凍った真夏
もうすぐ8月になるのに、私の真夏はやってこない。何かがおかしい。
私の真夏は、やもりがアスファルトの上で焼き尽くされる程の灼熱の真夏である。歩いていると汗が止まらなくなるほど流れ、行きゆく先に陽炎が湧き立つような熱さである。頭がふらつきながら、桃源郷を求めてさまよい、黒い影を残して去って行けるほどの熱さである。物事の一切を終わりにして、蜃気楼のように消えて行くような熱さである。
夏が来るたびに今年こそはと思うが、私の真夏はなかなかやってこない。私は、真夏の熱さが、私と私自身との関係を、また他の全ての関係を、焼き切ってくれることを期待している。
後記
萩原朔太郎の漂泊者の歌を読みたまえ。
松田優作主演の「野獣死すべし」で朗読された萩原朔太郎、秀逸の一編だ。
もうすぐ8月になるのに、私の真夏はやってこない。何かがおかしい。
私の真夏は、やもりがアスファルトの上で焼き尽くされる程の灼熱の真夏である。歩いていると汗が止まらなくなるほど流れ、行きゆく先に陽炎が湧き立つような熱さである。頭がふらつきながら、桃源郷を求めてさまよい、黒い影を残して去って行けるほどの熱さである。物事の一切を終わりにして、蜃気楼のように消えて行くような熱さである。
夏が来るたびに今年こそはと思うが、私の真夏はなかなかやってこない。私は、真夏の熱さが、私と私自身との関係を、また他の全ての関係を、焼き切ってくれることを期待している。
後記
萩原朔太郎の漂泊者の歌を読みたまえ。
松田優作主演の「野獣死すべし」で朗読された萩原朔太郎、秀逸の一編だ。