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●2018年1月20日(土) 午後2時~5時
●四條畷学園小学校科学準備室
●参加者(12名)
西村寿雄(科学読み物・地学研究)
音田輝元(大阪府高齢者大学校理事・大阪科学の授業をたのしむ会代表)
中嶋典子(枚方市小学校栄養教諭)
雁金美佐枝(四條畷学園小学校2年)
木村直子(大東市小学校理科専科)
永岡 修(四條畷学園小学校3年)
室元昭雄(四條畷学園高校理科)
北村修(四條畷南小学校担任外)
岡田和成(大阪市立東小路小学校6年)
笠井 亮(大阪電気通信大学・ルネサンス大阪高校 講師)
畑中真一(枚方市立牧野小学校教務主任)
水口民夫(ルネサンス大阪高校理科非常勤)
★西村寿雄(科学読み物・地学研究)
冬の大会の「星野金山ツアー」に参加されました。そのときの金山研究家・國友浩さんの資料と「星野金山跡から見えてくるもの」を午前中のプラン研究会で報告していただきました。金山といえば佐渡金山が有名ですが,この星野金山の精錬技術が佐渡金山へ発展していったのは間違いのないということです。ぼくは金の精錬技術にはとても興味があり,実演が見たいものだと思いました。
<粒子とものの浮きしずみ>(阿部徳昭さん)の実験も見せてもらいました。詳細は6~8ペにまとめました。
★音田輝元(大阪府高齢者大学校理事・大阪科学の授業をたのしむ会代表)
1月11日におもしろ「子ども科学・手作りおもちゃ体験」科の講座をしました。そのときの資料「スズメバチのはなし」「りこうな馬ハンス」「卵立て」などのテキストを持ってきてもらいました。「意欲は自信から!自信は多様な楽しい体験こそが源泉だ!」という言葉はいいですね。若い先生が自信をもつためには,子どもたちに支持される多様なたのしい教育実践(たのしい授業)が必要だと思いました。
★中嶋典子(枚方市小学校栄養教諭)
市の栄養士部会で「海の生き物」というプランを実践します。これは,同じサークルの木村直子さんがつくられたものです。学校のクラブ活動では,「乗り出す(せり出す)板」の製作をするそうです。この実践記録は『たのしい授業』16年11月号 [ No.455 ] に成見知恵さんが書かれています。
★木村直子(大東市小学校理科専科)
「海の生き物」というプランを冬の大会で発表しました。このプランのめあては,「海の中の小さな生き物の生態的地位を理解することで,海洋生物の多様性を知る。海のプランクトンの生態や形態の特徴について学ぶ。海の小さい生物を魚類・軟体動物・節足動物,それ以外の生き物に分類する」です。チリメンモンスターの作業プランを海洋生物入門プランとして発展させたものだとぼくは理解しました。冬の大会では参加者からいろいろな意見が出たそうです。これからの研究に期待します。
『ビーカーくんとそのなかまたち』(うえたに夫妻)の紹介もしてもらいました。
★岡田和成(大阪市立東小路小学校6年)
10月から<生類憐みの令>をしています。その後,11月に学芸会にむけて「犬公方綱吉」の劇に取り組みました。そのときの映像をみんなでみました。子どもたちは大きな声でせりふをしゃべっていました。劇のフィナーレは「歴史唱歌」を合唱しました。みんな自信のある顔でうれしそうに歌っています。図工の「江戸いろはかるた」もやっています。12月は<世界の国ぐに>をやりました。学習参観では,高槻の中島さんのプラン「干支毛筆」をやりました。卒業までにもう一本くらい仮説をしようと計画中。そんなことを言わずに,何本でもやってたのしい授業の思い出を心に残して卒業していってください。
★雁金美佐枝(四條畷学園小学校2年)
学級通信「だるまさんがよろこんだ」には<もしも原子が見えたなら>の授業のようすが書かれています。原子との出会いがどんどん広がっていくのがよくわかります。<電池と回路>の授業で使うソケットが透明で中が見えてしまいます。授業では,ソケットのしくみを考える問題が出てくるのでどうしたらいいのか?考えています。ビニールテープでまわりを巻いて中が見えないようにする,などのアイデアが出されました。ある男の子は,電球の中にはアルゴンが入っているとか,ソケットのしくみを発見したとか,すでに予備知識をもっていて,その子の授業での発言がたのしみです。
