初めて北アルプスへ行く人に勧めるならどの山か?
俺が、登山経験の無い人を夏もしくは秋に北アルプスへ連れて行くなら?
今回はそれについて書いてみました。
北アルプスの山には日帰りで登れる山も幾つかあります。
しかし今回は、登山経験が無い(若しくは乏しい)人を連れて行く事を想定しているので
一泊二日以上で考えてみたいと思います。(日帰りでも立山の雄山等は余裕を持って登れると思います)
登山経験の無い友人が『一泊二日で北アルプスに行ってみたい』そう言ったら・・・
その人が普段特別な運動をしていない女性なら、まずは北アルプスの聖地秋の涸沢へ連れて行きます。
無論涸沢で一泊です
涸沢は氷河が作り上げたお椀型の窪地です。(写真中央の窪地、標高2300m程)
上高地から涸沢へ至るコースタイムは6時間10分ですが、(この時間だけ見ると長そう・・・)
スタート地点の上高地から横尾大橋を渡った少し先までは粗平坦である為
『登り』になるのは実質3時間程度で、尚且つ登山道は整備され『健康な人なら誰でも行ける』
そう言われているほどです(疲労を感じず登れる訳では無いので注意)
そして何より秋の涸沢を進めるのは『日本一』とも言われる自然の紅葉を目に出来る事がその理由です。
秋晴れの空と涸沢を囲む穂高の山々(前穂・奥穂・涸沢岳・北穂)
ハイマツの緑・ダケカンバの黄色・ナナカマドの赤が織り成す紅葉を目にすれば一生の思い出になるでしょう。
北アルプスが大好きになってくれる事間違い無し。
紅葉を堪能するにはザイテングラート手前までやパノラマ道途中までの散歩がお勧め。(パノラマ道は鎖場あり)
『でも、やっぱり山頂に立ちたいよ!』と言う人には、少し物足りないかも知れません。
その場合、もう一泊しましょう!
涸沢は有名な奥穂高岳3190m・北穂高岳・前穂高岳等へ登る人達の山岳基地になっている土地です。
同地には山小屋が二つも建ってますし、広いキャンプ指定地もあります。
4~5時間の登山が出来る体力があり、高所恐怖症でなければ北穂か奥穂へ登る事をお勧めします。(鎖場あり)
しかし、一日に5時間程度の登山が出来るならば、北アルプス(夏・秋)の大抵の山は登れる事になっちゃいます。
そうなったら、もう俺は2泊で槍ヶ岳3180mへ連れて行きますね!
あのとんがった岩山の姿、頂から見れる景色、そこに立ったという経験は人生の宝になるはずです。
上高地から槍沢ルートならば一日目の殆どは粗平坦な道を行くだけ。
二日目は高低さ1000m程度を登りますが、稜線歩きでは無いので、安全かつ歩きやすいです。
槍の肩までは富士登山の感じと想像してください。(わからんか・・・)
肩から先の山頂へは、一見絶壁を登っている様に見えますが、実はそうでも無いんです。
浮石も殆ど無く、取り付くと分かるのですが登りやすいんです。(整備してくれる人のお陰)
(注:山頂には浮石があります。石は絶対に落とさない様にして下さい)
槍ヶ岳に登る度に『初めての北アルプスが槍ヶ岳』って人に多く出会います。
登山自体殆ど経験が無いと言う人も多いですね。
そんな時、『登れますかね?』と、よく聞かれるんですが、俺はこう答えます。
『高さ10mのジャングルジムを想像して下さい。恐いけど登れる、そう思えるなら大丈夫です』
槍の穂先は高さが凡そ100mありますが、垂直な壁を登る訳ではありません。
10mのジャングルジムの方が少し恐いと俺は思います。
5mのジャングルジムの方がピッタリな感じなんですが、穂先の高さと余裕をみて10mと言います。
『恐怖は感じるけど、登れる』そこが重要です。むしろ『へっちゃら』と考える人が危ないかも。
夏や秋の槍ヶ岳は人で混雑している事が珍しくありません。
『初めてなんです』そう言えば大抵の人がアドバイスやサポートをしてくれるでしょう。
また、『早く行けよ!』なんて言う狭量な人はこの素晴らしい景色の中に、まず居ません。
落ち着いて楽しんで登ってください。
『涸沢経由で奥穂や北穂を、または槍沢から槍ヶ岳を登りたい』そう思っても
『一日5時間はキツイかも・・・』って事なら一泊を二泊に、二泊を三泊にすれば良い訳です。
例えば、一日目は槍沢ロッジ泊で二日目は少し頑張って槍ヶ岳の頂に登って槍ヶ岳山荘泊。
三日目は早朝もう一度山頂に登って下山開始、槍沢ロッジ若しくは横尾山荘泊。
これなら大抵の人が楽に行けると思いますし、日の短い秋でもOKでしょう。
四日目は早朝から上高地散策も楽しめます。
要は自分と仲間の体力を正しく理解して、それに合った計画を立てれば問題無いんです。
さて、最後に一番お勧めの上高地から一泊二日で登れる初心者向けの山を御紹介。
それは以前にも何度か紹介した蝶ヶ岳2677mです。
この山の魅力は何と言っても山頂(と言うか稜線全て)から目に出来る大パノラマでしょう。
穂高連峰と槍ヶ岳の北アプスのスター達が並んでる姿が見れるんですから!
