アップルもソニーも見て見ぬふり? 最新ガジェットを支えるのは中国人学生の無給強制労働
2010年に従業員の自殺が相次いだことをきっかけに、人権を無視した苛酷な労働環境が暴かれ、問題視されてきた台湾系企業Foxconn(富士康)。組立を発注している最大手のアップル社も、噴出する非難に、労働環境の調査や監視を確約してきた。しかし、またもや、違法な「労働力確保」の実態が明るみに出たようだ。海外各紙が、Foxconnの違法労働の実態に迫っている。
問題の「違法労働」は、学生のインターンシップの悪用だ。中国では、学生が、大学が認めた企業で実際の仕事に参加するインターンシップを導入している職業学校や大学が多数ある。学生はこの制度を利用することで、技能を身に着けたり将来の就職口を見つけたりすることができ、企業側も安価な労働源を得ることができる、ウィンウィンの制度として脚光を浴びてきた。ただし、制度上、学生が働くのは、専攻内容と関係があるものに限られる上、時間外労働や深夜労働は法律で許されていない。今回明らかになったのは、こうした枠を大幅に超えた、悪質な実態だった。
フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、学生の一人が国内のメディアに語ったところによれば、1000人以上もの学友が、インターンシップの美名のもとに、実際には生産ラインでの強制労働を強いられていたという。手掛けるのは、11月発売予定のPlayStation 4で、他の工員と同じく朝から晩まで、しかも無給で働いていたそうだ。
国内での報道後、Foxconn側は大筋で事態を認めたと、CNetジャパンは報じている。「すでに、同工場が、当社の規準および社則を完全に順守するよう、迅速に対応している。さらに、学生インターンについては、たとえ自主的であっても、時間外労働や夜間労働をさせない社則を強化し、全インターンに、いつでもプログラムへの参加をとりやめる権利がある周知を徹底した」と発表しているようだ。
ただし、プログラムから離れることを選んだ学生は卒業に必要な単位を得られないため、実質的には選択肢がない状況だ。
山東省煙台の工場ではこのほか、14~16歳のインターン生が就労しているという事実も判明している。ガーディアン紙は、Jenny Chan氏ら3名が出版予定の本の執筆のために、過去2年間に渡ってインタビューした63名の学生の逸話を紹介している。それによれば、ある学生は16歳で、美術専攻にもかかわらず、何もわからないままに煙台工場に連れて行かれ、一緒に連れて行かれた友人たちとも引き離されて、まったく畑違いのiPhoneの組み立てに従事されられたという。
同紙はほかにも、おそらくは「夜間労働ほかの工場でのストレス」のために月経障害に苦しみながら、男性の工場責任者に相談することもできなかった16歳の少女の例を挙げている。
ガーディアン紙によれば、Foxconn社は中国内でも最大の「学生労働力」の利用者であり、社内のインターン学生労働者の割合は、2010年10月の推定で15%、実に15万人に及ぶこともあったという。
【どこもかしこも「見て見ぬ」ふりか?】
〈代行斡旋?公示で学生を駆り集める地元当局〉
同紙はまた、本来ならば法律違反である学生の搾取的な労働強制を取り締まるべき当局が、事態を黙殺はおろか「後押し」しているとしか思えない現状に怒りの声を上げている。同紙によれば、当局が、郡内のすべての職業学校に学生をFoxconnの工場に送り込むよう命じたこともあった。堂々と公示によって学生集めが行われ、必要な労働力を供給したことによって地元当局には、160万ポンドの補助金が差し出されていたという。
〈「フクシマに倣え!」学生を鞭打つ「教育者」たち〉
しかも、これらの学生には、教師が同行し、Foxconnから報酬を受け取って学生が真面目に働き、逃げ出さないよう、見張っていたというから驚きだ。腹痛と吐き気を訴え、労働環境の安全性に疑問を呈した学生に向かって、教師が「フクシマの原発事故のことを考えろ!日本の科学者や医療者は自らを省みず、現地から逃げ出さずに救助に当たった。その人間性を見習え!」などと説教をする始末だという。
〈事態を直面しないアップル、ソニーらの発注元〉
また、Foxconnに発注することで、毎年最新のガジェットを安価に、大量に消費者に届けている発注元の大手企業も、態度は大同小異だと伝えられている。
たとえば、Foxconnとのつながりを取沙汰され、調査や監視を行ってきたアップル。問い合わせれば、「そうした違法な労働環境はすでに過去のことだ」という返事があるはずだが、これが詭弁に過ぎないことは、2013年のアップルの調査員の報告書を見れば明らかだという。報告書では、「2011年9月以来、成都市ではインターン学生が就労した形跡はない」とされている。一方、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2011年9月時点で、同工場の従業員の実に1割以上にあたる7000人の学生が働いていたと述べている。
一方、今回FoxconnがPS4を生産していたことで注目を浴びたソニーでは、「ソニー・グループでは、現行の法律、労働倫理、労働状態に準拠し、人権、環境保護、健康と安全を尊重するソニー・グループの社則に同意し、遵守することを期待して、2005年6月に「サプライヤーの行動規準」を作成した」と表明。「Foxconnが「サプライヤーの行動規準」に完全に服していると理解している」としている。
http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/20/foxconn_n_4134075.html