★室元昭雄(四條畷学園高校理科)
「広島レポート」では,小学校から高校まで広島で過ごした思い出など,自分のおいたちが綴られています。室元さんは大阪に来て生徒との会話の中で「広島の原爆投下について多くは知らない」ことを知ります。レポートを読んで,室元さんは広島という街が好きで,原爆投下のことなど本当のことが知りたい,という気持ちが伝わってきます。今回は「御便殿跡」の散策をしたそうです。授業プラン「広島」の完成が待たれます。平和教育とはなにか,という問題について考えさせられるレポートです。
★★永岡修(四條畷学園小学校3年)
1月27日(土)の公開授業で,<磁石>(永岡さん)と<電池と回路>(雁金美佐枝さん)の授業と<磁石>の体験講座(講師=斉藤裕子さん)があります。この企画は永岡さんの自主的なものです。仮説関係以外の参加者は4人ということです。もっとたくさんの参加者に仮説実験授業を見てもらいたいと思います。仮説の授業公開は今回で4回目になります。渡辺先生も参加される予定です。
★北村修(四條畷南小学校担任外)
3年と4年の国語,理科,算数の3科目を担当しています。国語では
『銭天堂』の読み聞かせや「のはらうた」をしています。市教研の理科部会で「花火」の作り方を教わりました。試薬がたくさんいるみたいですが,次回の例会で実物を持ってきてくれるようです。「市販の花火は分解すると法律違反になる」ということです。気を付けましょう。
★笠井 亮(大阪電気通信大学・ルネサンス大阪高校 講師)
「理科教育法・講義通信」の<生物と種>の中の問題「カリフラー・ブロッコリー・キャベツ」の間でタネができるか?では,正解者は1人。どんな組み合わせでもできないと予想した学生は21人ということでした。「多くのことに感動しながら,意欲をもって学び続ける教師になってほしい」というメッセージが書かれていました。この日は,笠井さんの誕生日ということで,不二家のバースデーケーキのろうそくの火を吹き消してもらいました。
★水口民夫(ルネサンス大阪高校理科非常勤)
資料「堀江晴美さん出版記念講演会の報告」「転んでもタダでは起きぬ動画撮影」「私の生いたち」と西田隆さんから教えてもらった「円盤を回すと文字が消える」(運動誘発盲・錯視の一種)の紹介。
******************************
<粒子とものの浮きしずみ>という授業プランが,阿部徳昭さんによって冬の大会で発表されました。その中の問題のいくつかを西村先生が見せてくれました。1月の例会でこの実験が一番盛り上がりました。
実験用の窒素のスプレー缶をビニール袋に入れて中の空気をぬいてペシャンコにして口をふさぎ,上皿天秤にのせて,もう一方の皿には分銅をのせて重さをつりあわせておきます。つぎに,ビニール袋の上からスプレーの上のボタンをおして気体の窒素を袋に充満させると重さはどうなるか?という問題です。
予想 ふくらませた<スプレービニール袋>の皿は,どうなるか?
下がるのか,上がるのか,水平のままなのか?
⇒
ふくらませる前(つりあっている) ふくらませると皿が上がる
この問題は,爆裂如意棒をふくらませるとどうなるか,という実験と同じで,空気の浮力ために,スプレービニール袋の皿は上がるのです。これは,以前サークルでやった実験結果からぼくは正解しました。
しかし,ここからが盛り上がりました。岡田さんが,<空気の重さ>という授業書の「問題1」(下の写真)を引き合いに出して,空気の場合は,天秤では重さをはかることができない,のでは?と問題提起をしました。そこで,空っぽになった缶に自転車の空気入れでめいっぱい空気をいれて,さきほどの窒素缶と同じ実験をしたらどうなるか?という実験をすることになったのです。この問題は,阿部さんのプランには入っていません。みなさんは,どうなると思いますか?窒素缶と同じように皿が上がるのでしょうか?それとも袋のまわりには,空気があるのだから,皿は水平のままでしょうか?
ぼくは,この問題の予想は,水平のままになると予想しました。しかし,ほとんどの参加者は,浮き上がるといいます。スプレー缶から出てくる気体のちがいによって結果はかわるのでしょうか?
