馬鹿男 やらぬ言ひ訳 のみ育ち 夢詩香
*弱くて働かない馬鹿男ほど、何もやらないことについての言い訳だけが上達するものだ。まあこれはよくあることですが。
男性というのは、もともと、この世界を雄々しく生きていけるような素質を神に頂いています。筋肉も骨も太い。労働することに向いている。理論能力も発達している。例えば今年の麦の出来具合がこれくらいだということがわかると、男はすぐに、これだけのことができる、という計算ができるのです。それですぐに対応することができる。
女性ではここまでのことをするまでに、段階を踏まねばならないのだが、男性はいっぺんに跳躍することができるのです。
だがこの男の能力を、男をやらないことの言い訳のために使うのが、馬鹿男というものなのです。なんで男をやらないのかというと、怖いから、痛いのが嫌だから。まじめにやっているやつが、妬ましいから。
自分がそれをできないわけではないんだが、自分が弱いことに自分でしておいて、それをやらないのです。努力するほうが馬鹿なんだにしないと、自分がつらい。だから馬鹿男は、強引に自分が正しいことにするために、理論を積み重ねて、言い訳を積み重ねる。一つの言い訳が通用しなくなると、また違うやり方で言い訳をする。そのようにして、言い訳の仕方ばかりが成長していく。
色んな理屈で防衛しても、本音を隠しきることなどできはしない。本当は怖いからなのだと。楽をしたいのだと。そういう自分が正しいことにするために、馬鹿男は裏に回ってずるをして、努力している奴を馬鹿にする。それであんなことをしても馬鹿なことになるだけなんだから、やらないほうが賢いんだよということにしたいのだ。
悪いことやずるいことをして、賢く立ち回って、自分をよくするやつのほうが、いいんだよ。
だがそればかりやっていると、まるで勉強ができなくて、自分がどんどんつらくなる。まじめに勉強しているものは、だんだんと賢くなって、高いことができるようになって、いいことをたくさんして、とても美しくなってくるというのに。
美しくなってきたまじめな奴を見ると、馬鹿男は焦りだす。あっちのほうが女性にもてるからです。だからまじめな奴から容貌を盗んで、言葉ややり方を真似して、自分がそれになりすます。そういうことをやる。
まあことさらに言わなくてもわかっているでしょうが、そういう馬鹿男の言い訳が、とうとう通用しなくなったのが、この時代です。勇気がいる大事なことは何もやらずに、ずると人まねばかりで場当たり的なことしかやって来なかったら、とうとう本気の力がいる場面に出くわして、何もできない自分を世間にさらしてしまった。
馬鹿なことばかりをして、何もかもをだめにしてしまったのに、どうすることもできなくて、とっくに正体がばれているというのに、古い仮面をかぶりつづけて、ごまかせていることにしないとつらいからと、馬鹿男はまだやっている。
これくらいにしておきましょうか。明日はまた短歌にしましょう。