ムルマンスク便り

-夏の完全白夜、冬のオーロラ- ロシア連邦北西部にあり北極圏最大都市ムルマンスク市(ムールマンスク)の現地情報をお届け。

10周年追悼行事「渡辺大剛・あれから10年」開催報告②

2023-06-24 12:00:00 | 様々な話題
この記事は2月中旬に予告しました追悼行事「渡辺大剛・あれから10年」の詳細報告です。
これまでの記事は弊ブログの以下の記事をご一読ください。
Харухиса Ватанабэ - 10 лет (渡辺大剛・あれから10年)
故・渡辺大剛さんの慰霊碑の所在地とアクセス
10周年追悼行事「渡辺大剛・あれから10年」開催報告①

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10周年追悼企画「渡辺大剛・あれから10年」プロジェクトは、ムルマンスク州を縦断リレー式で開催されました。
中国・ウルムチ~ロシア・ムルマンスクの自転車の旅で、故・渡辺大剛さんが果たせなかった残り区間を走破するように。
事故地点はカンダラクシャ地域郊外でしたので、そこから最も近い町カンダラクシャ市からスタートしました。
地名の由来は諸説あるようで、「カンダ川畔の町」とか、サーミ語の「«кант(荷袋)»と«лухт(湾)»」の合成語とかから来ているらしい。


11月2日。朝ムルマンスク駅を出発して、昼3時頃カンダラクシャ駅に到着。
250kmも離れているので、移動が大変です。
 


駅には、今回会場となる市立図書館第3分室の室長のカーチャさんが迎えに来てくださいました。
早速大荷物と共に第3分室へ。
数時間かけて全展示物を配置。
  

もうすぐ極夜ということもあり、完成した6時頃には辺りはすっかり暗くなってました。
その後はカーチャさんが宿泊手続きと中心地の案内をしてくださいました。
先ずはお宿。市内最安値の「ベロモリエ(Беломорье)」を予約してありましたので、入館。
ソ連時代を髣髴とさせる、ホテル外観とロビー
 

滅多に来ない外国人客にロビーは少々パニックになってました。
無事手続き終了し、自室へ。
   

  

中もやっぱりソ連感・・・・。ソビエト懐古趣味がおありの方々にとっては、ジワリくる内装でしょう。
その晩は近くで夕飯を済ませ、就寝。

翌朝。ホテルの朝食を摂りにレストランへ。
  

ソビエト懐古趣味の方々の期待を裏切らない「ソ食」でした・・・・(写真左から店内の様子、1日目、2日目の朝食)。

時間が有ったので、周辺を少し散歩しました。
ホテル前は大広場になっていて官公庁施設も有ります。
カンダラクシャ市は市創設から500年も経過しています。
ムルマンスク市より先輩です。
そして国家の肝いり現代化プロジェクト「Национальные проекты」が少しずつ入り、所々デザインアップされてますが、
室長のカーチャさん曰く「昔と全然変わってない」そうです。
   


中心地から少し離れると、このような感じです。
やはり「全然変わってない」?
たまに、プロジェクトの1つである壁画アートが見受けられます。
市近くにある白海はベルーガ(シロイルカ)の故郷とされているので、こんなかわいい壁画も登場。
   


市立図書館第3分室に移動し、まだ時間があったので、近くの海辺にも行ってみました。
  

水が透明です。この辺も、観光地にすべく海浜開発が進んでいます。

開始前の腹ごしらえ。分室近くのカフェで昼食。
  

シンプルでしたが、美味しかったです・・・・(写真左から店の外観、1日目、2日目の昼食)。

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さて14時になったので、写真展開催です。
初日と2日目にプレゼンテーションとして、「Мечтатель за той горой(あの山の向こうの夢想家)」を公開しました。
渡辺さんの生い立ちと軌跡などを30分弱に編集した、ドキュメンタリービデオです。
初日は平日なのにも拘らず、多くの方に来て頂きました。
 


その後は、日本文化を体験してもらうため、手芸教室、書道教室、着物着付け教室を開催。

手芸教室では、栞タイプの姉様人形を作りました。
特に子供達に受けて、最後のクリスタルシールで髪飾りするときが一番テンションが上がってました。

書道教室は、渡辺さんを表す漢字をいくつかピックアップし、毛筆を使って書きました。
ちょっと私の気合が入りすぎたようで、見本となる絵の背景画が凝ってしまいましたxxx。
でも皆さんも気合を入れて書いてくれました。

着付け教室も多くの人が体験されました。
いつも思いますが、ロシアの方は全てのサイズが大きく、特に手足が5~10cm長いです。
このため、日本の規格の着物を着せると、ツンツルテンの七分袖ぐらいになってしまいます
通常の和服だとそれじゃアウトですが、その点浴衣は多少短くても構わないのでいいですね。
ロシア人のための浴衣を今度協会メンバーと作りますので、その点をしっかり反映させなくては。
   


