■今回のお題 屏風岩標高差450~600Mの大フェース。(はっしーの記録から拝借)
突然、伊藤さんとあの「氷壁」の舞台となった、北アルプス前穂高北尾根の屏風岩に行くことになった。
同じ日程で新穂高の錫杖岳を、はっしーリーダーとまきー&瞳の3人が登っている。
土曜日の夜に錫杖のはっしー組と新穂高の混浴で合流する予定。
そして、次の日は錫杖を登る予定。
金曜の夕方には、天敵まきーから
「土曜日の夜混浴でま・っ・て・る・ね~♪」
と挑発的な電話まできたし、これは何があっても行かなければ。
でも、土曜に屏風岩を登って、夜に錫杖に移動する為には、金曜日の夜には屏風岩の取付にいなくては絶対に間に合わない。
ゆえに、金曜日昼前には東京を出発しなくてはいけない。
金曜日?平日!仕事だ・・・・。
朝どうしても、現場で打ち合わせしなくてはいけない・・・・。
8月11日(金曜日)
6:30 大きなリュックを担いでバイクで、伊藤家へ。荷物を預けて一路現場バイクを走らす。
8:00に現場で図面と問題点のチェック。
8:30お客さんと監督とアシスタント登場。
テキパキと完璧な打ち合わせをして、9:30打ち合わせ終了。
ネクタイや打ち合わせ資料など余計な物をアシスタントの女の子に渡して、伊藤家にトンボ帰り。
10:10伊藤家を出発して一路上高地へ。
15:20 沢渡到着。
15:55 上高地バスターミナル到着。
17:50 横尾到着。
19:15 ビバーグポイントに到着。渡渉点を間違えて40分近くロス。
夕方の上高地バスターミナルは帰る人ばかり。
上高地から横尾へ登山道を、飛ばして歩き1:55で到着。
おかげで、伊藤さんは足にマメが出来てしまったらしい。
横尾から1ルンゼへの渡渉点へ出発した時は、まだ明るかったのが渡渉ポイントを間違えてしまい、1ルンゼの取付に着いた時には、もう真っ暗。
暗い中横尾谷を渡渉していたら、1ルンゼからヘッテンを付けた数パーティが降りてくるではないですか、これにはビックリ。
今回は、軽量化の為にテントではなく、フライ付ビバーグツエルトのみ。
さらに、俺はシェラフも持たずにシェラフカバーだけの軽量装備。
幕営終了後、軽く夕食を食べて、持ってきた酒を軽く飲んで早々に就寝。
でも、夜は流石に冷え込む。
寒くて目が覚めてしまい、レインや予備のTシャツを着込んで再度就寝。
■上高地バスターミナル。帰る人ばかりだ。
■暗い中 横尾谷の渡渉。水がビックリする程冷たい。直ぐに足が痛くなる。
8月12日(土曜日)
3:30起床。
この時間に起きれば、楽勝で混浴に間に合う。
朝ごはんを簡単に済ませて、クライミングギアーを装着して出発。
不用品はツエルトに残置。
■渡渉した所に、ビバーグした。下が砂で寝やすかった。出発準備中のいとうさん。
4:22 出発。
暗い中1ルンゼを登って行ったが、ここは、暗くても迷う事ない。
ルートは明確です。
T4テラスのかなり近くになったら、右の草付に出てT4テラスの取付へ向かう。
■1ルンゼから右の草つきに移る地点。
T4取付の1P目は、残置支点やスリングがある所から登りだす。
しかし、思ったより悪い。
昨日あんなにパーティが入っていたのに砂や枯葉が浮いているので、これは取付地点を間違ってしまったのではないかと思い、一度クライムダウンしてもう一度取り付きを確認したが、やはりここしかない。
再度、登りだしたら15m程登ったら1Pの終了支点を発見。
正しかったようだ。
20分はロスをしてしまった。
4:55 T4取付に到着
■T4取付 1P目 かなり出だしが悪い。(はっしーの記録から拝借)
T4テラス直下の岩も一応ロープを出した。
■T4テラス直下
・雲稜登攀開始
1P 伊藤リード7:10~7:55
坂本 8:03~8:23
登る順番は、事前に打ち合わせしていたので、すぐに伊藤さんが取付。
ハング下までは問題ないのですが、ハング越え付近はかなり力ずくなクライミングになってしまった。
リードのいとうさんは、小ハング付近でタマ切れしてしまい大変だったそうです。
俺はフォローだったので、小ハングもフリーで抜けたがリードだったら迷わずA0だな。
■雲稜 1P目 最後のハング乗り越えが核心(はっしーの記録から拝借)
2P 坂本リード 8:27~8:46
伊藤 8:55~9:15
スタートから右のフェイスへ出るのが怖い。
スタンスが見当らない。足元は、切り立った絶壁状態。
しかし、フェイスに出てしまうと諦めが付くので大丈夫。
右上の方に登って行くとピナクルがある。
そこから階段状の岩を左上すると、広い扇岩テラスに出る。
階段状の所には、支点がないので少し怖いかも。
扇岩テラスからコールしても聞こえないらしい。
俺は扇岩から顔を出すように伊藤さんにコールした。
■雲稜 2P目 扇岩テラスからピナクルのところにいる伊藤さんを写す。
3P 伊藤リード 9:25~10:30
坂本 10:32~10:58
トポでは11+のフリー化もされているとだったが、こんな所で11登る気がしないので、2人とも迷わずアブミでA1。
終始、アブミの架け替えで終わってしまったので、面白くなかった。
途中リングボルトのリングが取れている時に、リベットハンガーを使おうと思ったが、古い細引きが邪魔でリベットハンガーが中々セット出来ない。
途中からはリベットハンガーは使わなく、残置細引きで登ってしまった。
終了間際に余りにも酷い細引があったので、ナイフでカットして新しい細引きに交換した。
■雲稜 3P目をリードする伊藤さん。
4P 坂本リード 11:03~11:20
伊藤 11:21~11:38
ハンギング気味の支点から、1.5m程度上のテラスまでAOで抜けた。
テラスの所の、ガバは浮いているような音がして、マッターホルンでの落下がよみがえり怖くなってしまった。
そして、狭いバンドを5m程右にトラバースするのだが、支点を見逃しかなり怖かった。
トラバースして東壁ルンゼの直ぐのところに支点があったので、ここで一度ロープを切った。
5P 伊藤リード 11:40~11:54
坂本 11:55~12:04
4P支点から右上に少し上がり、直ぐに悪いフェースを左上に上がると終了。
左に上がるところも微妙に悪い感じでした。
距離的には、15m程度しかロープが出ていなかった。
6P 坂本リード 12:05~12:23
伊藤 12:24~12:42
高度感あふれるスラブ。
結構悪い感じ。
少しスラブを登り出したら、雨がパラパラ降り出してきた。
このスラブで雨が本降りになったら多分クライミングにならない。
雷も鳴り出し、マッターホルンのときの嫌な記憶がよみがえる。
少し頭がパニックになり気味になってしまった。
まだ、雨はパラパラの小降りだが濡れたところは結構滑る。
ここで滑ると危険なので、途中からは終始A0で終了点まで行った。
今日は同下降を予定したし、混浴に行く時間がなくなってしまうので予定通りここで終了。
懸垂の準備をしていると、いよいよ雨は本降りになってきた。
ルンゼを雨が流れ出す。
この雨と雷なので早く降りたかった。混浴にも間に合わなくなってしまうし。
先ずは、俺が先頭で懸垂降下開始した。
しかし、ここから今日の波乱万丈が始まった。
その2に続く。