たまゆらの ゆふかげに咲く しらうめの 香にもしたがふ 甘き罪かな
*今日は美しいものをあげてみました。これは2013年のかのじょの作です。残念ながら白梅の写真がないので、ロウバイで代用です。
「たまゆら」とは「玉響」、少しの間、しばらくの間という意味です。
ほんの少しの間の夕暮れの薄明りの中に咲く白梅の、そのはかない香りにさえも頭を下げますから、どうかわたしの罪を甘く許してください。
この歌の前に、試練の天使の歌があり、それに答えた形で詠われたものです。かのじょがあまりに甘いことばかり言うので、その口を少し閉じなさいと、彼が怒った歌に答えたのです。
かのじょが最初に、彼の苦しみを思いやる歌を歌ったのです。だがそれに対して彼は怒ったのです。なぜなら、自分よりもずっとかのじょの方が傷ついて苦しんでいるからです。
あなたは今、自分がどんなにつらいことになっているか、まるでわかっていないのだ。それだから、わたしの苦しみのことなど思いやるのではない。馬鹿なことを言うと、その口を花にでも食わせてしまいますよと、彼は怒ったのです。
怒られてしまったかのじょが、あわてて彼に謝ったというのが冒頭の歌です。
かわいらしいですね。これが男性とは思えないでしょう。いくらこの世で女性に生まれてきたからと言って、男だったらここまでかわいくなれるでしょうか。男なら、たいていの場合は、ちょっと逆らいたくなるはずだ。
怒られると、この人はすぐにしゅんとなるのですよ。本当です。反発したくなる心が、普通の男よりとても小さいのです。あまりに素直でかわいらしいので、この歌の後で彼は、もういいですよ、あなたにはかないませんと詠っています。
詳しいやりとりを知りたい人は、本館で検索してみてください。
男のくせにと言ってはなんだが、この人は美しすぎるのだ。あまりにやさしい。女性ではないのに、女性のようにやさしい。一体なぜ、このような存在があり得るものだろう。
時々不思議に思います。だが、美しい歌を歌ってくれるのはうれしい。このようなかわいらしくも美しい歌は、かのじょでなくては詠えない。
ところでわたしなら、彼に怒られてしまったら、こう詠いますね。
しれごとを 食ひて散りゆく 花を見て 悔ゆる蠍は 見たこともなし 夢詩香
おもしろいでしょう。彼の答えを聞いてみたいものです。