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里山の 紅葉すたれて 冬来る 夢詩香
*今日は軽く、情景描写の練習といきましょう。
俳句は17文字の芸術ですから、一つの言葉で大づかみに痛い表現ができなくてはなりません。
それにはいろんな動詞を知っている方がいい。
里山の紅葉がそろそろ終わってきている、という季節の動きを短い言葉で表そうとすれば、どういう言葉がいいかと考える時、「すたる」という言葉を思いついたのです。
前に「夏去りぬ」の句では、「おとろふ」という言葉を使いましたが、似ていますね。どちらも、何かが小さくなっていくという動きだ。こういう響きの似ている言葉は、感覚としてとらえておいたほうがいい。
そうすると、状況の描写を的確にすることができます。
この句では三文字の動詞がいいので、「すたる」にしましたが、四文字でいいのなら「おとろふ」を、二文字しか余裕がないのなら、「退く」や「褪す」などを使ったでしょうね。「里山の紅葉は退きて冬来る」にすることもできますが、「すたる」のほうが感覚的にぴったりするのでそっちにしました。「ほろぶ」もありますが、それだと少々きつくなる。
いろいろな人の句や歌を読んでみると、漢語を多用している人が多いですね。それもいいですが、和語のほうが面白味があってよい。漢語は意味が強く、限定的になる。含めることのできる意味が狭い。句や歌を深めるためには、和語のやわらかで広やかな響きが良い。
小さくなっていくという動詞のほかにも、感覚的に、大きくなっていくという感じの動詞も集めてみましょう。
「上がる」、「満つ」、「ふくる」、「ひろぐ」、いろいろとあります。「高まる」もありますね。
「ちごもずの声高まりて夏来る」などという詠み方もできますね。ちごもずは夏鳥です。
感覚的につかんでおいて、文字数に応じて使い分けると、おもしろい表現ができます。
こういう基礎的訓練は大事です。