さて,いよいよ実験です。空気のスプレー缶の皿は,みごと浮き上がりました。つまり,まわりの空気の浮力がはたらいたのです。<空気の重さ>の問題1と同じというわけにはいかないことがわかりました。ぼくは仮説実験授業で予想を間違えた子どもになった気分です。
ぼくは,この実験の後,正解した参加者からあれこれ説明をしてもらっても納得できませんでした。さて,ぼくは,何を勘違い(誤解)したのでしょうか?まちがえた原因,つまりぼくの誤解はどこにあったのでしょうか?ぼくは,帰りの電車の中であれこれ考えてみましたが,わかりませんでした。翌日,この文章を書きながら誤解の原因がわかりました。上の写真の問題1の結果は,天秤はつりあったままになるのですが,その理由をまちがえていたのです。つまり,ペシャンコになった右の天秤の上のビニール袋には,空気の浮力は働いていないと考えたのです。この場合は,左のふくらませたビニール袋にも左のペシャンコのビニール袋には,どちらにも空気の浮力ははたらいていて,その結果,天秤はつりあっていたわけです。ぼくは,どちらにも空気の浮力ははたらかなくて,その結果,皿の上のビニール袋だけの重さが等しいからつりあっていると誤解したわけです。<浮力>という授業書では,ペシャンコに押しつぶした平らになった粘土にも浮力がはたらくという実験があったのですが,そのことが完全に頭の中から消えていました。水の中ではたらく浮力と気体の浮力は,分子の運動の状態はちがいますが,<つぶのおしくらまんじゅう>(阿部さん)というイメージでは同じことなのです。ですから,ビニール袋を皿に空気が隙間から入らないように完全に密着させると空気の浮力ははたらかなくなり「問題1」の実験結果はふくらませた袋のほうの皿が上がるはずです。
ということで,1月の例会は,ぼくにとっての予想外の実験結果によって,とても興奮しました。こういう実験は一人でやっていてもつまらないと思います。自分と考えのちがう人がいて,予想を出し合い,討論して実験で決着をつけるという,仮説実験授業の問題と運営法が,いかに人をひきつけてやまないのか,ということです。
*
いまの日本の学校では,なかなか仮説実験授業がやりにくい状況があります。ルネサンス大阪高校では,日常的に仮説をやっているので,ぼく自身も小学校にいたころそうだったことを忘れかけているのですが,これから学校現場で仮説実験授業を実践する先生を応援する場,勇気を与える場が,仮説サークルではないかと思っています。
先月の例会に佐賀県から参加された日吉資子さんから,「仮説実験授業をするのは法律違反」と言った指導主事だか管理職がいる,という話を聞いて驚きました。日本国憲法にも教育基本法にも教科書にないことを教えてはいけないとは,書かれていません。というより仮説実験授業によって民主的なものの見方がつくられるという意味で,その発言は時代に逆行したものです。 (2118.1.21)
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●2018年1月20日(土) 午後2時~5時
●四條畷学園小学校科学準備室
●参加者(12名)
西村寿雄(科学読み物・地学研究)
音田輝元(大阪府高齢者大学校理事・大阪科学の授業をたのしむ会代表)
中嶋典子(枚方市小学校栄養教諭)
雁金美佐枝(四條畷学園小学校2年)
木村直子(大東市小学校理科専科)
永岡 修(四條畷学園小学校3年)
室元昭雄(四條畷学園高校理科)
北村修(四條畷南小学校担任外)
岡田和成(大阪市立東小路小学校6年)
笠井 亮(大阪電気通信大学・ルネサンス大阪高校 講師)
畑中真一(枚方市立牧野小学校教務主任)
水口民夫(ルネサンス大阪高校理科非常勤)
★西村寿雄(科学読み物・地学研究)
冬の大会の「星野金山ツアー」に参加されました。そのときの金山研究家・國友浩さんの資料と「星野金山跡から見えてくるもの」を午前中のプラン研究会で報告していただきました。金山といえば佐渡金山が有名ですが,この星野金山の精錬技術が佐渡金山へ発展していったのは間違いのないということです。ぼくは金の精錬技術にはとても興味があり,実演が見たいものだと思いました。
<粒子とものの浮きしずみ>(阿部徳昭さん)の実験も見せてもらいました。詳細は6~8ペにまとめました。
★音田輝元(大阪府高齢者大学校理事・大阪科学の授業をたのしむ会代表)
1月11日におもしろ「子ども科学・手作りおもちゃ体験」科の講座をしました。そのときの資料「スズメバチのはなし」「りこうな馬ハンス」「卵立て」などのテキストを持ってきてもらいました。「意欲は自信から!自信は多様な楽しい体験こそが源泉だ!」という言葉はいいですね。若い先生が自信をもつためには,子どもたちに支持される多様なたのしい教育実践(たのしい授業)が必要だと思いました。
★中嶋典子(枚方市小学校栄養教諭)
市の栄養士部会で「海の生き物」というプランを実践します。これは,同じサークルの木村直子さんがつくられたものです。学校のクラブ活動では,「乗り出す(せり出す)板」の製作をするそうです。この実践記録は『たのしい授業』16年11月号 [ No.455 ] に成見知恵さんが書かれています。