カンダラクシャ市は、前回は渡辺さんの追悼サイクリングで訪れ、今回で2回目となります。
いろいろな市民の方と交流できてとてもよかったです。
でも仕事で慌しかったので、今度訪れるときは私用で十分な時間を割いて、いろいろな所を見て廻りたいです。

10周年追悼行事「渡辺大剛・あれから10年」開催報告①

2023-06-17 12:00:00 | 様々な話題
この記事は2月中旬に予告しました追悼行事「渡辺大剛・あれから10年」の詳細報告です。
これまでの記事は弊ブログの以下の記事をご一読ください。
Харухиса Ватанабэ - 10 лет (渡辺大剛・あれから10年)
故・渡辺大剛さんの慰霊碑の所在地とアクセス

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10周年追悼企画「渡辺大剛・あれから10年」プロジェクトは、6月から開始しました。

プロジェクト内容は、以下の3つでした。
写真展(生い立ち、世界七大陸最高峰挑戦などの未公開写真を含む30点)
ドキュメンタリービデオ公開(写真、旅日記、追悼サイクリング、目撃者情報などを盛り込んだ30分ビデオ)
日本文化紹介(書道、手工芸などの普及)

開催地・日程については、以下の3都市でリレー開催
2022年11月3日~11月18日 カンダラクシャ市(ムルマンスク州の中で事故地点から最も近い都市)
2022年11月25日~12月9日 オレネゴルスク市(2013年に開催した追悼サイクリングイベントで宿泊した都市)
2023年1月14日~1月31日 ムルマンスク市(最期の旅の終着点だった都市)
彼の命日である12月26日の開催は、避けました。
こちらでは12月中旬から1月初旬まで新年&クリスマス期間のため、関心が薄くなる理由です。

露のSNS「フコンタクテ」にも特設ページを作り、同SNS上にあるサイクリング、山岳、旅行、日本関連コミュニティにrepostしてもらえるように依頼しました。地元紙の「コムソモリスカヤ・プラウダ」「b-port」や地元サイト「Hibiny.com」などでも告知をしてもらえました。
▼特設ページのTOP画像

▼各メディアの関連記事
道の走破者の最期の旅(ロシア語) https://dzen.ru/a/X6PUWkejSBLO1GGi
悲劇から10年 ムルマンスク州で事故死した「日本のフョードル・コニュホフ」とは(ロシア語)
https://www.murmansk.kp.ru/online/news/5078682/

またムルマンスク市内だけではありますが、イベントに顔出して告知させてもらったりもしました。
写真は、9月27日の「世界ツーリズムの日」に青少年図書館で開催されたイベント「旅行者の日記」での告知の様子です。
通常だったら掴みはいいのですが、昨今の世界情勢のせいで日本は「アウェイ」なので、
告知を聞いてくれた参加者の中には「坊主憎けりゃ袈裟まで」よろしく、筆者の方を明らかに睨んでいる方もいらっしゃいました。
おーこわ
政治と文化は分けましょうね。しかも追悼行事じゃないですか。静かに平和に迎えましょう。


次回はカンダラクシャ開催のときの様子を報告します

オレンジ色の街と雨上がりの虹

2023-06-10 17:58:41 | ムルマンスク市・街の表情
オレンジ色に染まった街に突如現れた、雨上がりの虹です。
素敵ですね、夕焼けに出てくる虹。
午後4~5時頃に撮影された・・・・とお思いでしょう。


実はこれ、現地時間6月10日午前0時に現れた虹です。
そう、真夜中です。
今ムルマンスクは白夜シーズン真っ最中で、夜でも太陽が地平線に隠れません。
更にこんな時間だから、人も車も往来がほぼ皆無。

何度見ても不思議な光景です。

写真: "Murmansk (vk)"

余談ですが、ソース元であるSNS「フコンタクテ」の紹介やリンクを上の付記に貼ろうと思ったのですが、
SNS「フコンタクテ」のURLを本文に挿入すると「本文に不正な書式が含まれています」と表示され、
アップロードができません。gooでは露のSNSは「ヤバいサイト」処理されるのかなwww?
なので上記のように超簡素に書きました。

ロシアの教育システム

2023-06-10 16:48:43 | 様々な話題
幼稚園生になる
生後2ヶ月から受け付けていますが、園によって通常3歳からが多いようです。
発育状況に応じ、8歳まで通えます。
幼稚園にいきなり押しかけても、引き受けてもらえません。
居住地区の役所に行き、申請してから入園となります。

