シドニーは親友ディナが体育会系のいけ好かない男と付き合い始めたのが気に入らない。学校は死ぬほど退屈で、ここは逃げ場のないド田舎だ。そんなイライラがたまったある日、彼女は超能力に目覚めて…。
と、ほとんどスティーヴン・キングの『キャリー』みたいな粗筋だが、『ノット・オーケー』はジャンルで分けるならSF青春コメディだろう。やはりキング原作の『IT』でブレイクした美少女ソフィア・リリスが主演し、彼女の“アイドルもの”として実に楽しい。ソフィア嬢は『シャープ・オブジェクツ』で儚げな表情を見せていたのに、ここではどんくさいダサめ女子高生役でキュートな魅力を発揮している。同じく『IT』組ワイアット・オレフとのカップリングも実に愛らしくていい。
青春モノにおける“町”とは主人公の心象風景であり、ド田舎で育った僕にもグサッとくるキツい町並みが出てくる。裏路地は廃墟ばかり、鉄橋は錆び付き、道路は補修等された事がないのかガタガタにひび割れている。友人や家族との軋轢はこの年齢に付き物であり、シドニーの場合はジェンダーも関わってくる。『ユーフォリア』『最高に素晴らしいこと』同様、メンタルイルネスも影を落とし、彼女が秘密を打ち明ける事が出来るのは日記だけだ。青春時代は超能力がなくたって十分にドラマチックで、苦しい。
1話20分強、全7話と見やすいが、これからという所で終わってしまうので少々物足りない。続編を楽しみに待とう。
『ノット・オーケー』20・米
監督 ジョナサン・エントウィッスル
出演 ソフィア・リリス、ワイアット・オレフ、ソフィア・ブライアント
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