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なわて仮説サークル

 仮説実験授業の話題を中心にいろいろなことが毎回話題に上がっています。ぜひ,参加してください。

例会

2019-02-06 11:18:00 | ノンジャンル
●定例会=2019年1月19日(土) 午後2時~6時
●会 場=四條畷学園小学校科学準備室
●参加者(16名) 
西村寿雄(科学読み物・地学研究)
   音田輝元(大阪府高齢者大学校理事・大阪科学の授業をたのしむ会代表)
   岡部智子(高槻市小学校2年)
岡田和成(大阪市小学校5年)
室元昭雄(四條畷学園高校理科)
   中嶋典子(枚方市小学校栄養教諭)
 雁金 隆(四條畷学園小学校科学専科)
 雁金美佐枝(自称「家政婦」)
 木村直子(大東市小学校3年)
 北村 修(枚方市小学校5年)
   笠井 亮(大阪電気通信大学・ルネサンス大阪高校非常勤講師)
中井哲郎(ルネサンス大阪高校理科非常勤講師)
永岡 修(四條畷学園小学校1年)
古川真司(岸和田市小学校特別支援)
岡田准子(天文学研究家)
水口民夫(ルネサンス大阪高校理科非常勤講師)


<資料発表>

★西村寿雄(科学読み物・地学研究)
 山口県岩国市でおこなわれた冬の大会に参加しました。その参加資料として「岩国学校」出身の「日本の電気界の父=藤岡市助」の話がありました。市助さんは,1857年に岩国に生まれ,工学寮大学に入学します。その後,工部大学の教授になり,アメリカの電気博覧会でエジソンと出会います。1889年には国内初の白熱電灯用アーク灯用発電機を設計します。市助さんは,「日本のエジソン」「日本電気の父」と呼ばれています。また,高齢者大学校の授業で使うカルシウムの実験(電気を通すこと,水の中に入れると水素を発生する実験)も見せてもらいました。冬の大会資料「『石はなにからできている?』絵本作りへの道」は,絵本作りの「仕事の流儀」を知ることができてよかったです。

★音田輝元(大阪府高齢者大学校理事・大阪科学の授業をたのしむ会代表)
「たのしい科学実験教室・授業プランリスト」には高齢者大学校での音田さんの実践記録が書かれています。1月12日(土)には,「大阪市教育会館」で「科学実験教室」をおこないました。《宇宙への道》と太陽系模型作りをしました。参加した子どもたちは太陽系模型作りに熱心に取り組んでいました。

★中嶋典子(枚方市小学校栄養教諭) 
ロボット「ロボホン」(シャープ製造)を持ってきてもらいました。これは本当は,電話として開発されたロボットです。スマホに手足が生えたようなものです。人間の言葉を学習して,応答してくれます。高額なロボットですが,それだけの値打ちはあると思います。

★木村直子(大東市小学校3年)
 小学校5年生理科「生命のつながり」の実践報告をしてもらいました。「チリメンモンスターの実習」の前に「海の中の小さな生き物」というクイズ形式の問題の入ったプリントを作成し,海の生き物に思いをはせ,生きもののふしぎを実感できるようにしました。授業後のアンケートでは,5年生75人中,57人が「とても楽しかった」,14人が「楽しかった」という評価でした。

★雁金美佐枝(元・四條畷学園小学校 現・自称「家政婦」)
★永岡 修(四條畷学園小学校1年)
 1月26日,学園の「授業を見る会」で仮説実験授業をしました。美佐枝さんは2年で《電池と回路》,永岡さんは1年で《空気と水》です。ぼく(水口)は授業を見る会に参加して学園での仮説実験授業がいまもなお継続していることに安堵感を覚えました。美佐枝さんと永岡さんの「安心感」のある授業風景は,長年,学園で仮説実験授業が継続されてきた「結晶」でしょう。きくところによると,学園も創立90年を迎えた(迎える?)そうです。この間,仮説実験授業は,50年以上,実践されていると思います。『板倉聖宣講演年譜』(松田心一編)よると,1965年5月7日に学園の校内研究会で板倉さんは仮説実験授業について学園で講演をしていますから,これをスタートと考えると,来年で55年の歴史になります。継続は力です。

★北村 修(枚方市小学校5年)
 今年度ものこり40日になりました。担任の先生のサポート役として毎日がんばっています。クラス担任をしていたころは,ドッヂボール大会の参加をクラス経営の中心にしていましたが,いまの立場は「副担」なのでそれもできません。そのかわり読書タイムで子どもが喜ぶ本を読んでいます。

