皆さんいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナのパンデミックが、まだまだ続いていますね。
日本であまり報道されていない、ロシア(主にムルマンスク州)での新型コロナ関連情報をお知らせします。
1)感染状況
ロシア国内では、一般接種開始前までは一日の新規感染者数が2万~2万5千人でした。しかし開始後は徐々に右肩下がりになり、2月2日現在では一日の新規感染者数が1万7千人です。
ムルマンスク州内では、一般接種開始前までは一日の新規感染者数が250~280人でした。しかし開始後は徐々に右肩下がりになり、2月2日現在では一日の新規感染者数が158人です。
▲図1-1ロシア国内での新規感染状況 ※一般向け大規模接種開始(1月18日)の表示を追加しました。
▲図1-2ムルマンスク州内での新規感染状況 ※一般向け大規模接種開始(1月18日)の表示を追加しました。
2)ワクチン接種状況
世界に先駆けて発表したロシア発の抗新型コロナワクチン「スプートニクV(正式名ГамКовидВак)」は、治験方法などの不十分さから世界から「世界的優位に立つことを目論むプーチンロシアのワクチン外交」と揶揄され、物議を醸し出していました。現在はベラルーシ、ボリビア、アルゼンチン、アルジェリア、セルビア、パレスチナ、パラグアイ、ベネズエラ、トルクメニスタン、ハンガリー、アラブ首長国連邦が、スプートニクVの国内使用承認しています。(参考:Источник: runews24.ru)
ロシア連邦政府が発表した予定よりもひと月遅れましたが、1月18日から18歳から65歳未満の一般の方を対象に全国規模によるワクチン接種が開始しました。スプートニクVは、超低温下で半年間、+2~+8℃の気温下で2ヶ月保存可能。接種後の抗体レベルが患後にできた抗体レベルより高いとされています。接種方法は2方法。
①各州に設置されたコールセンターに電話予約する
②国家公共サービスポータルサイト「ゴスウスルーギ(https://www.gosuslugi.ru/)」で予約する
それから、希望のワクチン接種を実施する地点に向かい、接種します。
接種は2回必要で、1回目接種後3週間置いてから、2回目を接種します。これにより9ヶ月の免疫が保持されるとされています。2回の接種で有効率は95%です。接種後は、出張・旅行時などに提示すれば便利な「接種証明書」がポータルサイトから発行されます。
(参考:https://www.interfax.ru/russia/738465)
ムルマンスク州では現在州内33箇所に接種を実施する地点を設け、1月29日現在までおよそ5500人もの州民がワクチンを受けました。重症患者専用病床も35%空きが出てきました。重症患者専門チーム員もクリーンルームへ徐々に移動されています。病院以外の各施設では、マスク着用・ソーシャルディスタンス保持・夜間禁止という条件化で50%規模の集客・イベント開催を承認しました。でも65歳以上に外出禁止令が続いています。
3)新型コロナウィルスによる病気の治療方法
ロシア連邦政府は27億ルーブルを新型コロナウィルスによる病気の治療し拠出し、うちムルマンスク州は1200万ルーブルを連邦政府より受領しました。
①所定の保健施設で検査を受けます(有料)。施設によって検査法は違い、好みの方法を選べます。
a) PCR検査法(翌日判定、1000RUB程度)
b) エクスプレス検査法(10~30分判定、2500RUB程度)
②陽性判定が出た場合、結果を受領し患者は速やかに居住地管轄の病院に連絡し、症状を報告。
翌日非常事態省からも、陽性判定とコントロール下にあることをSMSで知らされます。
a)重症 救急車で搬送される(繁忙時は出動に2時間要しました)
b)中軽度 自宅療養となり、数日後、以降1週間毎に救急隊員が訪問、完治するまで無償で薬品配給と定期検査実施。
③定期検査で陰性判定が2回出たら完治と判定。居住地管轄の病院で内科医の問診を受け、回復証を受け取る。
薬品は無償で提供されます。これまでに5万人超の患者に無償で提供されました。症状により違いがあります。軽症の場合は対症療法で、以下のような薬が処方されます。
・アルビドル(арбидол) 総合感冒薬で、治療だけでなく予防効果もあります。
