「でっちあげ 痴漢冤罪の発生メカニズム」夏木栄司 2000角川文庫
「痴漢 冤罪裁判」とほぼ同様の内容だが、こちらはアリバイによって不起訴処分となっている。
けれど、それによって内容が軽くなっているわけではない。問題の検証と考察、提言がつけられているので、冷静に考えるにはこちらの方が良いだろう。特に、それぞれの立場を理解するにはこちらでなければならない。犯罪的な行為を犯してしまった鉄道警察隊も、結局組織の体質によってそうなってしまった経緯もあるのだろうと推測される。もちろん、それだからといって許される物ではないが。ただ、問題をきちんと把握しないとその対処の仕方も、あるべき姿へ改善していく方法も探れない事から、それを考える上でこの本は重要な記録である。と思う。
- 警察は絶対に謝らない
- ミスやサボタージュを取り繕う
- 身内はかばう(これは強烈だ。情報が表に出ない限り護る。掟のようになっている。直接、元警官から聞いたことがあります)
- 警察は市民の味方ではない(イレギュラーの時は敵)
- 謝罪する事は全ての嫌疑を認めること
- 送検・起訴はほぼ100%有罪
- 不起訴は無罪ではなく証拠不十分~前歴がつく(民主党の小沢さんがこれですね)
- 示談=起訴猶予
「痴漢 冤罪裁判」でもそうだったが、「一九八四年」を彷彿とさせるよね。
権力によって徹底的に情報を操作され、記憶すらも変えさせられて服従を強制させられる。言葉だけではない本当の服従を。被疑者に痴漢を認めさせることは、生涯の敗北感を植えつける事であり、残る記録は犯罪者であった証拠となる。恐ろしい事である。それを変えていくことが出来るのは、市民の強い意志である。それは数を必要とする。妥協をせず、正直に真実を述べ、”嘘の事実”を作らないことの積み重ね。なんてね。
生きる意味や生きがいを失っている人が多いといわれる今の時代であれば、こういった体験を喜んで受け入れる人間も増えていくのではないだろうか。どっちみち将来(人生)への期待なんてしていないしね。私もたぶん、我慢できる範囲で正直になろうと頑張ると思う。相手が警察なら恫喝されるほどに楽しくなってくるかもしれない。うふふふふ
鉄道警察官のロジックはたったひとつ。
普通の女性はこんなところに決してやっては来ない。
それをこうしてわざわざやって来たのだから、
よほどひどい目にあったのだろう。
そんな女性が嘘を言っているとは思えない。
だからもしも、二人の話の辻褄があわないのであれば、
それはこの男が嘘を言っているのに違いないのだ。泥棒を処罰する組織を泥棒に運営させようとしても、
機能するはずがありません。調書は刑事の筆跡。
(その後(?)または他署では、本人の筆跡にするために、やってもいないことを強制的に書かされるという屈辱的な目に遭うようになった(なっている)らしい。自白強要で一度認めたらいくらでも言う事を聞くから、かなり悪質な人間のように記録を残されるのだろう)
確認のハンコは最後のページだけ。
間を抜いて書き直して差し替えてもわからない。
被疑者には何一つ確定した証拠が手元に残されない。
検事の調書もワープロで改ざんは簡単。