寝転んで空を見る

山高きを厭わず 海深きを厭わない

秋の槍ヶ岳と涸沢を目指して 3rd Day 後編

2012年10月25日 | 2012北アルプスの旅

3000mで、チョコレートチップの入ったマフィンとポカリでカロリー補給。

その後、ここ北穂山頂から涸沢へ下る。

昨日、涸沢から来た男性に南岳で聞いた話によると『涸沢は10年に一度の紅葉』だと言っていた。

(山小屋のホームページでそう言っているらしい)

北穂から涸沢への下りは1:40分ほど、鎖場が数箇所あるが北アルプスでは普通の登山道。

(とは言っても一昨年のカメラマンが亡くなった事故など、死亡事故は起きている)

傾斜が急なこの登山道、上りは体力的に大変そうだ。

対して下りは、少し危険と言ったところか。

Img_1629 北穂山頂から、涸沢&前穂  

Img_1633 山頂から、前穂高岳3090.2m奥穂高岳3190m

↑この前穂と奥穂の間の尾根が『吊尾根』。

吊尾根の向こうは岳沢、上高地や河童橋から見るあの景色の裏側である。

当初のプラン通り、涸沢で一泊して明日は奥穂→前穂→岳沢へと行きたいな。

そんな事を考えつつ、涸沢へ下りだした。

 

Img_1639 涸沢(2300m程)へ!

急な下り時のトレッキングポールの使い方には、少々注意が必要。

下り時には、ポールに全体重をかけてしまいがちだが、谷側のポールへ体重をかけた時にポールが滑ると・・・

『谷へ真っ逆さま』となって重大事故に繋がる。(北穂にもそんな所がある)

谷側では無く、山側のポールへ体重をかける様にしたい。(山側も全体重はかけない)

 

涸沢へガンガン下っていると、上ってくる多くの登山者とすれ違う。

毎度感じる事だが、この辺りは立山や槍とも様子が違う。

人々の年齢層が低くなるのである。

つまり、山ガールが多い。ムフッ

『雑誌から出て来た様な恰好で・・・』なんて言う人も居るが(実際、雑誌に出ている人が居たりする)

楽しみ方は人其々、嶮しい山に登らなくたってOK、ファッションを楽しむのもOK!

マナーさえ守れるなら自由ってもんだ。

この辺りは綺麗な女性が多いので、交わす笑顔も挨拶も3割り増しのやわらかさを帯びる。 

 

しかし、少し涸沢へ近付くと異変に気が付いた(まあ予想はしてたけど・・・)

Img_1653

それは、テント大杉漣じゃね?漣さんの座右の銘は『あるがままに』じゃね?って事だ。(どんな事だ?)

紅葉の時期(しかも連休)や御盆の時期にも、ここにテントを張った事はあるが・・・

ここまでの混雑は初めて目にした。

 

PM12:00、涸沢に建つ小さな方の小屋『涸沢小屋』へ到着。

涸沢小屋のテラスから『こりゃ~良い所空いてねえな』と『でも、夜は綺麗だろうなぁ』

そんな悲喜交々の思いで眺めていた。

因みに、日没後に涸沢小屋からテント村を眺めると、明りを灯したテントのイルミネーションを楽しむことが出来る。

これも往年の登山家に言わせると、『昔のランタンの灯りは味があって良かったが、LEDは味気ない』そうだ。

火の灯りってのは温もりがあるからね、わかる気がする。

Img_1659

北穂南稜と涸沢小屋

涸沢小屋の小さなテラスで、『さて、どうするか?』と、考えながら(おでんへの想いを捨てて更に下るか)

『ぼ~』っとしていると、目の前にサンダル履きの美女が現れた。

なんと、『大西舞魅』さんじゃナイデスカー!

去年、太郎平小屋の近辺で遭遇して以来である。

スッピンでも美人だなぁ・・・ほっせえなぁ・・・3年連続で遭遇したから、もう赤い糸で結ばれてんな・・・

一緒に写真撮ってもらおうか?

あれやこれや色々思ったが、実は彼女、5月に結婚したそうで・・・。

どうやら小指に結ばれたこの赤い糸は、彼女の小指には繋がっていないらしい。

ちょっと引っ張って見たけど反応無いので、テン場におりる。

 

やっぱり、テン場の方は残念な状況。

均されていない『ガッタガッタ』の場所にテントで寝るのは勘弁、必然的に奥穂と前穂は無しに。

で、『おでん』は?と言う事で『涸沢ヒュッテ』の大きなテラスと売店を覗きに行った。

Img_1656 赤い屋根ヒュッテの売店

売店は『すんげぇー行列』。

並ぶことが嫌いな俺には、ムリデス!

