夜中の部屋で。
僕は一人。
器の狭い男特有の。
狡っからい頭で考えている。
あなたに届く言葉は何だろう。
気の利いた科白は何だろう。
たった一つも思いつかない。
一語さえも思いつかない。
それならば。
何も言わない方がいい。
ただあなたを見つめていたい。
ただあなたの横に座っていたい。
妄想の中の妄想の中の妄想の中の妄想で。
僕は一人。
器の狭い男特有の。
狡っからい頭で考えている。
あなたに届く言葉は何だろう。
気の利いた科白は何だろう。
たった一つも思いつかない。
一語さえも思いつかない。
それならば。
何も言わない方がいい。
ただあなたを見つめていたい。
ただあなたの横に座っていたい。
妄想の中の妄想の中の妄想の中の妄想で。
木工デザイナー三谷龍二の、木工や住まいやその他についてのエッセイ集。写真で作品が見れます。
僕の気になるセンス人(扇子じゃなくセンスのいい人の勝手な略)には、中村好文や大橋歩やこの三谷龍二氏がいます。好きというわけではないけれど、センスいいなぁと思うし、いい仕事(や生活)してるなぁと思うし、その作品群は好きです。
この本の中に、仕事ではない木工(ここでは彫像づくり)を何と言ったらいいかという箇所がある。「趣味」と聞かれても「そうではない」し、「副業」と聞かれても「違う」し。僕もそういうことがたまにある。僕の場合はものつくりを仕事とはしていないのでなおさらかもしれない。「趣味」と人に言われると、本当は違うのだけれど、めんどくさいからつい「そのようなものです」と答えてしまう。じゃあ「それで食っていきたいのか」と言われても、それもちょっと違うのだけれど、めんどくさいからつい「そうなるといいですけどねぇ」と言ってしまう。三谷龍二氏は「自分自身のためにやっているものづくり……としか答えることができない」と書いているが、僕もそれに近いところだと思う。本当はそんなこと考えずにただつくりたいものをつくっていたいのだけれど、人に聞かれると考えてしまう。
一つ言えるのは、生命力の大部分をものづくりに費やして生きていきたいということです。
僕の気になるセンス人(扇子じゃなくセンスのいい人の勝手な略)には、中村好文や大橋歩やこの三谷龍二氏がいます。好きというわけではないけれど、センスいいなぁと思うし、いい仕事(や生活)してるなぁと思うし、その作品群は好きです。
この本の中に、仕事ではない木工(ここでは彫像づくり)を何と言ったらいいかという箇所がある。「趣味」と聞かれても「そうではない」し、「副業」と聞かれても「違う」し。僕もそういうことがたまにある。僕の場合はものつくりを仕事とはしていないのでなおさらかもしれない。「趣味」と人に言われると、本当は違うのだけれど、めんどくさいからつい「そのようなものです」と答えてしまう。じゃあ「それで食っていきたいのか」と言われても、それもちょっと違うのだけれど、めんどくさいからつい「そうなるといいですけどねぇ」と言ってしまう。三谷龍二氏は「自分自身のためにやっているものづくり……としか答えることができない」と書いているが、僕もそれに近いところだと思う。本当はそんなこと考えずにただつくりたいものをつくっていたいのだけれど、人に聞かれると考えてしまう。
一つ言えるのは、生命力の大部分をものづくりに費やして生きていきたいということです。
自転車を
手放し運転していたら
あ
自転車のかご
まがってる
ように
僕のちんこもまがってる
僕の脳みそまがってる
ついでにせかいもまがってる
なおすかなあ
まっすぐなのはすっきりするけど
あいにくぼくは
まがったちんこをなおせない
飢えてる子どもを助けられない
自転車のかごなおしていたら
いつの間にか道路の真ん中
ひょう
危険極まりないけれど
もともとがない命
運がよければ轢かれまい
運がなければ轢かれるばい
まあどちらにしても
たいした違いはありますまい
手放し運転していたら
あ
自転車のかご
まがってる
ように
僕のちんこもまがってる
僕の脳みそまがってる
ついでにせかいもまがってる
なおすかなあ
まっすぐなのはすっきりするけど
あいにくぼくは
まがったちんこをなおせない
飢えてる子どもを助けられない
自転車のかごなおしていたら
いつの間にか道路の真ん中
ひょう
危険極まりないけれど
もともとがない命
運がよければ轢かれまい
運がなければ轢かれるばい
まあどちらにしても
たいした違いはありますまい
一編一編が非常に短い短編小説集ですが、エッセイ的なにおいもする不思議な本です。体験談や知った話を脚色しているのかなとも思ったけれど、どうやらそうでもないらしい。決して情緒的な文章ではなく、たんたんと情景、というよりはただそこにあるものやことを綴っているだけなのに、読み終わったあとにはじわりとこみ上げてくるものがあるのも、不思議です。そしてそういうの、好きです。
ある一編の中の一文、「何でもなく生きて死んでゆく。」という言葉にそこはかとない悲しさと反発を感じました。僕は死ぬまで何でもやって生きてやる。
ある一編の中の一文、「何でもなく生きて死んでゆく。」という言葉にそこはかとない悲しさと反発を感じました。僕は死ぬまで何でもやって生きてやる。
あなたの飾りのない一言は。
やさしくて。
やさしくて。
僕にかなしくひびきます。
胸のあたりでいつまでも。
微かにひびいて残ります。
しあわせです。
しあわせです。
僕は今しあわせですが。
そのしあわせは。
僕だけが知るしあわせで。
あなたの知るしあわせとは違うもので。
あなたの感じるしあわせと同じもの。
かもしれません。
それはたぶんかなしさと伴にあるしあわせ。
かもしれません。
ただ僕は。
自分のことさえ分からない愚か者で。
はっきりと確かめようもないもので。
なんとなく感じたままを。
吠えることしかできなくて。
何も何も変えられない。
それもまたかなしくて。
かなしいことさえ嫌ではなくて。
ただ心ざわめかせ。
最後には。
そんなふうな。
感覚が。
霧のように。
拡散して。
僕の周りを。
包み込み。
いつまでも。
漂っている。
やさしくて。
やさしくて。
僕にかなしくひびきます。
胸のあたりでいつまでも。
微かにひびいて残ります。
しあわせです。
しあわせです。
僕は今しあわせですが。
そのしあわせは。
僕だけが知るしあわせで。
あなたの知るしあわせとは違うもので。
あなたの感じるしあわせと同じもの。
かもしれません。
それはたぶんかなしさと伴にあるしあわせ。
かもしれません。
ただ僕は。
自分のことさえ分からない愚か者で。
はっきりと確かめようもないもので。
なんとなく感じたままを。
吠えることしかできなくて。
何も何も変えられない。
それもまたかなしくて。
かなしいことさえ嫌ではなくて。
ただ心ざわめかせ。
最後には。
そんなふうな。
感覚が。
霧のように。
拡散して。
僕の周りを。
包み込み。
いつまでも。
漂っている。