「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるさんが11月30日亡くなりました。
漫画通でないのでその漫画についてはよく知りませんがNHKの朝のドラマ「ゲゲゲの女房」で壮烈な生き方を知りました。
こんな本を買って読みました。
「総員玉砕せよ」・・・漫画本ですが講談社文庫です。初出は「総員玉砕せよ! 聖ジョージ岬・哀歌」(講談社1973年刊).
ニューブリテン島、連合軍の飛び石戦略のため9万余の日本軍がさしたる戦闘もないままぬくぬくと無為に過しているというのになぜか玉砕作戦を繰り広げている大隊長と参謀がいます。玉砕作戦に失敗して生き残った小隊長は自決を強要されます。事実上の死刑です。そして最後の突撃、参謀は兵団長閣下に報告する義務があるといって生き残ろうとして流れ弾に当たって死にます。
実際には最後の突撃はフィクションで、したがって参謀は死にません。「参謀はテキトウな時に上手に逃げます」と書いています。
兵隊と靴下は消耗品、将校、下士官、馬、兵隊・・・兵隊は馬以下の生物と思われていました。兵隊は1銭5厘の赤紙で召集されますが馬は金がかかっているのです。兵隊たちには「大東亜共栄圏」も「七生報国」も関係ありません。疑問を感じたり質問したりすることは許されず目先の猥雑のことだけ考えて日々を過しています。
プロローグは兵隊がピー屋に行列を作って並び「女郎の歌」を歌い、エピローグは突撃の前に「女郎の歌」を歌います。
そして丸山二等兵(水木さんがモデル?)は
「私はなーあんで こーのよーな つらいつとめをせにゃならぬ」
(女郎の歌)を呻きながら歌って死んでいきます。
ラストは累々たる死体が折り重なったファンタジーのような風景、やがて「草生す屍」になっていくでしょう。まさに鬼太郎の世界です。
水木漫画の鬼気迫るものすごい物語です。90%は事実と語っています。
漫画でこんなすごい本をはじめて読みました。
※水木しげる(1922~2015年)・・・本名武良茂(むらしげる)、鳥取県境港で生まれる。夜間中学のとき乙種合格で応召、ニューギニア戦線ニューブリテン島に、ピンタの日々、土人(水木さんは蔑視語ではなく大地の人という意味で土人と呼ぶ)との交流、カタツムリ、ヤシガニなどなんでも食う生活。
寝ずの番の歩哨中に分隊が突然襲撃されて離れていたためたった一人生き残り命からがら中隊に戻ると「何で逃げ帰ったんだ。皆が死んだんだから、お前も死ね」といわれます。マラリアで治療中に空襲を受け、軍医が七徳ナイフみたいなので腕を切断します。片腕とマラリアが水木さんを生き延びさせました。たんなる「運」です。敗戦で収容所生活、土人との交流(なぜか土人に好かれた)、水木さんは現地除隊を申請します。軍医さんに説得されて帰国。傷痍軍人としてさまざまな職業を経験、武蔵野美術学校に進みますが中退、紙芝居作家、貸本漫画作家などを経て、「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」などで漫画家として一本立ちした。
戦争により生死を彷徨い生き残った水木しげるは、生きたくても生きられなかった戦友たちを悼んで、こう語っています。
「死人(戦死者)に口はない。僕は戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみ上げてくる」・・・強烈なメッセージです。
※NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争~」のDVDが出ています。
※2010年10月27日「いけだネット」のブログ・・・「ラバウル戦記」に水木しげるさんのことが書かれています→クリック
漫画通でないのでその漫画についてはよく知りませんがNHKの朝のドラマ「ゲゲゲの女房」で壮烈な生き方を知りました。
こんな本を買って読みました。
「総員玉砕せよ」(講談社文庫1995年刊)
「総員玉砕せよ」・・・漫画本ですが講談社文庫です。初出は「総員玉砕せよ! 聖ジョージ岬・哀歌」(講談社1973年刊).
ニューブリテン島、連合軍の飛び石戦略のため9万余の日本軍がさしたる戦闘もないままぬくぬくと無為に過しているというのになぜか玉砕作戦を繰り広げている大隊長と参謀がいます。玉砕作戦に失敗して生き残った小隊長は自決を強要されます。事実上の死刑です。そして最後の突撃、参謀は兵団長閣下に報告する義務があるといって生き残ろうとして流れ弾に当たって死にます。
実際には最後の突撃はフィクションで、したがって参謀は死にません。「参謀はテキトウな時に上手に逃げます」と書いています。
兵隊と靴下は消耗品、将校、下士官、馬、兵隊・・・兵隊は馬以下の生物と思われていました。兵隊は1銭5厘の赤紙で召集されますが馬は金がかかっているのです。兵隊たちには「大東亜共栄圏」も「七生報国」も関係ありません。疑問を感じたり質問したりすることは許されず目先の猥雑のことだけ考えて日々を過しています。
プロローグは兵隊がピー屋に行列を作って並び「女郎の歌」を歌い、エピローグは突撃の前に「女郎の歌」を歌います。
そして丸山二等兵(水木さんがモデル?)は
「私はなーあんで こーのよーな つらいつとめをせにゃならぬ」
(女郎の歌)を呻きながら歌って死んでいきます。
ラストは累々たる死体が折り重なったファンタジーのような風景、やがて「草生す屍」になっていくでしょう。まさに鬼太郎の世界です。
水木漫画の鬼気迫るものすごい物語です。90%は事実と語っています。
漫画でこんなすごい本をはじめて読みました。
※水木しげる(1922~2015年)・・・本名武良茂(むらしげる)、鳥取県境港で生まれる。夜間中学のとき乙種合格で応召、ニューギニア戦線ニューブリテン島に、ピンタの日々、土人(水木さんは蔑視語ではなく大地の人という意味で土人と呼ぶ)との交流、カタツムリ、ヤシガニなどなんでも食う生活。
寝ずの番の歩哨中に分隊が突然襲撃されて離れていたためたった一人生き残り命からがら中隊に戻ると「何で逃げ帰ったんだ。皆が死んだんだから、お前も死ね」といわれます。マラリアで治療中に空襲を受け、軍医が七徳ナイフみたいなので腕を切断します。片腕とマラリアが水木さんを生き延びさせました。たんなる「運」です。敗戦で収容所生活、土人との交流(なぜか土人に好かれた)、水木さんは現地除隊を申請します。軍医さんに説得されて帰国。傷痍軍人としてさまざまな職業を経験、武蔵野美術学校に進みますが中退、紙芝居作家、貸本漫画作家などを経て、「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」などで漫画家として一本立ちした。
戦争により生死を彷徨い生き残った水木しげるは、生きたくても生きられなかった戦友たちを悼んで、こう語っています。
「死人(戦死者)に口はない。僕は戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみ上げてくる」・・・強烈なメッセージです。
※NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争~」のDVDが出ています。
※2010年10月27日「いけだネット」のブログ・・・「ラバウル戦記」に水木しげるさんのことが書かれています→クリック
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