『売店の女の子は可愛いなぁー(去年も居たね)』とか・・・もう、紅葉なんかそっちのけ。

今年も涸沢では2つの山小屋による熾烈な看板娘戦争が勃発してる様で結構な事である。

また登山雑誌でモデルデビューしちゃうのだろうか?

雑誌に、北アルプス看板娘特集とかあったら・・・買っちゃうね・・・俺。

涸沢をこのまま去るのは、後ろ髪を引かれる思いだ。(色んな意味で・・・)

 

後ろ髪を引き千切った俺は、今日の宿泊予定地を徳沢のテン場に変更。

ヒュッテの水場で水を補給(0円)後、徳沢を目指して下る事にした。

Img_1657

もし明日晴れたなら、この紅葉は輝きを増して目に映るのだろう。

そう思うと一泊したいのだが、寝返りも打てない夜はゴメンデス。

 

涸沢から横尾へ下り出した俺であったが、上って来る登山者の多さに四苦八苦。

団体さんが切れ目も無く上って来る為に、道を譲る事が多く中々ペースが出せない。

何時もなら駆ける様に下る横尾への道を、山と高原の地図のコースタイム通りキッチリ2時間かかった。

横尾到着がPM15:00前。

 

道中、横尾の手前で休憩している、どう見ても山を登り慣れていないカップルに出くわした。

(勿論テント泊では無い)

その場所から涸沢まで3時間・・・と言う事は日没になってしまうし、道中は樹林帯である。

真っ暗闇になるだろう。おいおいおい、おい。

大丈夫なあのかよ・・・?ライトは持っているのだろうか?(山小屋で怒られるぜ?)

彼氏の面子を考えて言葉は掛けなかった。

山小屋は14~15時までには到着するようにプランを立てたい。

  

横尾大橋に至ると、橋の石段で休憩している今朝大キレットで言葉を交わした男性に追いついた。

上高地発の最終バスに間に合うか、ギリギリだと焦っていた。

 

横尾大橋を渡ったのが15時。

橋には、この時間以降涸沢へ向かう登山者を止める山岳レスキューの姿がある。

横尾山荘前に腰かけている親子(両親に娘さん)に話しかけた。

明日、涸沢へ行くとの事。

『10年に一度の紅葉だそうですよ』そう伝えると喜んでいた。

日の光を受けて輝く紅葉が3人を待っていて欲しいものだ。

 

休憩を終えて歩き出し、徳沢に付いたのは丁度PM16:00。

愕然とした。

Img_1432 初日に撮影の徳沢のテン場

このテン場が隙間も無くテントで埋め尽くされていたからだ。

この、のどかな雰囲気が徳沢の魅力なのに・・・『ハイ、次!次!』

今日の宿泊地を上高地の小梨平に更に変更。

暗闇の中テントを設営するのは避けたい、2時間の道のりを小梨平まで急ぐ。

 

PM17:20、小梨平に到着して受付を済ました。

小梨平も非常に込み合っている。

お決まりの梓川左岸にはテントを張れなかった。

トイレとビジターセンターの側に、暗い中ひっそりとテンと設営。

設営料700円、水は日本一短い川、清水川の水(霞沢岳の伏流水)0円

 

結局この日歩いたルートを『山と高原の地図』で表すとこうなった。

一般平均コースタイム:南岳→3:30→北穂高岳→1:40→涸沢カール→5:10→小梨平

合計10時間20分の道のりだった。

涸沢からは急いだので、疲れたね 笑

 

こうして今回の山旅は終了。 

 

以下は、おまけのスライドショー。

自宅のPCには、この2つのスライドショーに夫々曲を付けて保存しています。

非常に残念ながら、曲を付けてユ-チューブにUPする訳には行かないので、ここでは無音。

 

↓こちらは今回の旅のダイジェスト的な物。

PCには、曲『1/6の夢旅人』を付けて保存。

↓こちらは、秋の槍ヶ岳と涸沢の風景で構成(過去の写真も追加、蝶ヶ岳からも2~3枚)

PCにはDewの曲『クロノス』を付けて保存してあります。

『きっと叶えてみたい、胸のときめきがある。心で描いた事は幻じゃない』

山旅の朝、俺の目を覚ましてくれると共に『わくわく』を呼び覚ます曲です。

 

今年は10年に一度の紅葉と聞いたが、一昨年も変わり無いのではないだろうか?