★笠井 亮(大阪電気通信大学・ルネサンス大阪高校 非常勤講師)
湯沢さんのつくられた「二つのモーター」というプランの体験授業をしてもらいました。このプランは,今の段階では,ぼく(水口)にとって「たのしいけど,(理屈が)よくわからない」ものです。最初の問題から参加者の予想が分かれて議論が盛り上がりました。改訂をくわえて「たのしくて,よくわかる」プランになってほしいと思います。

★岡田和成(大阪市小学校5年)
2学期は作品展がありいそがしかったそうです。絵画作品はキミ子方式で「桜の木と私たち」を描き,立体作品は「おりぞめ」の小物を作りました。作品は保護者や同僚からも好評でした。10月のおわりから朝の連続小説『ルドルフとイッパイアッテナ』を始めました。2学期の最後には「べっこうあめパーティー」をしてたのしく終わりました。3学期に入って「干支毛筆」をしました。高校の書道の先生の中島さんから文字と絵のコピーをもらってやっています。

★雁金 隆(四條畷学園小学校科学専科)
「モーターは逆(?)発電機」という「二つのモーター」の理解のためのお話を用意してもらいました。2台のモーターを直列につないだ場合,片方のモーターをとめれば,抵抗が小さくなり,もう片方により多くの電流が流れ,早く回り出す,ということです。

★中井哲郎(ルネサンス大阪高校理科非常勤講師) 
「大学でのリメディアル科目 理科A(物理)」を担当したときの資料=「物理学史をもとに仮説実験授業的な授業をして8年」という資料発表がありました。公立の中学教師をしながら,年2回,集中講義でこの物理を教えたことはとても楽しかったそうです。高校で物理を履修しなかった生徒もいる中で,高校物理の内容を広く浅くわかりやすく教えてほしいという要望で始めました。仮説実験授業の一部分だけの実験をしながら,物理学史にそって講義をするというスタイルでした。

★岡部智子(高槻市小学校2年)
 学級通信「どきどき」には,「アメンボクイズ」「カマキリクイズ」「ザリガニクイズ」などをして,とても楽しかったという子どもたちの感想が満載でした。学級通信の発行はもうすぐ100号になります。笑顔がいっぱいの岡部学級の報告でした。

★室元昭雄(四條畷学園高校理科)
 「日本全土の地殻変動(水平)」をみると1年間の日本の陸地がどのように動いているのか,よくわかります。東海・南海地方は,プレートに押される形で北西方向に陸地が動いています。東北地方は,2011年の大地震の影響で東にずれています。

★古川真司(岸和田市小学校特別支援)
新任3年目の教師生活もまもなく終わります。いまは,仮説実験授業はできませんが,特別支援学級の担任として学ぶことも多いそうです。来年度の学校でのポジションはまだ決まっていませんが,クラス担任として仮説実験授業ができる日が早く来ることを元・担任として願っています。

★岡田准子(天文学研究家)
「今日のサークルの感想は?」と司会者の音田さんに聞かれて「ブタンガスの実験です!」と元気のいい反応が返ってきました。とても好奇心旺盛な「リケ女」さんです。

★水口民夫(ルネサンス大阪高校理科非常勤講師) 
 『たのしい授業』12月号にのった「ブタンガスの実験」をしました。この実験のために歩いてホームセンターに雨どいを買いに行きました。雨どいを炎が駆け上がるのをみてみなさん興奮されていました。音田さんが作られた「ブタンガスを使った出会いの授業プラン」に加えたらいい実験です。

