さざんかの 紅は乱れて 土を塗る 夢詩香
*さざんかは冬に咲く花の代表ですね。白いのもありますが、目に痛いほど赤い花が目立つ。
きつい色が、寒い冬の中でますますきつく映える。まるで唐辛子のようだ。火を燃やしているわけではないのに、見ていると心のどこかが熱くなる。
そばによっても暖かくなるわけではないのに、そばによって温まりたくなる。
だが本当は、さざんかは人を温めてくれているのです。火を燃やすのとは別の方法で、人間の心に火を入れてくれるのです。
冬の最中に咲いてくれることで、冬の中にしおれていきそうな人間の心のどこかを、痛く支えてくれている。だから人間は、さざんかを見ると、なんだかもう少し、つらいことに耐えていこうという気持ちが起こってくるのです。そして本当に、耐えていける。
寒い冬は本当につらいが、つらいこともつらいとしないで、まずまず生きていきなさい。春は必ず来てくれる。世界が本当に温まってくるまでは、わたしがあなたの心に灯ってあげよう。
さざんかは散ると、根元を赤い花びらで埋めていく。その様が、地面に赤い色を塗りたくっているようで、なんだか熱い。いやなことが、それだけでどこかへ行くような気がする。
理屈はわからない。だけど人は、さざんかがくれる何かを知っているから、いつでもさざんかを庭に植えるのだ。
冬の乗り切り方を学ぶことは、必要です。忍耐という徳を身につけなければ、人は高くなれないからです。何事も、耐えることができなければ、人間は本当は進むことはできないのです。
紅の色で、心の闇を塗り、力をつけて、耐えていきなさい。