長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『2分の1の魔法』

2020-08-28 | 映画レビュー(に)

 複雑で思いがけない感動があった『トイ・ストーリー4』の後ではあまりに直球で刺激に乏しく、“子供っぽく”すら見えてしまうかも知れない。物語はエルフやユニコーン、ケンタウルスら神話の生物が僕らと同じように暮らす大都市が舞台だ。かつて世界には“魔法”と呼ばれる力があったが、それらは全て電気に取って代わられてしまった。主人公イアンは16歳の誕生日に亡き父の遺した魔法の杖を譲り受ける。ファンタジーオタクの兄バーリーの助言で父を蘇らせるべく呪文を唱えると…なんと生き返ったのは腰から下だけ!イアンは魔法を完全なものにすべく、バーリーと共に旅立つ。

 見所はトム・ホランド、クリス・プラットの“アベンジャーズ”共演だ。高校生役はお手の物のホランドはもちろん、TRPGオタでヘビメタオタのぽっちゃりという兄バーリーに扮したプラットが本来の芸風で笑わせる。近年、すっかりタフガイが板に付いたプラットだが、もともとはビリング3番目以下“主人公の陽気な友達”枠の人だったのだ。

 そんなイタい兄貴と気弱な弟が絆を確かめ合う兄弟愛ドラマはわかっていても泣かされてしまった。本作は監督ダン・スキャンロンが幼い頃に亡くなった父への想いを基にしているという。彼を支えたのも家族愛だったのだろう。本作の直球はコロナショックの現在、より胸に響いた。


『2分の1の魔法』20・米
監督 ダン・スキャンロン
出演 トム・ホランド、クリス・プラット、ジュリア・ルイス=ドレイファス、オクタヴィア・スペンサー
 

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