一編一編が非常に短い短編小説集ですが、エッセイ的なにおいもする不思議な本です。体験談や知った話を脚色しているのかなとも思ったけれど、どうやらそうでもないらしい。決して情緒的な文章ではなく、たんたんと情景、というよりはただそこにあるものやことを綴っているだけなのに、読み終わったあとにはじわりとこみ上げてくるものがあるのも、不思議です。そしてそういうの、好きです。
ある一編の中の一文、「何でもなく生きて死んでゆく。」という言葉にそこはかとない悲しさと反発を感じました。僕は死ぬまで何でもやって生きてやる。
ある一編の中の一文、「何でもなく生きて死んでゆく。」という言葉にそこはかとない悲しさと反発を感じました。僕は死ぬまで何でもやって生きてやる。
あなたの飾りのない一言は。
やさしくて。
やさしくて。
僕にかなしくひびきます。
胸のあたりでいつまでも。
微かにひびいて残ります。
しあわせです。
しあわせです。
僕は今しあわせですが。
そのしあわせは。
僕だけが知るしあわせで。
あなたの知るしあわせとは違うもので。
あなたの感じるしあわせと同じもの。
かもしれません。
それはたぶんかなしさと伴にあるしあわせ。
かもしれません。
ただ僕は。
自分のことさえ分からない愚か者で。
はっきりと確かめようもないもので。
なんとなく感じたままを。
吠えることしかできなくて。
何も何も変えられない。
それもまたかなしくて。
かなしいことさえ嫌ではなくて。
ただ心ざわめかせ。
最後には。
そんなふうな。
感覚が。
霧のように。
拡散して。
僕の周りを。
包み込み。
いつまでも。
漂っている。
やさしくて。
やさしくて。
僕にかなしくひびきます。
胸のあたりでいつまでも。
微かにひびいて残ります。
しあわせです。
しあわせです。
僕は今しあわせですが。
そのしあわせは。
僕だけが知るしあわせで。
あなたの知るしあわせとは違うもので。
あなたの感じるしあわせと同じもの。
かもしれません。
それはたぶんかなしさと伴にあるしあわせ。
かもしれません。
ただ僕は。
自分のことさえ分からない愚か者で。
はっきりと確かめようもないもので。
なんとなく感じたままを。
吠えることしかできなくて。
何も何も変えられない。
それもまたかなしくて。
かなしいことさえ嫌ではなくて。
ただ心ざわめかせ。
最後には。
そんなふうな。
感覚が。
霧のように。
拡散して。
僕の周りを。
包み込み。
いつまでも。
漂っている。