幼稚園生→1年生に
日本のように「6歳児が必ず小学校入学へ」というわけではありません。
ロシアでは6歳半から8歳までの子供が学校入学し、1年生になります。
ロシアの学校は日本のように、小学校・中学校・高等学校と分かれていません。
でも能力別にこのように分かれています。
①11年一貫の進学校であるギムナジア(1~11年生)
②4年一貫の中堅学校であるプロギムナジア(1~4年生)
③5年生から入学できる7年制の中堅学校リセ(5~11年生)
④普通学校と呼ばれるシコーラ(11年制もあれば9年制もあり)
の3種類があります。
ロシアの学校は、12年制ではなく11年制です。
なので、昔は日本留学の際に募集資格でちょっと引っかかることも以前はあったようです。

それから、ギムナジア・プロギムナジア進学の際に、日本でいうところの内部推薦・進学、一般推薦、一般受験があります。
学校の極周辺に住んでいる又は学校の極近くの幼稚園に通っている子供は、「内部推薦・進学」のような扱いで、優先的に入学できます。
それから障碍を持つ子供も。
学校近くにない幼稚園からの推薦は、一般推薦(否案外コネかも)。
そうでなければ一般受験で合格しければなりません。

一般受験受付は8月頃に学校のHPで告知されます。
申請後はいよいよ受験ですが、日本のように一発試験・一発面接で合否を決めるのではありません。
9月から翌年1月までの5ヶ月間、週2回夕方に学校に通い1時間ぐらい授業に参加します。
月末には確認テストがあります。5ヶ月の期間中、素行問題がなく、成績優秀だった子供が合格できます。


1年生~4年生
この期間は、初等学年と言われています。
体育と英語以外は1人の先生がロシア語、算数、理科社会、音楽、図工などを教えます。


4年生→5年生に
ギムナジア・プロギムナジアの初等学年中に成績・素行の芳しくなかった生徒は、シコーラに移動となります。
プロギムナジアは4年生で修了なので、ギムナジアかリセ、シコーラに移動します。
ギムナジアかリセに転校の際は、勿論試験があります。


5年生~9年生
この期間は、中等学年と言われています。
いろいろな先生が各教科を教えます。
4~5年生→ロシア語、算数、生物、地理、歴史、音楽、美術、技術家庭、文学、英語、体育
7年生から→物理が追加。
8年生から→数学が「代数学」「幾何学」に変更。情報数理、化学、生活安全などが追加。
学校によっては、生徒の負担軽減のため、音楽や美術に転向も可。


9年生→10年生
9年生は在席時にОГЭ(Основной государственный экзамен)というテストを受験します。
日本で言うアテストだと思います。
その結果次第で希望する学校へ転校できます。
進学校にカテゴライズされているギムナジア、リセ、一部のシコーラは、10年次11年次にはПрофильные классы(プロフィリヌィエクラス)と呼ばれ、大学進学コースのようになります。
カレッジと呼ばれる専門学校へ行くコースもあります。
学生達はそれまでに、自分は文系か理系かなど、進路を決めなくてはなりません。
例えば、ムルマンスク市の学校では
ギムナジア第1学校(人文系、工学系)
ギムナジア第2学校(人文系、自然科学系)
ギムナジア第3学校(人文系、自然科学系)
ギムナジア第5学校(自然科学系*ロスネフチ特別コース、工学系、医学系)
ギムナジア第6学校(自然科学系、工学系、社会経済系)
ギムナジア第7学校(自然科学系、工学系、社会経済系、人文系)
ギムナジア第8学校(自然科学系、工学系*交通運輸特別コース、人文系)
ギムナジア第9学校(人文系)
ギムナジア第10学校(工学系、自然科学系、工学系*石油ガス特別コース)、社会経済系)
ムルマンスク国際リセ(自然科学系、工学系、人文系)
ムルマンスクアカデミーリセ(航空系、社会経済系)
ムルマンスク理工学リセ(工学系、医学系、社会経済系)
リセ第2学校(人文系*州調査機関士官候補生特別コース、社会経済系*税関特別クラス、社会経済系*州内務省士官候補生特別コース
カデツカヤ普通学校(防衛スポーツ系)
第5普通学校(医学系、防衛スポーツ系、人文系)
第36普通学校(医学系、工学系、社会経済系)
第57普通学校(工学系、自然科学系、人文系)

10~11年生
大学進学に向けての準備期間です。

11年生→大学生
11年生は5月下旬に卒業式を迎えます。
そして5月末から6月末までЕГЭ(Единый государственный экзамен)というテストを受験します。
日本で言う共通テストだと思います。
その結果次第で希望する学校へ転校できます。