「猟犬検事 密謀」南英男 2000勁文社
なるほど、これは楽な金集めだ。本当にやっていたりして・・・
ヘッドハンティングに見せかけて、実はリストラの請負だったりするという話はありますが、ここではヘッドハンティングではなくて痴漢を利用するわけですね。まあ、作品中でリストラの請負があったかどうかは判然としませんが。
女3人がかりで一流企業の管理職(リストラ対象?)を嵌めて痴漢に仕立て上げるのです。(怖いですね)女たちにとっては、手っ取り早い小遣い稼ぎにすぎません。そして、被害者と証人がそろっているのですから、今の環境では逃げようがありません。狙われた人たちは痴漢を認めるか、起訴されるかになるわけですな。
その女たちに指示を与えた主犯格の男は、それをねたに会社を脅すわけですね。(リストラ工作依頼があればそれも込みで)そうすると、当事者たちは会社にいられなくなって自主退職に追い込まれます。主犯格の男はその退職金まで狙うのですね。
まあ、一流企業の管理職が満員電車に乗っているかどうかが疑問であり、さらにはその退職後にみんながみんな詐欺に引っかかるとは思えないんですけど、そこはまあ、話の展開を面白くするために我慢ですね。
それから、3ヶ月に23人って・・・そんな目立つ事をしますかね。そうなったら警察もグルだってことにしないとだめでしょう。
まあ、それはそれで恐ろしい事ではあるのですが、全体の中ではほんの一端であり、取っ掛かりでしかありませんでした。通信傍受法にまつわる装置納入、ソフト開発費用など、上層部の人間が係わっていたのでした。そして、それによって(将来大きく)利益を受けるものたちが暗躍する。
スーパーマン的な運のよさと強さを持った主人公ですね。無茶苦茶です。どう見ても動きが迂闊なんですが、活劇では仕方ないと諦めましょう。元SATの隊員も腕が悪すぎます。でも、腹の中では引っかかりながらもついつい読み進めてしまえます。テンポはいいんです。
まあ、終わりかたも主人公の(完全な)思惑通りになってないのでよしとする。
せっかく通信傍受法とか言って盗聴器を納入させているんだから、主人公の動きも黒幕(たち)には筒抜けになってないとつまんないよ~それがなくても盗聴くらいはするでしょ。だって、主人公ってば余りに迂闊に電話をしまくっているんだもん。それを逆手に取ったり、相手もそれに気付いたりすると頭脳合戦になって面白くなり納得するのに。主人公の車も目立つのに・・・
この作者は同じようなタイトルの本を沢山書いているけど、wikipediaにもない・・・
熱烈なファンはいないということか。
amazonで2010年05月22日現在112件(評価のついているのは3作だけ)
この人すごいよ、読み捨て作家か。毎月のように本が出ている。なのに、評価が見当たらない。