・グリプェフェロン(гриппферон) インターフェロン入り点鼻薬。流行性感冒による鼻水・鼻づまり・鼻腔の炎症に効きます。
・パラツェタモール(парацетамол) 発熱症状があるときに服用。
・アヴィファヴィル(Авифавир) 重中程度患者用。
・アレプリヴィル(Арепливир) 重中程度患者用。
・コロナヴィル(Коронавир) 重中程度患者用。
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流行病と日本とロシア(ソ連)の関係を紐解くと、このような歴史があることに驚かされます(出展 Wikipedia「急性灰白髄炎(別名:ポリオ)」)。2国間は政治的には大変複雑な関係ですが、他方面ではとても相受け入れられ、難事を乗り越えるんですね。
「日本における歴史
日本では、1910年代、1920年代、1930年代後半から1940年代後半、1951年(昭和26年)1月から6月にかけて、および1960年(昭和35年)に流行している。とくに1960年春の北海道にはじまった大流行では、全国で5,606人と日本史上最大の患者届出があった。このとき、ワクチン接種を求める世論が大きな高まりをみせ、ジョナス・ソークによるアメリカ製の不活化ワクチンか、ソビエト連邦製の弱毒の生ワクチンの投与しか解決のみえない状況となった。効果においては生ワクチンの方が優れているが、当時の日本では生ワクチンの安全性は確認されておらず、国産の生ワクチンもなかった。また、輸入するとしても冷戦のさなかにあって西側に属していた日本は乗り越えるべき課題も多かったのである。
そうしたなか、第2次池田内閣の厚生大臣古井喜実は自由民主党内の反対を抑えて「責任は大臣が持ちます」と宣言して1961年(昭和36年)6月21日にソ連(および一部カナダ)からの緊急輸入が決定された。(中略)生ワクチン輸入については、のちに松山善三監督の映画「われ一粒の麦なれど」の主題ともなっている。」
皆さんお身体お大事に。
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新型コロナのパンデミックが、まだまだ続いていますね。
日本であまり報道されていない、ロシア(主にムルマンスク州)での新型コロナ関連情報をお知らせします。
1)感染状況
ロシア国内では、一般接種開始前までは一日の新規感染者数が2万~2万5千人でした。しかし開始後は徐々に右肩下がりになり、2月2日現在では一日の新規感染者数が1万7千人です。
ムルマンスク州内では、一般接種開始前までは一日の新規感染者数が250~280人でした。しかし開始後は徐々に右肩下がりになり、2月2日現在では一日の新規感染者数が158人です。
▲図1-1ロシア国内での新規感染状況 ※一般向け大規模接種開始(1月18日)の表示を追加しました。
▲図1-2ムルマンスク州内での新規感染状況 ※一般向け大規模接種開始(1月18日)の表示を追加しました。
2)ワクチン接種状況
世界に先駆けて発表したロシア発の抗新型コロナワクチン「スプートニクV(正式名ГамКовидВак)」は、治験方法などの不十分さから世界から「世界的優位に立つことを目論むプーチンロシアのワクチン外交」と揶揄され、物議を醸し出していました。現在はベラルーシ、ボリビア、アルゼンチン、アルジェリア、セルビア、パレスチナ、パラグアイ、ベネズエラ、トルクメニスタン、ハンガリー、アラブ首長国連邦が、スプートニクVの国内使用承認しています。(参考:Источник: runews24.ru)
ロシア連邦政府が発表した予定よりもひと月遅れましたが、1月18日から18歳から65歳未満の一般の方を対象に全国規模によるワクチン接種が開始しました。スプートニクVは、超低温下で半年間、+2~+8℃の気温下で2ヶ月保存可能。接種後の抗体レベルが患後にできた抗体レベルより高いとされています。接種方法は2方法。
①各州に設置されたコールセンターに電話予約する
②国家公共サービスポータルサイト「ゴスウスルーギ(https://www.gosuslugi.ru/)」で予約する
それから、希望のワクチン接種を実施する地点に向かい、接種します。