「人や自然を原子の目でみる」
                 古川 真司
私が小学5年の時,現在でもお付き合いさせていただいている,恩師の水口民夫先生が学級担任になりまして,数々の仮説実験授業を始めとする,「たのしい授業」を体験させてもらいました。その中でも,とくに印象に残っているのが,《もしも原子が見えたなら》いう授業書で,この授業を通して,私はこの世の全ての「もの」を構成する要素の最小単位=原子という概念を学ぶことで,人や自然,地球というものに対する見方・考え方が大きく変わりました。そして,それが結果的に楽しい科学への扉を開く大きなキッカケとなったのです。
家のベランダに干してある洗濯物を見るときでも,「あ~今・・水の分子たちがたくさん衣類から空気中へと飛んでいってるんやなぁ・・」と思うことがあります。先日も家の親父の汚い下着を干しながらも,そんなことを考えていました。「汚い」っていう言い方は大変失礼ですが,家は現在,父子家庭ですので,親父の下着や衣類を私が干すなんてことも時々あるわけです。
しかし,「汚い」と一言でいっても,汚いものにも,その条件を満たすための分子・原子が存在しているわけで,そう考えると,色々な事がイメージできて楽しくなってしまいます。家の親父の下着が汚いかどうかというのは,分子・原子の問題ではなくて,どちらかといえば,私の気持ちの問題ですけど・・(苦笑)
でも,そう思う気持ちにも「脳」があって,その「脳」の中でも様々な神経伝達物質などが活動しているわけですよね。そういう物質も言ってみれば,結局は分子・原子なわけです。余談ですが,今日から,木村拓哉主演で脳科学のドラマがスタートしますね。あれは,最先端の脳科学を基にドラマが展開されるようなので,私は今日録画してきました。
私は高校時代に,母親を病気で亡くしているのですが,誰かが亡くなった時,一番辛いのは,出棺の時だと思います。形式的なことではあるのですが,「出棺」とは相手の死を真に受け入れるための,ある意味では,最後の「覚悟」といえるかもしれません。魂とか霊魂というものがあるかどうかという話は別として,大好きな人が,大切な人が,物質的に姿を無くしてしまうわけですから,出棺の時は本当に辛いものがあります。
あくまで私の場合の話ですが,家の母親の出棺を見届ける際,母の肉体も物質的に分解されて,原子・分子レベルになって,この壮大なる宇宙のなかの我々が住む偉大なる地球のなかの分子・原子の世界へと旅立っていったんだ・・・正確には返って(帰って)いったんだ・・・とあえて科学的に考えることで,最愛の母の死を受け入れる(乗り越える)ことができました。
「自然の中へ返る=分子レベルに戻る」,こういう物質的なものの原点回帰とでも呼ぶべきものが,生物における「死」というものなのでしょうね。
以下は,仮説実験授業研究会代表の板倉聖宣さんという方の文章を引用しました。
「それでは,子どもたちは原子模型による授業がなぜ大好きなのでしょうか。この授業で「この宇宙に存在するものはすべて,原子でできている」と聞いた子どもたちは,口ぐちに「それなら,ぼくの身体も原子でできているの?」などと質問をはじめ,次つぎに「この机も?この本も?茶碗も?太陽も星も?」といってきます。そこで「そうだよ。先生の身体だって,地球だって,空気だってそうだよ。みんな原子でできているんだよ」というと,「ホントウ?」といいますが,それは「疑いの声」ではなくて,「感動の声」になっているのです。
今の子どもたちは,科学者たちの研究成果を全面的に信用しているのです。その信頼を大切にして,裏切らないように細心の注意を払いながら,彼の知りたいと思っていることを効果的に教えてやるのが今日の科学教育ではないでしょうか。」(以上引用)
当時,《もしも原子を見えたなら》の授業を受けた,私たち5年生の殆どが今までの理科にはない大きな感動を覚えたことは間違いありません。夏休みの工作では,私を含めて7~8人くらいが分子模型を作ってきていました。中学・高校に進学してからも,ここで学んだ分子・原子の概念は,化学の教科(とくに試験)でおおいに役立ちました。それは,卒業してからも,何人かの同級生と会う度の話題の一つにもなっていた程です。
最近では,江本勝氏による『水からの伝言』という有名な著書があります。水に「ありがとう」という言葉をかけると,綺麗な結晶ができる,逆に「バカヤロウ」とか汚い言葉をかけると,汚い結晶ができるという,ロングセラーにもなった著書です。著名人の方々からの絶賛の声がテレビで紹介されたりしましたね。
あまりこういう公の場で,何かの批判をすることは好ましくないと思いますので,ここではあまり細かくは触れませんが,現在,私が在籍している玉川大学のスクーリングの授業のディスカッションで,たまたまこういう話題が出まして,ある人がこう述べたわけです。「これ(「水からの伝言」)は,子どもたちに言葉というものの大切さを教える最高の道徳教材になる」って。
私は真っ先に手を挙げて反論しました。道徳教育の最大の目標は「物事を見た目だけで判断しない」ということであったはずです。しかし,これは明らかに「綺麗」だから良い結晶だとか「汚い」から悪い結晶だっていう風に,外見だけで決め付けていると考えるわけです。言葉というものは,それを使う人の意図によって大きく変わってくるものではないかとも思います。朝,コンビ二の店員さんのいかにも眠そう(ダルそう?)な「ありがとうございます」なんて,全然心に響いてこないし,逆に子どもの頃や思春期の頃に,先生や親からよく怒鳴られた「バカヤロウ」なんて今こそ思えば,とても温かいというか何というか,心に響くものがあります。そんな経験ってありませんか?
しかも,この著書をあえて私は購入して読みましたが,言葉の波動が水や植物に与える影響などのことを,明らかに「科学的」であるということを明記してしまっているわけです。前記の板倉さんの文章の引用の中には,「今の子どもたちは,科学者たちの研究成果を全面的に信用しているのです。その信頼を大切にして,裏切らないように・・」とあるように,乱暴な言い方かもしれませんが,これは子どもたちの科学への信頼への裏切りなのかもしれません。反証にも応じないような,実体の不明確な集団が勝手に行った実験で,勝手に「科学的だ!」なんていっている著書が教材として,一部の教育現場で一部の教育者によって使われていることがもっと世間で懸念されるべきだと思うわけです。
現在,成人してからも,私は分子模型を大切に所持・保管,そして収集しています。当時,自分の作った殆どの模型は,壊れて捨ててしまったり,水口先生や高校時代の化学の先生に寄贈したりと,今となっては殆ど手元には残ってはいません。しかし,愛知県・高等学校の数学の教員にして,分子模型作りの権威と呼んでも過言ではない,山田正男氏を始めとする,分子模型作りを専門に研究されている先生方の成果もあり,誰もが簡単に色々な分子模型を作ることができるようになりました。何より,分子模型作成においては,大変便利な作成道具の数々の開発(とくに角度定規と呼ばれるもの),そして,それらの普及が分子模型作りの世界のあらゆる分岐点を作り出しました。   
それをキッカケに,「コパン」さんという障害者の労働支援施設の方々が始めた,「分子模型製作所」,分子模型を作成しては,全国各地の研究会等で販売されている先生方のおかげで,私は分子模型を「作る」から「買う」方向に変わっていきました。また,良質なプラスチック製の分子模型が,由良製作所というプラスチック精密加工業を専門とされている会社(仮説実験授業を実践されている由良先生という方のご実家)によって,普及することになりました。
このように,分子模型の販売を積極的に行ってくれる方々のおかげもあり,私は相変わらず,色々な分子模型を所持・保管することができています。今後も,これらの財産は増え続けることだと思います。近い将来,自分が教壇でそれらを使うという目的も兼ねて。(2009.5.23 「たのしい教室にしようin SAYAKAホール」資料)(終)
<2019年度の予定>
4月20日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
5月5日(子どもの日)
「板倉聖宣の考え方と私の生き方」講演会
ルネサンス大阪高校 10時~
5月18日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
6月15日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
7月13日(土)
大阪・たのしい授業プラン研究会
四條畷学園小学校科学準備室 10時~
7月20日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
9月14日(土)
大阪・たのしい授業プラン研究会
四條畷学園小学校科学準備室 10時~
9月21日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
10月19日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
11月16日(土)
大阪・たのしい授業プラン研究会
四條畷学園小学校科学準備室 10時~
サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
12月21日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~

