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休暇無制限の米企業増える

2013-10-14 | 労働ニュース
休暇無制限の米企業増える
CNN.co.jp 10月14日(月)17時30分配信

(CNN) 1年の中で限られた休暇日数をどう配分するか、もう悩まなくてもいいとしたら――。米ハイテク業界などで最近、従業員の休暇を無制限に認める企業が目立ち始めた。

「規定なし、というのがわが社の休暇制度」と話すのは、バージニア州アレクサンドリアの金融サービス企業、モトリー・フールのマシュー・トログドン氏だ。「自分の仕事を各自が最も力を発揮しやすい方法でやり遂げてくれればいい」という。

自由すぎて慣れるのに少し時間がかかるかもしれないが、「ショック期を過ぎれば意外に早く落ち着く」と、トログドン氏は語る。「日数を数える人がいないとみんな休暇を多く取るようになるのでは」との質問には、「だれも数えていないので不明」という答えが返ってきた。

オンライン動画配信のネットフリックスも休暇に上限を設けていない。同社のハンドブックには「ネットフリックスには服装の規定もないが、裸で出社する人はいない。すべてに規則が必要なわけではない」と書いてある。

米人事管理協会のブルース・エリオット氏によると、無制限の休暇を認めている企業は全体の1%にすぎないが、新興企業やハイテク企業を中心に増加傾向にある。こうしたケースで従業員が実際に取る休暇は平均約3~4週間と推定され、人材確保、勤労意欲や生産性の向上、離職率低減などの効果が期待できるという。

制度の問題点としては、全体のスケジュール調整が難しくなるほか、従業員が不安になり、かえって休暇を取らなくなってしまうとの懸念もある。マーケティング・ソフトの開発を手がけるマサチューセッツ州ボストンのハブスポットも休暇に上限はないが、年間2週間という下限を設けている。ただし会社が記録を取らないため、守っているかどうかの判定は自己申告に頼るしかない。

モトリー・フールでは毎月くじ引きが実施され、当たった従業員は30日以内に2週間の休暇を取らなければならない。休暇中は職場との連絡を一切禁止されるという。
http://www.cnn.co.jp/career/35036796.html
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識者3人からヒアリング 規制改革会議雇用WG

2013-10-14 | 労働ニュース
政府の規制改革会議雇用ワーキング・グループ(WG、鶴光太郎座長)は11日、労働時間法制について有識者からヒアリングした。意見を述べたのは鶴座長自身と東大社会科学研究所の水町勇一郎教授、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員の3氏。3氏とも欧米の制度と日本を比較しながら、問題点や改革の方向性について持論を述べた。

 日本の労働時間規制は労働基準法などによる形式的な規制はあるものの、実質的な規制は弱いというのが実情で、長時間労働や過労死の要因の一つになっており、新たな規制が必要との声が強まっている。雇用WGでも、3月の発足時から重要テーマの一つに据えていた。

 すでに、6月に出した答申の中に「企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制等労働時間法制の見直し」を盛り込み、閣議決定されたことから、これを受けた労働政策審議会の労働条件分科会で9月から議論が始まっている。

 このため、雇用WGとしては、次回以降も労組など関係団体からのヒアリングを予定、11月中の意見集約を予定しているが、閣議決定はしない見通し。2007年当時、労政審でホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用免除制度)の導入を決めたところ、労組などが「残業代ゼロ法案」などと呼んで反対してお流れになった経緯もあり、慎重な姿勢を崩していない。
http://www.advance-news.co.jp/news/2013/10/post-958.html

(注)東大社会科学研究所の「人材フォーラム」は当ユニオンが闘ったこともある大手派遣会社から”奨学寄付金”をもらっていた経緯があります。
(過去に派遣アンケートをして結果を世間に公表したこともあります。ユニオンでは違和感のある結果でしたが。)
ヒモ付きの組織に権威ある冠が被っているのは残念ですが、"有識者"にはどのような背景を持った人物がいるのかも、我々一般の働く人々にとって注目すべき点です。

(参考)
http://tanakaryusaku.jp/2010/11/00032
http://hakenunion.blog105.fc2.com/blog-entry-176.html
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“よくわからない”ブラック企業問題〜誰にとっていい/悪い企業?日本企業の多くはグレー

