とほき灯を 星のくらゐに 入れし冬 夢詩香
*昨日は春でしたが、今日は冬の句です。
「星のくらゐ」っていうのは、星座のことです。
子供の頃に住んでいた家からは、遠い山のてっぺんに、いつも小さな灯りが見えていました。山のてっぺんに家があるみたい。何の家なのかは、教えてもらったことがあるんだけど、忘れてしまいました。
子供の頃に、あれを星にして、勝手に星座を作ってしまったことがあるんです。まあそれだけのことなんだけど、なんだか忘れられなくて、句にしてみたのです。
あんな山のてっぺんに、電灯のつく家があって、誰かがそこに住んでいるということが不思議だった。どんな人が住んでいるんだろうって、想像するだけで楽しかった。
あなたの家の灯りを、星にして、星座を作ってみましたよ、なんて手紙を、その人の家に届けるなんてことを想像したこともありました。
子供って、よく妙なことを考えているものなんです。
今思えば、かわいくて、笑いたくなるようなことなんだけど。当時のわたしは結構真剣だったな。
あの山のてっぺんの家には、どんな人が住んでいたんだろう。今ではもう、子供の頃に住んでいた家は壊れてしまって、ありません。実家は隣町に引っ越してしまった。
あの頃住んでいた町に戻ることはもうないだろうな。あの遠い山の灯りは、今もまだあるんだろうか。