★木村直子(大東市小学校理科専科)
「海の生き物」というプランを冬の大会で発表しました。このプランのめあては,「海の中の小さな生き物の生態的地位を理解することで,海洋生物の多様性を知る。海のプランクトンの生態や形態の特徴について学ぶ。海の小さい生物を魚類・軟体動物・節足動物,それ以外の生き物に分類する」です。チリメンモンスターの作業プランを海洋生物入門プランとして発展させたものだとぼくは理解しました。冬の大会では参加者からいろいろな意見が出たそうです。これからの研究に期待します。
『ビーカーくんとそのなかまたち』(うえたに夫妻)の紹介もしてもらいました。
★岡田和成(大阪市立東小路小学校6年)
10月から<生類憐みの令>をしています。その後,11月に学芸会にむけて「犬公方綱吉」の劇に取り組みました。そのときの映像をみんなでみました。子どもたちは大きな声でせりふをしゃべっていました。劇のフィナーレは「歴史唱歌」を合唱しました。みんな自信のある顔でうれしそうに歌っています。図工の「江戸いろはかるた」もやっています。12月は<世界の国ぐに>をやりました。学習参観では,高槻の中島さんのプラン「干支毛筆」をやりました。卒業までにもう一本くらい仮説をしようと計画中。そんなことを言わずに,何本でもやってたのしい授業の思い出を心に残して卒業していってください。
★雁金美佐枝(四條畷学園小学校2年)
学級通信「だるまさんがよろこんだ」には<もしも原子が見えたなら>の授業のようすが書かれています。原子との出会いがどんどん広がっていくのがよくわかります。<電池と回路>の授業で使うソケットが透明で中が見えてしまいます。授業では,ソケットのしくみを考える問題が出てくるのでどうしたらいいのか?考えています。ビニールテープでまわりを巻いて中が見えないようにする,などのアイデアが出されました。ある男の子は,電球の中にはアルゴンが入っているとか,ソケットのしくみを発見したとか,すでに予備知識をもっていて,その子の授業での発言がたのしみです。
★室元昭雄(四條畷学園高校理科)
「広島レポート」では,小学校から高校まで広島で過ごした思い出など,自分のおいたちが綴られています。室元さんは大阪に来て生徒との会話の中で「広島の原爆投下について多くは知らない」ことを知ります。レポートを読んで,室元さんは広島という街が好きで,原爆投下のことなど本当のことが知りたい,という気持ちが伝わってきます。今回は「御便殿跡」の散策をしたそうです。授業プラン「広島」の完成が待たれます。平和教育とはなにか,という問題について考えさせられるレポートです。
★★永岡修(四條畷学園小学校3年)
1月27日(土)の公開授業で,<磁石>(永岡さん)と<電池と回路>(雁金美佐枝さん)の授業と<磁石>の体験講座(講師=斉藤裕子さん)があります。この企画は永岡さんの自主的なものです。仮説関係以外の参加者は4人ということです。もっとたくさんの参加者に仮説実験授業を見てもらいたいと思います。仮説の授業公開は今回で4回目になります。渡辺先生も参加される予定です。
★北村修(四條畷南小学校担任外)
3年と4年の国語,理科,算数の3科目を担当しています。国語では
『銭天堂』の読み聞かせや「のはらうた」をしています。市教研の理科部会で「花火」の作り方を教わりました。試薬がたくさんいるみたいですが,次回の例会で実物を持ってきてくれるようです。「市販の花火は分解すると法律違反になる」ということです。気を付けましょう。
★笠井 亮(大阪電気通信大学・ルネサンス大阪高校 講師)
「理科教育法・講義通信」の<生物と種>の中の問題「カリフラー・ブロッコリー・キャベツ」の間でタネができるか?では,正解者は1人。どんな組み合わせでもできないと予想した学生は21人ということでした。「多くのことに感動しながら,意欲をもって学び続ける教師になってほしい」というメッセージが書かれていました。この日は,笠井さんの誕生日ということで,不二家のバースデーケーキのろうそくの火を吹き消してもらいました。
★水口民夫(ルネサンス大阪高校理科非常勤)
資料「堀江晴美さん出版記念講演会の報告」「転んでもタダでは起きぬ動画撮影」「私の生いたち」と西田隆さんから教えてもらった「円盤を回すと文字が消える」(運動誘発盲・錯視の一種)の紹介。
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<粒子とものの浮きしずみ>という授業プランが,阿部徳昭さんによって冬の大会で発表されました。その中の問題のいくつかを西村先生が見せてくれました。1月の例会でこの実験が一番盛り上がりました。
実験用の窒素のスプレー缶をビニール袋に入れて中の空気をぬいてペシャンコにして口をふさぎ,上皿天秤にのせて,もう一方の皿には分銅をのせて重さをつりあわせておきます。つぎに,ビニール袋の上からスプレーの上のボタンをおして気体の窒素を袋に充満させると重さはどうなるか?という問題です。
予想 ふくらませた<スプレービニール袋>の皿は,どうなるか?
