂。
今度は、ロープが回収出来た。



■聖者の像 足元のアンカーに直接ロープを掛けるとロープの回収が出来ません。

初めはきちんと懸垂で降りていたのだが、一人で4回も懸垂すると、段々ロープワークがめんどうになってきた。
高度障害のせいか、先ほどから少し気持ち悪いし。
50mのロープでは一回に25mしか懸垂できないし・・・・。
さらに、微妙に次の支点まで届かない所もあった。
山頂付近は、八ヶ岳の主稜のような感じなので、クライムダウン出来るところはクライムダウンで降りた方が早いので、核心意外は懸垂中止。
それでも、ソルベイ小屋(4003m)に着いたのは、19時過ぎ。



■ソルベイ非難小屋 4畳程度の広さ。右に少し写っているドアの向こうはトイレ。NorthFaceに垂れ流しです。

昼間と変わらないくらい、空は、まだまだ明るい。
ソルベイの非難小屋のベットに横になり少し休憩。

15分程休憩して、小屋にデポした荷物をリュックに詰め再度下山開始。
ソルベイ小屋の直下は本来懸垂降下しなければいけないのだが、右の方にトラバースしたらクライムダウン出来そうだったのでクライムダウンで降りてしまった。
これが、大失敗だった。
クライムダウンを開始したら意外にホールドが悪く、際どい状態。
さらに、左手で持ったダンボール程度の大きな岩が、持って体重をかけたら取れてしまった。
落ちた岩が少し左足に当たりかなり痛んだが、ここで落ちる訳にはいかない。
幸い右手はガバを持っていたので助かった。
その後は、ルートを完全外してしまい脆いガレ場を1時間程下った。
さらに雲が出てきたしまい、少しすると雪が降り出してきた。
雪で濡れた岩場を必死で降りたが、いよいよ雷が鳴り出し危険な状態。

ソルベイ非難小屋に泊まればよかったと後悔するが、後の祭りだ。
ビバーグ出来そうな場所がない。
雷が出てきたとたんに、空は明るさを急速に失い暗くなる。
どこかにビバーグ出来る場所はないか、必死で探す。
スント(高度計付時計)は、標高3760mをさしている。
ヘルンリ小屋3260mまでは、2時間かからないのに・・・・。
でも、多分下山ルートも外しているので、ビバーグ出来る場所を探すしかない。
3700mまで降りてきた所に、岩陰発見。
時間は、20:20。
斜面側に小さなテーブルのような岩があり、大きさは人が一人はまるだけの小さな岩陰だが、なかなか居心地よさそう。

早速もぐりこみ、レインの下を着てビバーグ準備。
まず、リュックの中身を背中側の両方のクラックに突っ込み空にして座布団にした。
ビバーグツエルトを膝からしたに掛けて、ロープを枕に準備完了。
圧縮袋に薄手のダウンを持ってきていたので着込んだら落ち着いた。
しかし、高度障害のせいか食欲がない。
BCAAとブドウ糖を大量に溶かしこんだ、甘い水も気持ち悪い。
普通の水が飲みたい・・・。
雷はどんどん酷くなってきた。
しかし、疲れのせいか直ぐに眠ってしまった。



■岩陰でビバーグ中

0:20 目が覚めると、雲はなくなりツエルマットの街の夜景が見える。
満天の星空とツエルマットの夜景が素晴らしく綺麗だ。
少し冷えてきたので、レスキューシートを出して下半身に巻いた。
レスキューシートなんて一生使わないと思っていたけど、持ってきてよかった。
意外に暖かい。
遠くの山の方では、まだ雷がなっている。
携帯を見るとぷちゃんからメールが入っていた。
かなり心配しているようだ。
返事を書いてからまた熟睡してしまった。

目が覚めたら、4時前だった。
まだ、真っ暗で日の出まで2時間ほどある。
小さいテーブルのような岩によりかかり、ヘルンリ小屋の方を見下ろすと、明かりがちらほら登って来てる。
5~6パーティ登って来てるようだ。
小さい光が徐々に登ってくる間にまた寝てしまい。
次に目が覚めたら明るくなってきていた。
時間は、5:30頃
先ほどのパーティが30m位左の方を登って行くのが見える。
違うパーティは、40m位左を登って行ってる。
かなりルートを外してしまっているよだ。

6時には、再度下山開始。
先ずは、正規ルートに戻らなくては。
クライムダウンしながら、正規ルートの方に向かったその時。
また、やってしまった。

3m位のクライムダウン中、左足の岩が動いた。
「やばいと!」と思ったが、リカバー出来ず。
左足の岩が落ちた。
その途端両手の岩も剥がれて、背中から落ちた。
斜面を2回転ほど転がり、岩に引っかかり止った。
背中のリュックから落ちたので幸い怪我しなかった。
ただ、落下を止めようと手のひらで岩を叩いたので手のひらが痛い。
しかし、指だけ出てる皮の手袋をしてたので、手のひらも痛いだけで怪我はなかった。
落ちた所は、剣の三の窓に下る所のガレ場のようなところかな。

その後、足が震えて上手く降りれなくなってしまった。
さらに、ルートも間違ったままの状態が続いた。
3600m付近でとうとう、20m程度の崖に出てしまい行き詰る。

左の方を探すと岩に6本程スリングが岩に掛けて支点が作られてあった。
他にも間違った人がいるらしい。
取りあえず、懸垂降下して、正規ルートを探しているとまた懸垂支点があった。
懸垂の準備をしていると5m程左上から「Here!」と声が、
声の方向を見るとフランス人のガイドが指をさし、「Here!」「Here!」と正しいルートを教えてくれた。
教えたくれたルートに戻ると、上からどんどんパーティがおりてくる。
どうやら、今日は天気が悪くなるので途中まで行って全てのパーティが下山してきているらしい。



■無事戻った正規ルート(3500m付近)。 岩の向こうにヘルンリ小屋が見える。

正規ルートから、先ほど懸垂しようとした場所を見ると鳥肌がたった。
なぜなら、懸垂で降りたところから先にルートがない・・・・・。
3600m付近より下で懸垂する必要はないので、もし懸垂するようなことになったらそれはルートを外しています。
North Face側にトラバースして正規ルートを探しましょう。

その後は、ガイドパーティに混ざり難なく下山。
7:30ヘルンリ小屋到着。



■無事ヘルンリ小屋に到着。しかしやばかった・・・・。

ぷちゃんに下山報告をして、早々にSchwarzseeのロープ乗り場に下山。