やさぐれは 下げる頭を 惜しむ馬鹿 夢詩香
*酒場などにいくと、よくみっともない男がいますね。
安い酒を片手に、世間や政治への文句ばかり言っている。いやに汚らしいことを言う。たぶん女房に逃げられでもしたのでしょう。着ているものも薄汚れてだらしない感じがする。
ニヒルや世捨て人を気取って、老荘の語句なんかを引用したりするが、まともに相手をするとろくなことがないという感じがして、ほとんどだれにも相手にされない。
そういうのを、やさぐれと言います。
こういう男は、かなりいますよ。40過ぎて、離婚した男に多い。若いときはまだいいが、人生の途中でつまずいて、うまく対処することができずに、女房にあきれられてしまい、家庭をつぶしてしまう。なんでそういうことになるかというと、男というものが、女性に頭を下げられないからです。
馬鹿な男というものは、女が自分より頭がいいと、まともに困るのです。自分の方が絶対によいということでないと、女性とまじめに付き合うことができないのです。女性もそういう男のわがままはわかっていますからね、だいぶ我慢してつきあってくれますが、これ以上はだめだという限界もある。
だいたい、女性の方が絶対に男より頭が悪いなんてことはありえないのですよ。頭がいい女性なんてそれはたくさんいるのです。ただ、あからさまにそれを出すと、男が馬鹿にして何をするかわからないので、黙って控えているだけです。
だが、そういう女性の賢さが、人生を助けることがある。男は堂々とした力がありますから、よくそれでごり押しして世間にぶつかって痛いことになりますが、女性は全体のバランスを考えてものごとをする。長い目で見れば、女性の方が正しいということはよくあるのです。
男性のよくする間違いは、こういう女性の賢さに対して、頭を下げることができないということから起こります。男が人生でつまずいた時、結局は女房の方が正しかったのだと認めることができずに、子供のようなけんかをしてしまい、別れてしまう。そういうことはよくあります。
それでつらいことになっても、自分の非を認めることができずに、安酒に酔いながら、誰かのせいにできないかと、色んな理屈をこねている。そういうことばかりしている。だんだん男が腐ってきて、安酒場の女将も相当に困る。
こうなったら男はもうおしまいです。
女性が自分より頭が悪くなければ、つきあうことができないなんて、馬鹿だということを、認めなさい。だいたい、男の人生は、それが原因で崩れてくるんですよ。頭のよい賢い女性には、その真価を認め、頭を下げなさい。それくらいできないと、もう男だということはできません。
やさぐれなんて、どんなにかっこつけても、むなしいだけだ。痛いことができないから、とぐろをまいているだけに過ぎない。