「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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長井健司さんとへぎそば

2007-10-06 21:15:04 | 長井さんの人柄
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少し長井健司さんの思い出を書かせてください。

長井さんと最初にスタッフルームであったのは
もう十年ぐらい前のことなのですが、
物静かなまなざしは当時からかわらず、
それでも白髪は今よりもかなり少なくて
ちょっとナイスミドル風な感じの顔立ちでした。
服装は白のポロシャツにジーンズのいでたちなのですが
古い建物のスタッフルームでいつも夜遅くまで
パソコンで資料整理をしていたり、
何か調べ物をして深夜零時近くまで残っていたことが
多かったです。

よくぼくと長井さんが二人きりで残っていたことが多くて
お互い独り身だった、ぼくと長井さんは、
どちらともなく「飯を食べに出ようか」と
一緒にのみに行くことが多かったのです。
ぼくも長井さんもあんまり酒は飲まなかったのですが
それより、何か腹の足しになるものを求めて
四谷界隈の深夜営業の店に駆け込んだものでした。
一番よく通ったのは、四谷に今でもあるかもしれませんが
へぎそばの店で、お互い西の出身でしたから
海草をつなぎにしたへぎそばにはなじみがなかったのですが、
のどざわりのよさにひかれてこの店に足が向きました。
「○○君、こりゃうまいね」と言いながら
「もう一枚いこうか」「え、長井さんもう一枚ですか」と、
三、四人前あるへぎそば一枚を、
追加注文して二人で七、八人前食べていたのです。
「俺、一旗上げたいんだよ」
にこにこと優しいあの目で笑いながら長井さんはよく言いました。
「海外に出て、大きな事を取材したい、紛争とか飢餓に苦しむ子どもとか」
ある種夢物語のように、ジャーナリズムへの思いを
海外取材への思いを語る長井さん。
当時国内の調査取材は多かったものの、
海外取材はなかなかできない環境を思い切って変えたいという長井さん。
戦場もふくめて、海外取材を中心に活動するジャーナリストの皆さんは
実際、お金などの問題が現実には重くのしかかります。

「長井さん無理ですよ。生活どうするんですか。
いまだって国内取材はできるじゃないですか」

「そうなんだけどさ。ほんとはお金なんてどうだっていいんだよ」

「そんなこといったて、たとえば戦場ジャーナリストなんてなかなかお金が成立しませんよ」

「俺独りだし、親はいるけどさ。でもやりたいんだよ。そういう取材」

当時番組にも良く出ていた長井さんは、
実は女性からのファンレターも何通かとどくような感じで
スタジオでテレビ出演の際は結構かっこよかったんです。
ぼくは内心「この人はほんとはもてるだろうに」と思っていました。
しかし、彼の日常は、取材とそれにまつわる事柄が
ほとんどを占めていて、女性の影さえありません。
そろそろ彼は四十歳に手が届く頃でしたが
浮いたうわさのひとつもなく、いつも取材とその下準備をしていました。

「長井さんそろそろ年だし、健康のこともあるし、
いい加減身をかためなきゃいけないでしょ」
年下のぼくはそんな偉そうなことをへぎそばすすりながら続けました。
「女なんていいのよ。おれなんか。それより外に取材したいのよ。
君もそうでしょう。」
へぎそばをすすりながら、答を返す長井さん。
本当に少年のように目を輝かせて答えるんです。

純粋な思いということの強さをぼくは長井さんから教えられた気がしています。

それからほどなく長井さんは
旧知の山路代表のAPF所属のジャーナリストとして
ぼくらのスタッフルームから去っていきました。

その後でも、たぶんぼくは一度か二度は
四谷のへぎそばを長井さんと一緒に食べたと思います。
そして必ずおかわりもしていました。




ぼくの大切な友人だった長井さんの最後の映像を
取り戻したいと願っています。
皆さんのお力を貸してください。
ミャンマー政府への抗議文に賛同してください。
署名フォーム(クリック→)https://hal.sakura.ne.jp/syomeis/sign
一部の携帯電話ではこちらのほうが入りやすいようです
(クリック→) https://hal.sakura.ne.jp/sign.html皆さんのお力がまだまだ必要なんです。


そのためにも署名は、
十万人を目標に集め続けようと思っています。
一定数集まれば来週以降、ミャンマー大使館に働きかけることになります。
署名フォーム(クリック→)https://hal.sakura.ne.jp/syomeis/sign

あすは日曜日、長井さんのお通夜です。

また日曜日夕方のTBSの報道特集では
長井さんのミャンマーで、
撮影済みのビデオが流れるそうです。
もちろん奪われたカメラに入っている
最後の映像ではありません。

