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こんなに大ヒットするなんて誰が想像したろうか?
人気シリーズの最新作とはいえ、前作『ジュラシック・パークⅢ』から実に14年ぶり、それも前2作に比べインパクトに乏しい興行成績で終わった後だ。監督は無名の新人コリン・トレボロウ、主演は製作開始時点では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が公開前でやはり知名度不足のクリス・プラット。いわゆる“地雷”の条件が揃ってしまっていた。今まで“製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ”という名義詐欺被害に遭ってきた人も多いハズだ(ネット上では一時、人間と恐竜のハイブリッドという“恐竜人間”のコンセプト画も出回り、僕らを一層不安にさせた)。
ところが蓋を開ければ歴代興行収入記録を塗り替える大ヒットである。
ここで注目したいのが“スピルバーグ・イズム”を継承したトレボロウ監督の優等生っぷりだ。子役2人よるアドベンチャーの嬉しい既視感。御大に負けるとも劣らないブラックな殺戮シーン(あまりに酷くて大笑い)。初めは快く思っていなかった男女の丁々発止のやり取り。これらディテールが劇中セリフよろしく「より大きく、より派手に」が求められる昨今のハリウッド大作において実に豊かな味付けとなっているのだ。
スターロードよりもワイルドさを増量したプラットの相変わらずの間合いの上手さと、もはや名バイプレーヤーと呼んでいいブライス・ダラス・ハワードの相性も良く、トレボロウが役者の扱いも心得ている事がわかる。特にハワードは甥っ子の行方がわからずパニックになる場面や、インドミナスレックスに襲われるシーンでしっかり涙目になるなど本当に巧いなぁと思う。そろそろこういう華はなくとも芝居が上手な女優さんをハリウッドは正当に評価してほしいものである。かねてから彼女を応援してきた僕としてはようやく大ヒット作、代表作を手に入れてくれた事が嬉しかった。
と、ここまでなら腕のいい職人止まりなのだが、クライマックスでは近年のオタク系監督の御多分に漏れず、凄まじいまでの作品愛が爆発し、まるで少年漫画みたいな熱い展開になる。オチを決めるジョーズよろしくな水棲恐竜モササウルスは今回のMVPとして記憶しておこう。
本作での大成功を受けてトレボロウ監督の次回作は『スター・ウォーズ/エピソード9』に決定した。
新三部作の最後を締めくくるには最高のバランス感覚の持ち主であろう。破格の大出世だが、願わくば先人のリツイートに終わらず、より作家性を打ち出して“ポスト・スピルバーグ”を目指してほしいところだ。
人気シリーズの最新作とはいえ、前作『ジュラシック・パークⅢ』から実に14年ぶり、それも前2作に比べインパクトに乏しい興行成績で終わった後だ。監督は無名の新人コリン・トレボロウ、主演は製作開始時点では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が公開前でやはり知名度不足のクリス・プラット。いわゆる“地雷”の条件が揃ってしまっていた。今まで“製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ”という名義詐欺被害に遭ってきた人も多いハズだ(ネット上では一時、人間と恐竜のハイブリッドという“恐竜人間”のコンセプト画も出回り、僕らを一層不安にさせた)。
ところが蓋を開ければ歴代興行収入記録を塗り替える大ヒットである。
ここで注目したいのが“スピルバーグ・イズム”を継承したトレボロウ監督の優等生っぷりだ。子役2人よるアドベンチャーの嬉しい既視感。御大に負けるとも劣らないブラックな殺戮シーン(あまりに酷くて大笑い)。初めは快く思っていなかった男女の丁々発止のやり取り。これらディテールが劇中セリフよろしく「より大きく、より派手に」が求められる昨今のハリウッド大作において実に豊かな味付けとなっているのだ。
スターロードよりもワイルドさを増量したプラットの相変わらずの間合いの上手さと、もはや名バイプレーヤーと呼んでいいブライス・ダラス・ハワードの相性も良く、トレボロウが役者の扱いも心得ている事がわかる。特にハワードは甥っ子の行方がわからずパニックになる場面や、インドミナスレックスに襲われるシーンでしっかり涙目になるなど本当に巧いなぁと思う。そろそろこういう華はなくとも芝居が上手な女優さんをハリウッドは正当に評価してほしいものである。かねてから彼女を応援してきた僕としてはようやく大ヒット作、代表作を手に入れてくれた事が嬉しかった。
と、ここまでなら腕のいい職人止まりなのだが、クライマックスでは近年のオタク系監督の御多分に漏れず、凄まじいまでの作品愛が爆発し、まるで少年漫画みたいな熱い展開になる。オチを決めるジョーズよろしくな水棲恐竜モササウルスは今回のMVPとして記憶しておこう。
本作での大成功を受けてトレボロウ監督の次回作は『スター・ウォーズ/エピソード9』に決定した。
新三部作の最後を締めくくるには最高のバランス感覚の持ち主であろう。破格の大出世だが、願わくば先人のリツイートに終わらず、より作家性を打ち出して“ポスト・スピルバーグ”を目指してほしいところだ。
『ジュラシック・ワールド』15・米
監督 クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード
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