2013-10-14 | 労働ニュース
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、かえって根本的な問題解決の先送りにつながりかねない、噛み合わないブラック企業をめぐる議論を整理します。

「ブラック企業問題を追えば追うほど、よくわからなくなってきます……」

 これは、以前私を取材してくれた某テレビ局記者氏のつぶやきだ。その言葉通り、長年ブラック企業問題を手掛けている私も、ブラック企業を扱うのは一筋縄ではいかないと感じている。いくつかの切り口からみていこう。

(1)「誰にとっていい会社か?」から考える
 新卒学生の採用選考において、「グループディスカッション」と呼ばれる集団討論が課される場合がある。ありがちな展開として「いい会社とは?」といった議論テーマが与えられ、就活生たちが20分ほど話し合うのだ。その際「誰にとっていい会社なのか?」という「切り口」が明確でないと、議論が錯綜することになる。たとえば以下のようなものだ。

<顧客にとって優良>
・リーズナブルな商品、サービスを提供している
・高品質な商品、サービスを提供している
・対応が迅速で丁寧
・365日、24時間営業している
・多少の無理難題は聞き入れてくれる
・社会や地域に貢献している

<株主にとって優良>
・儲かっている
・効率良く営業できている
・借金が少なく、財務体質が強固
・継続的に成長している
・市場環境が良い
・差別化できる強みや技術がある

<社員にとって優良>
・やりたい仕事ができる
・休みが取りやすく残業が少ない
・社風がよい
・ブランド力や知名度がある
・将来のキャリアアップにつながる
・給料が高い。

 誰かにとって「いい」場合、別の誰かにとって「不都合」ということがあり得る。

「顧客」にとっていい場合、往々にして「社員」や「アルバイト」が割を食うことになるだろう。営業時間が長く、安くサービス提供してくれればありがたいが、その分、従業員は長時間労働を余儀なくされ、場合によっては低賃金に抑えられてしまうかもしれない。

「株主」にとっていい場合、「従業員」や「取引先」が大変になる。「効率的な経営」というと響きはいいが、その分、社員や取引先(下請先)は厳しい目標数値を課され、現場は疲弊しているかもしれない。

「社員」にとっていい場合、「将来の社員」や「顧客」にとって不都合かもしれない。会社に高い利益をもたらす商品に対して、顧客は高いカネを支払っている。また居心地がよすぎる職場環境は、そこで働いている時点では天国だが、その環境にどっぷりと浸かり、慣れすぎてしまうと懸念材料になる。万一職場に何かしらの問題が起こり、転職せざるを得なくなった場合、あなたのキャリアと高い報酬では労働市場で買い手がつかなくなっているかもしれないからだ(決して、長時間営業や効率的な経営、高い付加価値の商品を提供することを批判しているのではない。あくまで、物事には両面あるという事例である)。

(2)「世間からの見え方」から考える
 ブラックの対義語を合法的・健全に運営している「ホワイト」とするなら、同じ企業であっても、当事者によって捉え方は少なくとも4種類に分かれる。

・「世間の印象=ブラック、実際=ブラック」(世間の印象も、実際も悪質)
→論外であり、批判されてしかるべきである

・「世間の印象=ホワイト、実際=ブラック」(世間の印象は良いが、実際は悪質)
→私が本サイトで連載している「あの企業の裏側」( http://biz-journal.jp/series/kigyounouragawa/)に、実例が豊富にある。

・「世間の印象=ブラック、実際=ホワイト」(世間の印象は悪いが、実際は健全)
→一部で騒がれている「ワタミ」「ユニクロ」といった会社も、擁護すべき点は多々ある。
 本連載でも、おいおい取り上げていきたい。

・「世間の印象=ホワイト、実際=ホワイト」(世間の印象も、実際も健全)
→問題なし。こちらも追って事例を挙げていきたい

(3)事業健全度×待遇による「ブラック企業マトリックス」から考える

さらに、「誰から見るか?」という視点を加えると、評価はさらに複雑に変化する。具体的には、アルバイト、契約社員、派遣社員、正規平社員、正規役職社員、経営者、株主、顧客、社会……などだ。 

 あまり細分化してもかえってわかりにくいので、「組織や事業は健全か?」を横軸に、「待遇は良いか?」を縦軸にとって表にしてみると、冒頭の表「ブラック企業を考える9つの象限」のように表される。

