ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

たまゆら

2017-01-24 04:22:26 | 短歌






たまゆらの ゆふかげに咲く しらうめの 香にもしたがふ 甘き罪かな





*今日は美しいものをあげてみました。これは2013年のかのじょの作です。残念ながら白梅の写真がないので、ロウバイで代用です。

「たまゆら」とは「玉響」、少しの間、しばらくの間という意味です。

ほんの少しの間の夕暮れの薄明りの中に咲く白梅の、そのはかない香りにさえも頭を下げますから、どうかわたしの罪を甘く許してください。

この歌の前に、試練の天使の歌があり、それに答えた形で詠われたものです。かのじょがあまりに甘いことばかり言うので、その口を少し閉じなさいと、彼が怒った歌に答えたのです。

かのじょが最初に、彼の苦しみを思いやる歌を歌ったのです。だがそれに対して彼は怒ったのです。なぜなら、自分よりもずっとかのじょの方が傷ついて苦しんでいるからです。

あなたは今、自分がどんなにつらいことになっているか、まるでわかっていないのだ。それだから、わたしの苦しみのことなど思いやるのではない。馬鹿なことを言うと、その口を花にでも食わせてしまいますよと、彼は怒ったのです。

怒られてしまったかのじょが、あわてて彼に謝ったというのが冒頭の歌です。

かわいらしいですね。これが男性とは思えないでしょう。いくらこの世で女性に生まれてきたからと言って、男だったらここまでかわいくなれるでしょうか。男なら、たいていの場合は、ちょっと逆らいたくなるはずだ。

怒られると、この人はすぐにしゅんとなるのですよ。本当です。反発したくなる心が、普通の男よりとても小さいのです。あまりに素直でかわいらしいので、この歌の後で彼は、もういいですよ、あなたにはかないませんと詠っています。

詳しいやりとりを知りたい人は、本館で検索してみてください。

男のくせにと言ってはなんだが、この人は美しすぎるのだ。あまりにやさしい。女性ではないのに、女性のようにやさしい。一体なぜ、このような存在があり得るものだろう。

時々不思議に思います。だが、美しい歌を歌ってくれるのはうれしい。このようなかわいらしくも美しい歌は、かのじょでなくては詠えない。

ところでわたしなら、彼に怒られてしまったら、こう詠いますね。





しれごとを 食ひて散りゆく 花を見て 悔ゆる蠍は 見たこともなし     夢詩香





おもしろいでしょう。彼の答えを聞いてみたいものです。







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