(スライドショー中、青空の紅葉は一昨年撮影)

それは兎も角、秋の槍ヶ岳・涸沢はこんな感じ。

また来年、紅葉の涸沢カールで会いましょう。

 

                                                   終わり

 


秋の槍ヶ岳と涸沢を目指して 3rd Day 前編

2012年10月20日 | 2012北アルプスの旅

AM2:00位から、テントを叩く風が強くなった。

隣のテントから話し声と、人が外に出て何か作業する音がガサゴソと聞こえる。

恐らく、風でフライシートを固定する張り綱が緩んだのだろう。(殆どペグは効かない)

俺はこんな事も予想し、石でしっかりと固定してあったので問題なし。(ナイス俺!ナイス!)

 

『ヒュンヒュン、ヒュンヒュン』

昨夜の消灯時間で止まった風力発電のプロペラが再び回りだした。

10月6日、AM5:00頃起床。

作り置きの朝食を食べる。

昨夜は、カイロを背中に2枚と靴下の中に靴用カイロを入れて寝たのだが、少々寒かった。

時計の針が5:30を回った頃(と言っても時計は電池切れ)外に出てテントを撤収。

この日の天気は『曇り時々晴れ』の予報。

東へ目を向けると、上下の雲の間に富士山が顔を覗かせている。

Img_1582

北アルプス(南岳)から見た富士山3776m

空は曇っている。

しかし雲は高い所にあり、これから行く『大キレット』は、ガスも無く、まずまずのコンディション。

Img_1585

水が塩素臭かったのでポカリスエット500cc×2本を購入、2本で1000円なり。

(たけ~!今まで五色ヶ原山荘の一本350円が最高だった)

 

AM7:30、本日の目的地『涸沢』を目指して出発。

下半身の服装は昨日と同じ(パンツも同じ中身も同じ

上は、『c3fitのパフォーマンスロングスリーブ』(筋肉のブレを軽減するピッタピッタのシャツ)

その上に『黒の速乾Tシャツ』(バグーハウス)更に『トレントフライヤージャケット』(モンベルのレインウエアー)

首にファイントラックの『バラクラバ』をネックゲーター代わりにし、手にはフリースのグローブ(手の平はラバー)

と、まあこんな恰好で、文字通り山を越え谷を越え紅葉とおでんと山ガールの待つ涸沢を目指して歩き出す。

 

南岳からキレットへの最初の鎖までは、トレッキングポールを一本だけ使って下る(ザレていて滑りやすい)

そこから先は両手と両足だけが頼み。

Img_1587_1 最低鞍部手前から見上げる南岳方面

最低鞍部とは、簡単に言えば一番低い所(大キレットの最低鞍部は2748m)

 

ここでちょっとした小技を・・・

登山の登りでは、筋持久力の消費を抑える為、出来るだけ小股で段差を避けて登って行くのが基本と云われる。

しかし北アルプスは、そうは行かない段差のある急な登山道(道と言え無い所も)が続く場合も。

そんな時は『片足ぶら~ん』の出番。

Img_1592 『片足ぶら~ん』

①段差を右足で『よいしょっ』と登る、②両手は岩を掴みつつ右足の膝を伸ばし(三点支持)で身体を支える。

③この時、先の一歩で使った左足を写真の様に『ぶら~ん』として、回復・休ませる。(その間1~2秒)

④『ぶら~ん』した左足で次の段差を登る。

これを繰り返し登って行くと少し楽に、なお且つゆっくり三点支持で登って行く事になるので安全度も増します。

 

暫く進むと『長谷川ピーク』へ

Img_1594 長谷川ピーク

Hピンクじゃ無く、Hの後に続くHな言葉を自己修正してる訳でもなく、『長谷川ピーク』です。

この三角屋根の様な『Hピーク』ナイフリッジに跨り、写真を撮る。

すると、俺の尻の割れ目を境に、右は飛騨(岐阜県)で左は信濃(長野)となる。

『う~ん、気分爽快!』

 