 このように、一言で「ブラック企業」といっても、このうち「グレー」と「ブラック」計6つの象限いずれかに当てはまり得るものであり、何について議論しているのか、目線合わせができていないと錯綜することになる。

 以下で、それぞれの象限の特徴を簡潔に述べておきたい。

W1:ホワイト優良企業
 おもにエスタブリッシュな大企業が当てはまる。中でも、「成熟産業で」「独自技術によって」「安定したシェアを持ち」「倒産しにくい」といった基盤があれば、それほど残業をせずとも、じっくり働ける環境である可能性が高く、入社希望者からは人気となる。

W2:健全運営の中小企業、公務員など
 大手ほどの待遇や福利厚生などはないが、同様にそれほど激務ではなく、安定した雇用や給与が得られる期待ができるところ。堅実経営の中堅企業や地方公務員などが当てはまる。

W3:ホワイト企業勤務の派遣/アルバイト
 これは「企業」というより「雇用形態」になってしまうが、給与は安くとも、ブランド力のある職場で働けることが魅力と捉えられる。非正規であれば、比較的職務も単純作業となり、責任も軽めであることが多い。そのようなプレッシャーが弱めの労働環境は、一部若者の間で「マッタリ働ける」と表現され、歓迎される。

G1:外資や上場ベンチャーなど実力主義の会社
 激務で相応のプレッシャーもあるが、高待遇である、組織が成長していてやりがいがある、などの理由から、リスクを認識した腕に自信のある人の間で歓迎される環境。外資系金融、外資系コンサルティング、上場ベンチャー企業のほか、国内大手でも商社や広告代理店などはこの領域に入る。

G2:日本の一般企業(中堅企業)
G3:日本の一般企業(小規模・零細企業)
 日本の多くの会社は、このいずれかの領域に入る。事業自体に違法性はないが、サービス残業など「厳密には労基法違反な労働環境」が温存されている会社。過重労働気味だが、日本の労働政策の方針として「安定した雇用と給与」を確保することが優先されているため、必然的に労働環境面が劣後順位になっている。

B1:反社会勢力、故意に違法な会社
 違法性を認識しながら高収益を得ることを最優先している会社。典型的な例としては暴力団のフロント企業など、反社会的な存在をイメージしていただけるとよい。しかし中には、一般的にホワイトと認識されている企業の中にも違法性の高い仕事をしている部署や担当があり、たまにニュースになる(私の「ブラック企業アナリスト」としての役割は、後者に関して内部からの情報を得た告発である)。

B2:追い詰められて違法にならざるを得ない会社
 反社会勢力ほどひどくはないものの、「顧客を騙す」「違法な営業手法」「脱税」など、事業運営に反社会性のある企業。もともとはホワイトやグレー領域の会社だったが、業績悪化などを機に、筋の悪い事業に手を出すとここに入ることになる。確信犯的な悪意というよりも、追い詰められて陥るタイプといえる。

B3:底辺ブラック企業
 故意に違法行為を行い、顧客には迷惑をかけ、社員を使い捨て、経営者の私利私欲が優先される会社。零細規模の企業が多く、ニュースになることはほぼないが、多くの問題が起こっている。

 マスメディアで「ブラック企業」に関する報道を目にしない日はないくらいだが、実際それはどの象限で起きていることで、そこでは何が問題とされているのか、見極める目を持っておきたい。中にはまったく本質的ではない議論や、ブラックとは言えないような内容のものもある。次回以降は具体事例を引き、そのような不毛な議論を斬っていこう。
(文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト)

●新田 龍(にった・りょう):株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト。
早稲田大学卒業後、「ブラック企業ランキング」ワースト企業2社で事業企画、人事戦略、採用コンサルティング、キャリア支援に従事。現在はブラック企業や労働問題に関するコメンテーター、講演、執筆を展開。首都圏各大学でもキャリア正課講座を担当。
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世界では労働時間が減っています

2013-10-14 | 労働ニュース
労働時間が長いほど貧乏という矛盾

日本ではサービス残業やブラック企業が話題にならない日がありません。ブラック労働とはほど遠いマターリ生活を送っているワタクシにも先日朝日新聞さんからブラック特区に関する取材がありました。