接種は2回必要で、1回目接種後3週間置いてから、2回目を接種します。これにより9ヶ月の免疫が保持されるとされています。2回の接種で有効率は95%です。接種後は、出張・旅行時などに提示すれば便利な「接種証明書」がポータルサイトから発行されます。
(参考:https://www.interfax.ru/russia/738465)
ムルマンスク州では現在州内33箇所に接種を実施する地点を設け、1月29日現在までおよそ5500人もの州民がワクチンを受けました。重症患者専用病床も35%空きが出てきました。重症患者専門チーム員もクリーンルームへ徐々に移動されています。病院以外の各施設では、マスク着用・ソーシャルディスタンス保持・夜間禁止という条件化で50%規模の集客・イベント開催を承認しました。でも65歳以上に外出禁止令が続いています。
3)新型コロナウィルスによる病気の治療方法
ロシア連邦政府は27億ルーブルを新型コロナウィルスによる病気の治療し拠出し、うちムルマンスク州は1200万ルーブルを連邦政府より受領しました。
①所定の保健施設で検査を受けます(有料)。施設によって検査法は違い、好みの方法を選べます。
a) PCR検査法(翌日判定、1000RUB程度)
b) エクスプレス検査法(10~30分判定、2500RUB程度)
②陽性判定が出た場合、結果を受領し患者は速やかに居住地管轄の病院に連絡し、症状を報告。
翌日非常事態省からも、陽性判定とコントロール下にあることをSMSで知らされます。
a)重症 救急車で搬送される(繁忙時は出動に2時間要しました)
b)中軽度 自宅療養となり、数日後、以降1週間毎に救急隊員が訪問、完治するまで無償で薬品配給と定期検査実施。
③定期検査で陰性判定が2回出たら完治と判定。居住地管轄の病院で内科医の問診を受け、回復証を受け取る。
薬品は無償で提供されます。これまでに5万人超の患者に無償で提供されました。症状により違いがあります。軽症の場合は対症療法で、以下のような薬が処方されます。
・アルビドル(арбидол) 総合感冒薬で、治療だけでなく予防効果もあります。
・グリプェフェロン(гриппферон) インターフェロン入り点鼻薬。流行性感冒による鼻水・鼻づまり・鼻腔の炎症に効きます。
・パラツェタモール(парацетамол) 発熱症状があるときに服用。
・アヴィファヴィル(Авифавир) 重中程度患者用。
・アレプリヴィル(Арепливир) 重中程度患者用。
・コロナヴィル(Коронавир) 重中程度患者用。
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流行病と日本とロシア(ソ連)の関係を紐解くと、このような歴史があることに驚かされます(出展 Wikipedia「急性灰白髄炎(別名:ポリオ)」)。2国間は政治的には大変複雑な関係ですが、他方面ではとても相受け入れられ、難事を乗り越えるんですね。
「日本における歴史
日本では、1910年代、1920年代、1930年代後半から1940年代後半、1951年(昭和26年)1月から6月にかけて、および1960年(昭和35年)に流行している。とくに1960年春の北海道にはじまった大流行では、全国で5,606人と日本史上最大の患者届出があった。このとき、ワクチン接種を求める世論が大きな高まりをみせ、ジョナス・ソークによるアメリカ製の不活化ワクチンか、ソビエト連邦製の弱毒の生ワクチンの投与しか解決のみえない状況となった。効果においては生ワクチンの方が優れているが、当時の日本では生ワクチンの安全性は確認されておらず、国産の生ワクチンもなかった。また、輸入するとしても冷戦のさなかにあって西側に属していた日本は乗り越えるべき課題も多かったのである。
そうしたなか、第2次池田内閣の厚生大臣古井喜実は自由民主党内の反対を抑えて「責任は大臣が持ちます」と宣言して1961年(昭和36年)6月21日にソ連(および一部カナダ)からの緊急輸入が決定された。(中略)生ワクチン輸入については、のちに松山善三監督の映画「われ一粒の麦なれど」の主題ともなっている。」
皆さんお身体お大事に。
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