奈良散策 第965弾
10月17日に奈良市に出かけたついでに奈良市埋蔵文化財調査センターに行ってみました。埋蔵文化財調査センターは奈良バイパスから大安寺へ向かう途中にある建物です。これまで大安寺に行ったり、奈良県図書情報館に行ったりしたときに、何度も前を通ったことがあったのですが、埋蔵文化財調査センターがあるのはまったく気が付きませんでした。10月2日から12月1日まで秋季特別展「亀甲形陶棺―変化と地域性―」が開かれているとテレビで放映していたので、見に行くことにしました。もちろん無料です。
亀甲形陶棺は建物の廊下にぎっしりと並べられていました。陶棺は長さ2m、高さ1m、幅 80 cmとかなり大きくてびっくりしました。蓋に亀の甲羅のような模様があるので、亀甲形というのでしょうね。陶棺という名前の通り、陶器でできています。6世紀後半から7世紀中ごろにかけて造られた古墳や横穴墓で見つかっています。見つかっている場所はかなり限られていて、奈良市北西部を中心に南河内から南山城にかけて分布しています。この場所は埴輪の製作を行っていた土師氏と関係があるようです。
廊下の奥は展示室になっていました。中央に陶棺が置かれ、周囲に展示品が並んでいました。
陶棺にはこんな脚がついています。陶棺や脚に穴が開いているのは火の回りがよくなるようにしているとのことです。
その穴は埋葬の時にはこんな陶栓で蓋をするようです。
横穴墓には陶棺のほかにこんな埴輪や壺も見つかっています。
こんな動物のような形をしたものもありました。
また、全長1mほどの小型の陶棺もありました。これは子供用というわけではなく、7世紀中ごろ以降は陶棺が造られなくなり、その末期ごろに造られたものだそうです。この時期になると、遺体を骨化させて納めたので小さなものでよくなったということです。古墳には石棺や木棺が使われていたと思っていたのですが、こんな陶器の棺があるのはまったく知りませんでした。現在までに、全国で800例が見つかっていて、吉備と近畿に集中して分布しているようです。奈良県では60例が知られていて、そのうち43例が奈良市北西部の丘陵地帯から出土されているそうです。こんな大きなものを普段どうやって保存しているのでしょうね。そんなことが気になってしまいました。
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