ワタクシはパリのカフェで茶をしばいておりましたが、隣にいた家人が「レストランガイドの取材じゃないのか?はあ?また働き系の取材?日本は本当に仕事とか働くとか、仕事に関係することが大好きだな...」と驚愕しておりました。

日本では働くことばかり考えている人が少なくない様ですが、世界では労働時間が減っています。OECDの報告書を見ますと、ほとんどのOECD諸国では1990年以後労働時間が減っています。日本でさえ労働時間が減っているのです。

労働時間が最も長いのはギリシャで、年に2,000時間近く働いています。面白いのは、欧州に関しては経済状況がよろしくないギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルは労働時間が長いという点です。(それでも日本や韓国の比ではありませんが)一方、最も労働時間が短いのはドイツで年に1400時間しか働いていません。北欧諸国も労働時間は短いです。

ドイツや北欧諸国の労働時間が短い理由は生産性の高さです。ドイツの生産性はギリシャより70%も高いのです。ドイツは欧州の優等生です。つまり、短く集中して働くと、生産性は高く、良いアウトプットを産むことが可能で、金持ちになることができる、ということなのかもしれません。

労働時間の長さと生産性の相関性は、実はかなり長い間議論されています。ドイツで1913年に出版されたPsychology and Industrial Efficiencyという論文は、ドイツの工場における労働時間と生産性についての研究です。労働時間が長くなるほど生産効率は落ちる、という結果は、生産ラインの設計に大きな影響を及ぼしました。

ニュージーランド政府の調査でも、労働時間の短さと生産性の高さが証明されています。ニュージーランドは他のOECD諸国よりも労働時間が15%長かったのですが、アウトプットは20%少なかったのです。ちなみに、この調査、ニュージーランドの労働者はオーストラリアよりも低い、という結論をだしています。

北九州大学が日本の医療労働者を対象として実施した調査でも同じ結果が出ています。労働時間が短いほど生産性は高く、労働の質が高いのです。

日本ではウイークデーの夜10時とか11時過ぎに延々と新製品情報や会社情報など、「こんなもん誰がみてんだろ」というつまらないニュースを延々とやっています。

休む時間、寝る時間にも仕事のことを考えている。夜10時とか11時過ぎにネジとかどうでもいいロボットの話です。夜10時というのはネジのことを考えるのではなく耳くそを掘る時間です。

そういうニュースをみることをやめて、さっさと寝れば職場でダラダラ仕事をすることも減るかもしれません。

谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。
http://wirelesswire.jp/london_wave/201310140422.html
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自分と交際すれば採用することを持ちかけ、非正規雇用で採用

2013-10-14 | 労働ニュース
週刊朝日編集長の「セクハラ懲戒解雇」から透ける、朝日新聞の内部崩壊
Business Journal 2013/10/10 20:08 井上久男/ジャーナリスト

「週刊朝日」(朝日新聞出版)の小境郁也編集長が、10月8日付で懲戒解雇された。9日発売の「週刊文春」(文藝春秋/10月17日号)は、小境氏が行った社会人としてあるまじき行為について触れているが、その問題の核心的な部分は、「週刊朝日」を発行する朝日新聞出版の採用試験の面接に来た女性が選考から漏れたが、面接官だった小境氏が後でその女性に接触し、自分と交際すれば採用することを持ちかけ、非正規雇用で採用したというものだ。

 小境氏が行ったことは、今年発覚した、共同通信の人事部長が採用試験に来た女子大生をホテルに連れ込んで関係を迫ったトラブルと同類のものであり、職権乱用の破廉恥な不祥事である。共同通信の人事部長も同じく懲戒解雇になっている。

 大手メディアで、立て続けにこうした「事件」が起こるのは偶然ではない。

 筆者は朝日新聞記者として約13年間勤め、40歳の節目に退職してフリージャーナリストに転じて約9年になる。「古巣」の知人と今でもたまに話す機会があるが、人事関連にまつわる暗い話が多い。

 はっきり言うが、組織としては完全に病んでいる。例えば「優秀だった○○さんがうつ病になった」とか「○○さんが出世のために、ライバルである同期の○○さんの悪口を陰で吹聴している」とか「一部の役員にやる気と能力のない人がいて社内を混乱させている」といった類いの話である。