ブログの内容、アドレスなどは自由に引用、報道してください。
いろんなお知り合いに知らせてください。





以下は抗議文です。

======================================

ミャンマー連邦
タン・シュエ国家平和開発評議会議長殿
駐日ミャンマー連邦大使館
フラ・ミン特命全権大使殿

抗議文

 2007年9月27日午後、貴国のヤンゴン市内にあるスーレーパゴダ付近で、
取材中だった映像ジャーナリスト、長井健司氏が、貴国軍治安部隊の軍人に
至近距離から銃撃され、殺害されました。
自国の国民に対するミャンマー軍の一方的な暴力による制圧行動について、
国際的な取材活動をしていた日本人ジャーナリストの生命を、
警告もなく銃で奪ったことは、
殺害を前提とした意図的かつ残虐な取材妨害行為であり、
国際社会の一員として、また日本人として、
我々はこの行為を断じて許すことはできません。
しかも貴国の当局は、
長井氏が亡くなるまで手離さなかった
ビデオカメラとテープを未だ返却していません。

われわれは貴国治安部隊軍人による長井氏の殺害について強く抗議します。
また、長井氏の殺害の経緯を明らかにするとともに、
犯人の特定と厳罰を求めます。
遺品であるビデオカメラとテープも内容の消去など一切の改竄を許さず、
返却することを求めます。

       

ミャンマー軍による長井さん殺害に抗議する会
(事務連絡先)
〒1060032
港区六本木7-8-25永谷リュード六本木306  

=====================================
  
ミャンマー軍による長井さん殺害に抗議して、
抗議文の趣旨にご賛同をいただける方の、署名をお願いいたしております。
ご賛同いただける方は氏名と肩書きをお願いいたします。

呼びかけ人(順不同)2007/10/06 2100現在
増えています。

鳥越俊太郎(ニュースキャスター)
田丸 美寿々(ニュースキャスター)
テリー伊藤(演出家)
徳光和夫(司会者)
麻木久仁子(タレント)
綿井健陽(ジャーナリスト)
石丸次郎(ジャーナリスト)
佐藤和孝(ジャーナリスト)
高世仁(ジャーナリスト)
櫻井よしこ(ジャーナリスト)
北村肇(ジャーナリスト)
江川紹子(ジャーナリスト)
井上トシユキ(ジャーナリスト)
河上和雄(弁護士、元東京地検特捜部部長)
紀藤正樹(弁護士)
田島泰彦(上智大学教授)
苫米地英人(脳機能学者)
前田日明(格闘家)
--------------------------------------

抗議文の趣旨にご賛同いただける方は
氏名(フルネーム)と肩書き(職業か所属先)を
署名のためのインターネット上のフォームに書き込んでください。

物理的に手書きの署名の必要はなく、
お名前と肩書きをこのブログでリンクしているフォームに書き込んでください。
署名フォーム(クリック→)https://hal.sakura.ne.jp/syomeis/sign
肩書きは具体的な所属先でも、
「会社員」などの一般的なことばでもかまいません。
もちろんネット環境になんらかの問題がある場合は
メールやファックスなどで署名を頂いても結構です。

なお、会には電話も一応ありますが、
電話番をお願いしているだけの状態ですので
何かご連絡のある方は
できるかぎりメールでご連絡をお願いいたします。



「ミャンマー軍による長井さん殺害に抗議する会」
 http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/(ブログ) 
nagaikenji20070927@mail.goo.ne.jp(メール)
 〒1060032
港区六本木7-8-25永谷リュード六本木306  
TEL 03-3746-0065
(平日10時から17時で対応)
FAX 03-5772-1127


なお、このブログはリンクフリーですので
いろいろご紹介してください。
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/
       





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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
真実を伝える眼 (三瓶佳子)
2007-10-07 00:19:11
今回の長井さんの訃報は、本当に筆舌に尽くしがたく、ご本人の無念さやご遺族の方々の深い悲しみ、又、同じ世界でご活躍されている、多くのジャーナリストの方々の受けられた衝撃を思うとき、同じ日本人として、いいえ、同じ人間として大きな悲しみと大きな怒りを覚えます。
インターネットの発達で、今や全世界が繋がっている、判り合えていると思ってしまいがちですが、私はとても無知です。大人のような顔をしていますが、実際、世界でどんなことが起きているのか、その真実を知るには、ジャーナリストの方々のお力無くしては考えられません。
そういうことを考えますと、今回の出来事は、またひとつ、真実を伝えて下さる眼を永遠に失ったことになります。
最期を迎えるその一瞬までビデオカメラを持ち続けていらした長井さんに敬意を表すると共に、その意思を継がれる方々、そしてこれからそういう道に進まれようとされている方々、どうぞお力落としのないように頑張って下さい。心からお祈り致しております。
返信する
どこも入れません>< (ももちゃん)
2007-10-07 17:20:11
どこのURLもクリックしたけど、署名ができません。
混んでるだけなのかしら、、、
私はpcからしかネットはできません。
また後できますね!
返信する
署名フォームについて (事務局)
2007-10-07 17:26:46
ネット上の署名フォームから
なんらかの問題で入力できない場合は
下記までメールもしくはFAXで
署名をおくってください。
手書きで郵送されてもかまいません。
肩書きと署名のみで結構です。

「ミャンマー軍による
長井さん殺害に抗議する会」事務局

nagaikenji20070927@mail.goo.ne.jp(メール)
FAX 03-5772-1127
 〒1060032
港区六本木7-8-25永谷リュード六本木306  

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