2010年に従業員の自殺が相次いだことをきっかけに、人権を無視した苛酷な労働環境が暴かれ、問題視されてきた台湾系企業Foxconn(富士康)。組立を発注している最大手のアップル社も、噴出する非難に、労働環境の調査や監視を確約してきた。しかし、またもや、違法な「労働力確保」の実態が明るみに出たようだ。海外各紙が、Foxconnの違法労働の実態に迫っている。
問題の「違法労働」は、学生のインターンシップの悪用だ。中国では、学生が、大学が認めた企業で実際の仕事に参加するインターンシップを導入している職業学校や大学が多数ある。学生はこの制度を利用することで、技能を身に着けたり将来の就職口を見つけたりすることができ、企業側も安価な労働源を得ることができる、ウィンウィンの制度として脚光を浴びてきた。ただし、制度上、学生が働くのは、専攻内容と関係があるものに限られる上、時間外労働や深夜労働は法律で許されていない。今回明らかになったのは、こうした枠を大幅に超えた、悪質な実態だった。
フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、学生の一人が国内のメディアに語ったところによれば、1000人以上もの学友が、インターンシップの美名のもとに、実際には生産ラインでの強制労働を強いられていたという。手掛けるのは、11月発売予定のPlayStation 4で、他の工員と同じく朝から晩まで、しかも無給で働いていたそうだ。
国内での報道後、Foxconn側は大筋で事態を認めたと、CNetジャパンは報じている。「すでに、同工場が、当社の規準および社則を完全に順守するよう、迅速に対応している。さらに、学生インターンについては、たとえ自主的であっても、時間外労働や夜間労働をさせない社則を強化し、全インターンに、いつでもプログラムへの参加をとりやめる権利がある周知を徹底した」と発表しているようだ。
ただし、プログラムから離れることを選んだ学生は卒業に必要な単位を得られないため、実質的には選択肢がない状況だ。
山東省煙台の工場ではこのほか、14~16歳のインターン生が就労しているという事実も判明している。ガーディアン紙は、Jenny Chan氏ら3名が出版予定の本の執筆のために、過去2年間に渡ってインタビューした63名の学生の逸話を紹介している。それによれば、ある学生は16歳で、美術専攻にもかかわらず、何もわからないままに煙台工場に連れて行かれ、一緒に連れて行かれた友人たちとも引き離されて、まったく畑違いのiPhoneの組み立てに従事されられたという。
同紙はほかにも、おそらくは「夜間労働ほかの工場でのストレス」のために月経障害に苦しみながら、男性の工場責任者に相談することもできなかった16歳の少女の例を挙げている。
ガーディアン紙によれば、Foxconn社は中国内でも最大の「学生労働力」の利用者であり、社内のインターン学生労働者の割合は、2010年10月の推定で15%、実に15万人に及ぶこともあったという。
【どこもかしこも「見て見ぬ」ふりか?】
〈代行斡旋?公示で学生を駆り集める地元当局〉
同紙はまた、本来ならば法律違反である学生の搾取的な労働強制を取り締まるべき当局が、事態を黙殺はおろか「後押し」しているとしか思えない現状に怒りの声を上げている。同紙によれば、当局が、郡内のすべての職業学校に学生をFoxconnの工場に送り込むよう命じたこともあった。堂々と公示によって学生集めが行われ、必要な労働力を供給したことによって地元当局には、160万ポンドの補助金が差し出されていたという。
〈「フクシマに倣え!」学生を鞭打つ「教育者」たち〉
しかも、これらの学生には、教師が同行し、Foxconnから報酬を受け取って学生が真面目に働き、逃げ出さないよう、見張っていたというから驚きだ。腹痛と吐き気を訴え、労働環境の安全性に疑問を呈した学生に向かって、教師が「フクシマの原発事故のことを考えろ!日本の科学者や医療者は自らを省みず、現地から逃げ出さずに救助に当たった。その人間性を見習え!」などと説教をする始末だという。
〈事態を直面しないアップル、ソニーらの発注元〉
また、Foxconnに発注することで、毎年最新のガジェットを安価に、大量に消費者に届けている発注元の大手企業も、態度は大同小異だと伝えられている。
たとえば、Foxconnとのつながりを取沙汰され、調査や監視を行ってきたアップル。問い合わせれば、「そうした違法な労働環境はすでに過去のことだ」という返事があるはずだが、これが詭弁に過ぎないことは、2013年のアップルの調査員の報告書を見れば明らかだという。報告書では、「2011年9月以来、成都市ではインターン学生が就労した形跡はない」とされている。一方、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2011年9月時点で、同工場の従業員の実に1割以上にあたる7000人の学生が働いていたと述べている。
一方、今回FoxconnがPS4を生産していたことで注目を浴びたソニーでは、「ソニー・グループでは、現行の法律、労働倫理、労働状態に準拠し、人権、環境保護、健康と安全を尊重するソニー・グループの社則に同意し、遵守することを期待して、2005年6月に「サプライヤーの行動規準」を作成した」と表明。「Foxconnが「サプライヤーの行動規準」に完全に服していると理解している」としている。
http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/20/foxconn_n_4134075.html