 実際に自分の知人の記者にも心の病にかかった人はいるし、自殺した人もいる。パワハラでかつての部下から訴えられている人もいる。「なぜあの明るかった人が」、あるいは「なぜあの人格者がそんな事態に陥ったのか」と思うような人たちばかりである。

 労働災害関連で「ハインリッヒの法則」と呼ばれるものがある。死亡事故のような重大な労働災害が1件起こる背景には29の軽微な事故があり、さらにその背景には300のヒヤリとするような事象があるといわれている。端的に言えば、重大事故は組織や職場が抱える課題や病巣の「氷山の一角」なのである。

「週刊朝日」の「小境編集長懲戒解雇事件」は、組織の病巣の一部が現れたにすぎないのではないか。この件について朝日新聞社は「週刊朝日を立て直す重責を担う立場でありながら、こうした事態を招いたことは誠に遺憾です」とのコメントを発表している。

 昨年、「週刊朝日」では、橋下徹大阪市長の出自などを取り上げ人権問題になった記事の責任を取って、朝日新聞出版社長が辞任、編集長も更迭・懲戒処分を受けた。そのあとに、社会部出身の小境氏が再建を託されて起用されたはずだが、その人事は組織として本当に適切だったのかと疑いたくなる。

●不祥事を隠しているとの情報提供も

 今の朝日新聞では、メディアの置かれている環境が激変している時代に、どのような取材をしてどのような記事を打ち出していくかといったことを自分たちの頭で突き詰めて考えていく本質的な議論よりも、「ニューヨークタイムズはこうやっている」「ヤフーから学ぼう」といった浅い議論が好まれる傾向にあるという。他社を学ぶことを否定するわけではないが、朝日新聞グループが今抱えている人材、固定の読者層、これから開拓すべき読者層、これから起こりうる情報技術の変化などさまざまな因子を分析して、総合的に朝日新聞として今何をなすべきかの戦略に著しく欠けていると、OBとして感じる。

 戦略に欠けるだけならまだしも、新聞社として生き残るために何をなすべきかの気概すらも欠けているように見える。「この会社にいても未来はないよなー」と嘆く知人は多いし、ある役員は、署名記事などで外に少し名前が売れてきた記者に対して、「君、まだうちにいたの?」と言ったというから驚く。

 さらに、読者の知る権利に応えるという新聞社としての本質にこだわって活動する記者や編集者は、正論を吐く煙たい存在として中枢からは遠ざけられ、当たり障りのない迎合型、さらに悪く言えばゴマすり型人材が重用される傾向にある。

 こういう指摘をすると、朝日新聞側は原発問題について読者目線で丹念に取材した「プロメテウスの罠」という連載をしたではないかと反論するかもしれないが、その連載にしたって、当初は「社内評価」は低いが志は高い記者たちが集まって自由にやったから成果が出たのであって、一部の幹部は連載を潰そうとしていたのに、読者の反響が大きすぎて潰すことができなかっただけである。

 朝日新聞社に限らず、大手出版社でも似たようなことが起こっている。知人の編集者も会うたびに「うちの会社も上にゴマをするバカばっかりが偉くなっている」と冗談混じりに語る。確かにこの編集者は、話題となる調査報道やベストセラーを手掛ける凄腕編集者だが、出世はしていない。別に出世はしなくても、楽しくて有意義な仕事ができればいいとも感じるが、若い人を育てるためにも編集の中枢を担うリーダー的存在(管理職)には「凄腕」を置いておくべきだろう。

 話はそれるが、少し前、「これが表に出れば、最低でも編集担当の責任者は辞任、状況によっては社長が辞任しなければならないような不祥事を一部の幹部が隠している」と言う朝日新聞関係者から、筆者に情報が寄せられた。すでに一部メディアにも同じような情報が出回っているようだ。その情報に基づき、自分でも朝日新聞の過去記事などを検索したところ、疑わしい部分はあったが、それだけではその情報が真実なのかどうかは筆者には判断できなかった。

 真偽が確認できないので、詳細はここでは書かないし、書くべきではないが、その内容を聞いて唖然としてしまった。朝日新聞に勤めていた経験から想像しても、それが事実ならば社内でも相当な処分者が出るだろう。

 OBとしてその情報が組織の病巣の「氷山の一角」でないことを祈るばかりである。
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