下がるのか,上がるのか,水平のままなのか?
⇒
ふくらませる前(つりあっている) ふくらませると皿が上がる
この問題は,爆裂如意棒をふくらませるとどうなるか,という実験と同じで,空気の浮力ために,スプレービニール袋の皿は上がるのです。これは,以前サークルでやった実験結果からぼくは正解しました。
しかし,ここからが盛り上がりました。岡田さんが,<空気の重さ>という授業書の「問題1」(下の写真)を引き合いに出して,空気の場合は,天秤では重さをはかることができない,のでは?と問題提起をしました。そこで,空っぽになった缶に自転車の空気入れでめいっぱい空気をいれて,さきほどの窒素缶と同じ実験をしたらどうなるか?という実験をすることになったのです。この問題は,阿部さんのプランには入っていません。みなさんは,どうなると思いますか?窒素缶と同じように皿が上がるのでしょうか?それとも袋のまわりには,空気があるのだから,皿は水平のままでしょうか?
ぼくは,この問題の予想は,水平のままになると予想しました。しかし,ほとんどの参加者は,浮き上がるといいます。スプレー缶から出てくる気体のちがいによって結果はかわるのでしょうか?
さて,いよいよ実験です。空気のスプレー缶の皿は,みごと浮き上がりました。つまり,まわりの空気の浮力がはたらいたのです。<空気の重さ>の問題1と同じというわけにはいかないことがわかりました。ぼくは仮説実験授業で予想を間違えた子どもになった気分です。
ぼくは,この実験の後,正解した参加者からあれこれ説明をしてもらっても納得できませんでした。さて,ぼくは,何を勘違い(誤解)したのでしょうか?まちがえた原因,つまりぼくの誤解はどこにあったのでしょうか?ぼくは,帰りの電車の中であれこれ考えてみましたが,わかりませんでした。翌日,この文章を書きながら誤解の原因がわかりました。上の写真の問題1の結果は,天秤はつりあったままになるのですが,その理由をまちがえていたのです。つまり,ペシャンコになった右の天秤の上のビニール袋には,空気の浮力は働いていないと考えたのです。この場合は,左のふくらませたビニール袋にも左のペシャンコのビニール袋には,どちらにも空気の浮力ははたらいていて,その結果,天秤はつりあっていたわけです。ぼくは,どちらにも空気の浮力ははたらかなくて,その結果,皿の上のビニール袋だけの重さが等しいからつりあっていると誤解したわけです。<浮力>という授業書では,ペシャンコに押しつぶした平らになった粘土にも浮力がはたらくという実験があったのですが,そのことが完全に頭の中から消えていました。水の中ではたらく浮力と気体の浮力は,分子の運動の状態はちがいますが,<つぶのおしくらまんじゅう>(阿部さん)というイメージでは同じことなのです。ですから,ビニール袋を皿に空気が隙間から入らないように完全に密着させると空気の浮力ははたらかなくなり「問題1」の実験結果はふくらませた袋のほうの皿が上がるはずです。
ということで,1月の例会は,ぼくにとっての予想外の実験結果によって,とても興奮しました。こういう実験は一人でやっていてもつまらないと思います。自分と考えのちがう人がいて,予想を出し合い,討論して実験で決着をつけるという,仮説実験授業の問題と運営法が,いかに人をひきつけてやまないのか,ということです。
*
いまの日本の学校では,なかなか仮説実験授業がやりにくい状況があります。ルネサンス大阪高校では,日常的に仮説をやっているので,ぼく自身も小学校にいたころそうだったことを忘れかけているのですが,これから学校現場で仮説実験授業を実践する先生を応援する場,勇気を与える場が,仮説サークルではないかと思っています。
先月の例会に佐賀県から参加された日吉資子さんから,「仮説実験授業をするのは法律違反」と言った指導主事だか管理職がいる,という話を聞いて驚きました。日本国憲法にも教育基本法にも教科書にないことを教えてはいけないとは,書かれていません。というより仮説実験授業によって民主的なものの見方がつくられるという意味で,その発言は時代に逆行したものです。 (2118.1.21)
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