デザイナー・フィッシュ?:
海老の海外加工・生産・輸入業に携わっていたときに、少しばかり、原料である海老の養殖を勉強をしたことがあった。その時、原料の安定供給のためには、まずは、病気に強いこと、そして、養殖時間が短いこと、そして、環境汚染、この時には、塩害が問題になっていたが、更には、飼料も含めた、複合的な垂直統合的な供給システムが、必要であることを学んだものである。あれから、もう、既に、20年余が経過している。その当時は、むしろ、畜産のように、認可されていない抗菌剤や抗生物質の使用のほうが、大きな問題と扱われていた。もちろん、当時から、農産物での遺伝子組み換えとか、有機栽培とか、様々な議論はあったが、鰻や鮪などの養殖やら、畜養などと共に、将来の資源の枯渇に向けての安定的な確保を如何にして、対応するかという視点に、重点が置かれていた。今日、既に、魚の養殖の世界では、病気に強いとか、成長が早いとか、そのDNAを比較検討して、その特性を有した配列(マーカー)を選抜して、育種するという手法が、ノルウェイ・サーモンではないが、様々な魚種で、試作され、現在進行中であるらしい。更には、その養殖の際に使用される飼料ですら、菜食主義ではないが、これまで、人間が実際食べている魚を利用した飼料ではなくて、植物由来とか、人間が食べない材料で、養殖する技術を確立しようとしている。こんな線上には、植物由来の魚などというますます、ヘルシーな魚のイメージが、売り物になってくるのであろうか?それにしても、農産物では、遺伝子組合の安全性が、問題視され、貿易交渉にまで、影響が波及しているのに対して、魚の方では、随分と違った状況になりつつあるものである。天然真鯛と近大真鯛、ブリも、ヒラメも、鮪も、水田で、簡単に養殖される鯉も、将来は、どんな形で、消費者に、提供されるのであろうか?原産地だけでなく、既に、様々な科学的な手法で、食卓のデザイナー化への革命が、現在進行形で、進んでいるのかもしれない。医食同源ではないが、魚に、あんたは、何を食べて、育てられたのですか?と尋ねると、同時に、逆に、人間のほうが、貴方こそ、何を食べて育ったのですかと、問われそうである。いやはや、大変な時代が現在進行形で、進行中であることに、驚いてしまう。