そんな事をしていると、あれ?っと思う事が・・・

先行していた男性2人が、長谷川ピークから飛騨側に下りるルートを間違えていたのだ。

『そこ違いますよ!ルートはその先!』と声をかけると・・・

『いや、ここにピンがあるから・・・ここでも平気でしょ?』と不満げな声(いや、あぶねって

結局正しいルートに戻った二人なのだが、2人を見て更に驚いた。

緑ジャケットの人が、伸ばしたトレッキングポールを両手に大キレットを進んでいる。

ありえねぇー

Img_1598

注意しようかと思ったが、2度目となると気が引ける。

さっきの感じだと『若造が偉そうに、うるせーよ』そう思われそうだ 苦笑

後から来た人に話すと『注意した方が良いんじゃない?』と俺に言う・・・

え?俺が?

 

ここは、落石の多い大キレット。(一昨年はレンガ大の石を落とされ、去年は隣の人に石が当った)

『あの2人の下を登るのは、や~めたっ』

石やトレッキングポールが落ちて来るのも嫌だが、人が落ちて来たらタマラナイ。

『A沢コル』で長い休憩を取り、距離をあける事にした。

その緑ジャッケットのおじさんは、急な岩場やザレた登りを器用にダブルストックで登っていく。

しかし、『足』か『ポール』が滑ったら、谷へ真っ逆さまだろう。

『あの人、今回は無事でも、いつか事故を起すかもな』

『三歩だったら優しく注意するんだろうなぁ・・・』

そんな事を思いつつ、昨日出合った登山者に貰った『キットカット』を頬張る。

俺は三歩ほど優しく無い。

しかし、去年ザイテングラートであった事故の様に巻き込まれて失う命の事を思うと注意するべきだったと後悔。

Img_1601

『長谷川ピーク』ナイフリッジを行く登山者達。

 

A沢コルでは女性2人組み、俺と同年代?の男性1人と休憩を共にした。

一息いれたら、↓を登る。

Img_1603

   ↓少し登ったところで振り返る↓

 Img_1604

今まで『大キレット』を通る時は、天候に恵まれて来なかった。(途中から雨)

今回も『天気は曇り』だが、キレットに雨は勿論ガスも掛かっていない。

きっと、北穂から迫力のある景色を目に出来ると『わくわく』する。

何より岩場は楽しい!

 

そして最後の危険箇所(と言っても高度感があるので皆慎重になるから、かえって安全かも?無論落ちたら終り)

『飛騨泣き』へ。

Img_1605

 

Img_1608

 

『飛騨泣き』を越えれば、後は『北穂高小屋』まで登るのみ。

Img_1609

体力には、十分な余力がある。

落石に注意しつつ、最後の登りを上って行く。

Img_1613

10:40、北穂高小屋へ到着。

Img_1620_2

去年も一昨年も、雨の中の大キレットだった。

しかし今回は、『青空の下』とは行か無いが、『大キレット越しの槍ヶ岳』を目にする事が出来、

小屋のテラスに腰を下ろす事も無く、ひたすらこの景色を心に焼き付けた。

 

胸焼けになる位焼き付けたら、北穂高小屋と売店の間の石段を上り『北穂高岳』山頂へ!

Img_1634_3

『北穂高岳3106m』

 

長谷川ピークを過ぎた辺りから北穂高山頂の動画も撮影。

 

前日購入のマフィンを味わいつつ、山頂からのパノラマを楽しむ。(風が冷たかったー)

 

キレットで出会った男性は上高地発の最終バスで帰るべく、一足先に涸沢へ下って行った。

山で出会った人との別れ際に交わす

『また何処かで!』

爽やかなこの言葉が俺は好きだね。

 

しかし、頭の中は『おでん おでん おでん 紅葉』

休憩後、涸沢へ下ります。

 

                                                    つづく


秋の槍ヶ岳と涸沢を目指して 2nd Day 後編

2012年10月16日 | 2012北アルプスの旅

秋晴れの空の下、山々を歩くのは最高の気分だ。

力が漲る、心も軽い。

空気が美味い。

でも、酸素薄い・・・。

槍の肩まで、つづら折の登りは中々しんどい。

3000m峰だから当たり前ちゃ~当たり前か。

 
槍を見上げながら

『愛してるの言葉じゃ、足りない位に君が好き~

『愛してるの言葉を、100万回君に贈ろう~

『Rake』の歌を口ずさみながら登って行った。

 

