「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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日本を横断した北朝鮮ミサイルを過小評価する人々の愚劣⇔安倍政権でないと危機対応できないという妄想。

2017-08-29 12:15:55 | 戦争

 北朝鮮が中距離弾道弾とみられるミサイルを発射し、日本領空をかすめて(最高高度は550キロですが)、北海道よりも1100キロ以上は離れている太平洋海域に落下したと思われます。日本を飛び越えてミサイルが落下したのは8年ぶり。北の現体制では勿論初めてですから、大騒ぎは当然の話です。

 このことについて、ミサイル発射告知から、落下までわずか数分しかないから、Jアラートは無意味という話が拡散していますが、僕は情報はないよりもあった方が如何なる場合でもマシという立場です。そもそもアラートで何かを守れるという担保など少しもあるはずもありません。しかし「知らない」立場にいることと、起きていることを早く「知る」立場にいることは、どちらにしても大きな違いがあります。理性的かつ論理的思考が為される人なら、情報は少しでも早く知る方が望ましいです。

日本政府の外交スタンスに、問題があるとしても、現況の極東情勢を考えると、こうしたリスクを伝えていることそのものは、間違いとは言えないです。

自民安倍政権と対峙する民進党、その代表選挙は間近ですが、党内で安全保障政策で正反対の立場と言われる候補二人ともが、同じようなツイートをしています。

 あたりまえですが、一定の安全保障上のリスクが現実に存在すると分かっているなら、その事象に対しての見解は、政権側も野党も、安全保障の考えや憲法観の相違はあっても大きく変わりません。こうしたリスクが肥大化している状態であることは否めません。

このリスクが増大している背景は北朝鮮内の状況と、それに対峙するトランプ大統領のアメリカ政府の対応にあり、日本は被災国となるリスクがあるにもかかわらず、実際には有効なコミットメントが出来ない状態です。出来ることが少ない中で、危機がはっきりと形を示していることについて、それを嫌がる気分をいくら開陳しても何の解決にもなりません。日本が起こそうとしている戦争でもないのですから。

戦争は日本人の安寧とした感覚で避けられるものではありませんから。

そして、この状況は、国民の判断意識が低すぎる日本では結果的に安倍政権に有利に働くだろうとは、僕も予測します。

但し、こういう事態は、安倍政権だろうが、違う政権だろうが、北朝鮮に関して何か大きな変化は日本で政策的に大きな変化が起こりにくいことも、野党代表選候補のツイートを見てもわかります。

 今回の状況で、「強硬な安倍政権が北朝鮮対応の為に役立つ」等と考えていく国民がいるとしたら(間違いなく一定数います)、それは完全な間違いです。実質対応は総理が誰が行っても似たり寄ったりな話。むしろトランプ政権に媚びを売り続けるスタンスを国際的にダントツに示している安倍政権の方が、ミサイルリスクはやや強まると考えるのが冷静な判断と思います。こういう誤った妄想を広げて、内閣支持を強めようとする構造が安倍政権には対北朝鮮対応で前から見える話です。注意して下さい。

 それにそもそも、北朝鮮にミサイルを横断された国で、北朝鮮に近い日本海側で、大飯原発を再稼働させていく状態。そして朝鮮半島から最も近い、九州の北部にある玄海原発を再稼働することも。ミサイルと並んで、きょうのニュースになっている。こういうことを平然と行う安倍政権は本当にリスクが大きいと感じている。それが、安倍政権の本質、 危機管理の根幹が全くおかしい。

 


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