2020年1月11日(土)
大阪・たのしい授業プラン研究会
四條畷学園小学校科学準備室 10時~
1月18日(土)サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~
2月23・24日(予定)
中一夫さんの会 ルネサンス大阪高校 
3月7日(土)
大阪・たのしい授業プラン研究会
四條畷学園小学校科学準備室 10時~
サークル例会
四條畷学園小学校科学準備室 2時~

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編集後記
●ぼくは,5年前,58歳で公立小学校を早期退職して,ルネサンス大阪高校に転職しました。転職の動機は,「仮説実験授業がやりたい」というものでした。「仮説実験授業」をしないでそのまま定年を迎えるか,早期退職して仮説実験授業をするか,選択肢は二つ。迷いなく後者を選びました。そして,5年たった今,その選択はまちがってはいなかったと確信しています。
板倉さんが亡くなって,1年がたとうとしています。2019年5月5日に
「<板倉聖宣>の考え方と私の生き方」というテーマで,研究会をひらきます。板倉さんの思想をのちの世まで伝えていくのが,ぼくにとって板倉さんへの「恩返し」だと思っています。そのために,ルネサンス大阪高校で,仮説実験授業をやり続けたいと思っています。
●去年の3月は,四條畷学園小学校の雁金美佐枝さんが退職され,今年の3月は夫の隆さんが定年退職を迎えられます。隆さんは講師として学園に残られますが,仮説の関係者が,学園からだんだんといなくなるというのは,さびしいことです。だがしかし,学園にも若い人の中から仮説の会員が現れて,かつての「公開授業&研究会」が復活することを夢見ています。
●今年の夏の大会は,岩手県の盛岡で開催されます。ここ数年,大会終了後にサークルの有志と「大人の社会見学」に行っています。一昨年の長崎大会では「池島炭鉱跡」,昨年の愛知大会では「豊田産業技術記念館」に行きました。今年は,三陸鉄道に乗ってゆっくり鉄道旅をしたいと思っています。そして,来年は,大阪で初めて全国大会が開かれる可能性が出てきました。うれしいことです。(おわり)