(眺めれるのは槍穂高だけだと思ったら大間違いですよ~)
もう、ファインダーに収まり切らない大パノラマです。
そして上高地から入山すれば、徳沢(長塀山ルート)か横尾までは殆ど上り下りの無い道を2~3時間歩いて
徳沢からだと4時間40分の登りで山頂(山小屋)に。
横尾からなら登り3時間20分で稜線に出て(大パノラマを見ながら)、なだらかな稜線を歩き30分で山頂へ到着。
登りの殆どが樹林帯の登りになるので、落石や滑落の心配は少なく、雨風の影響も受けにくいのもお勧めの理由です。
但し、この登りは木の根等段差があり樹林帯の為、体力的にも精神的にも厳しい物があります。
(横尾からのルートでは振り返ると、とんがり帽子の様な槍の穂先が見れるポイントがあります)
一泊で蝶ヶ岳を登る場合、山頂の蝶ヶ岳ヒュッテ泊になりますが、体力的に不安ならば二泊の行程がお勧めです。
その場合、徳沢ルートなら徳沢園or徳沢ロッジ泊、横尾ルートなら横尾山荘泊となります。
色々書いて来ましたが、北アルプスの魅力を堪能するのであれば、やっぱり2泊はする事をお勧めしたいですね。
2泊すれば登れる山がグンと増えて来ますから。
最後に注意点とアドバイスを・・・
夏は午後の夕立と雷に注意して下さい。
昼過ぎには山小屋へ到着したいところです。
秋は雪が降る事も多々あります(10月の一週目頃、深くは積もりませんが)防寒具(ダウン)は必須。
日没時間を考えて計画を立てて下さい。(特に秋には)
山を登る時には、登山靴(トレッキングシューズ)・ザックとザックカバー・レインウエアーは必須です。
お勧めなのが、トレッキングポール&サポートタイツの組み合わせと、サプリメントのアミノバイタルです。
(もう登山では当たり前になっていますね)
特にトレッキングポールは足腰への負担を大幅に軽減してくれます。
どの山を登ろうか、地図を眺めルートを考える時間も楽しい時間です。
自分と同行者の体力を考えて計画を練り、自分のペースで山旅を楽しんでください。
9月22~24日の予定にしています。21日の夜に岡山を出発したいと思います。
でも、岡山から平湯まで車で6時間はかかります。と、なると
あまり時間が無いんです。もう一日あると行動パターンが増えるのですが・・。
私の頭の中10年間の計画の中に、涸沢♪北穂高♪蝶が岳♪槍が岳♪あります。
一つずつ、一つずつ夢を叶えて行きたいです[E:confident]
ありがとうございました[E:heart04]
ところで、9月のこの時期は寒いですかね?
朝晩は冷え込みます。俺が良く行くのは10月上旬ですがその頃は氷点下にもなります。
山小屋なのでそれ程心配する必要はないと思いますが、朝の行動時は寒さを感じると思います。
動き出して日が昇れば暑いんですけどね。
フリースか薄手のダウンを持って行ってください。(ユニクロでもOK未だ売ってないか)
この時期は秋雨前線が停滞してたりするので冷たい雨に注意です。