因みに、山旅の間よく聴くのは、やっぱり『Dew』の『クロノス』と『緑の小道』

樋口了一の『1/6の夢旅人』

Img_1491_2

写真中央、黄色と赤の点は登山者。

 

AM9:40位に槍の肩(槍ヶ岳山荘前)に到着。

一息入れた後、山頂を目指し、鼻水をすすりながらこの岩場を登って行く。(寒くてね・・・)

Img_1494

穂先を少し登った所で撮影。

 

動画も撮影。

山頂に近付くと岩登りチックになります。

その為、片手をカメラで塞いで登る訳には行かず撮影できない、不十分な動画になってしまいました。

ヘルメットを持って行き、そこに小型カメラを固定したら・・・槍やキレットの面白い動画が取れそうだ。

風が強いので消音です

動画中、一度シャッターを頼まれた人にもう一度お願いされた場面が映っています。

御互いの想い出を切り取る。

良い場所です。

 

俺の山旅は、槍ヶ岳じゃ何だかんだで好天に恵まれる事が多い。

のんびり絶景と至福の時を味わう。

Img_1506 東鎌尾根、後ろは常念岳

写真中央、東鎌尾根に建つ『ヒュッテ大槍』は槍ヶ岳を目指す山小屋泊の登山者にお勧め!

槍沢ルートからは少し外れた場所に建っていますが、それ故に集客の努力が見られる山小屋です。

出会う登山者の多くから『ヒュッテ大槍は良いね』との声を聞きました。(俺も去年宿泊)

対して槍沢ロッジ・槍ヶ岳山荘の評判(食事の)は、宜しくない・・・。

『ヒュッテ大槍』の魅力は燕山荘グループの特徴である料理の美味さとホスピタリティーに加え

槍ヶ岳が美しく見られる立地につきる。

Img_1507_2 槍ヶ岳3180m山頂

 

Img_1510 西鎌尾根、双六方面

 

Img_1511 槍ヶ岳山頂にて・・・『ヤッホー!』

 

山頂を満喫したら、本日のキャンプ予定地『南岳3032.7m』を目指します。

と、その前に、槍ヶ岳山荘の『キッチン槍』でココア500円とマフィン250円を味わってカロリー補給。

山荘前で準備をしていると、何処からとも無く『シャボン玉』が飛んできた・・・。

シャボン玉を吹いていたのは、山小屋でアルバイトする女の子達。

Img_1515_2

屋根の上でシャボン玉とは『乙』な事を・・・笑

こんな微笑ましい光景と槍ヶ岳を後に出発!

Img_1504 南岳へこの稜線を行く(撮影:槍ヶ岳山頂)

 

槍から南岳へは、『下っては上る』を繰り返し大喰・中岳・南岳の3000m級の山々を歩く。

道中、中岳で『おっちゃん』に再会。

今朝の悪天候の為『おっちゃん』は天狗原からの槍は拝めなかったそうだ。

しかし、これから向かう槍は青空の下で待っていてくれるだろう。

また昨夜、槍沢でテント泊をしていた3人組にも出会った。

この3人は槍から天狗原経由、今日はこちらが正解だった様だ。

出会う人達と別れ際には『御互い気をつけて!』の言葉を交わし、互いの道を行く。

Img_1546

『天狗原への分岐に立つ3人』

 

14時頃、『南岳3032.7m』に到着。

山頂を少し下った所にあるキャンプ指定地にテントを張った。

設営料500円

水1?200円(雨水だが、今年は塩素臭かった)

Img_1571

『 南岳3032.7mとテント村』(右端から3つ目、黄色のテントが我が別荘)

 

先行者が一人だけだったテン場も、夕暮れ前にはテントの数が増えてきた。

ぶらぶらしながら、日が沈むまでの時間、刻々と変わり行く風景を眺めて過した。

Img_1572

『笠ヶ岳2897.5m』の向こうに日が沈む。

 

Img_1580

『北穂高岳3106m』と滝雲の大キレット、明日そこを行く。

 

ここまでは『今年の秋は暖かい』そんな印象の北アルプス。(就寝時の話し)

(2年前・3年前もテントが凍りついた)

しかし、今夜は3000m級のテン場である。

ちょっと身構える。

就寝前の『抹茶ラテ』とカイロを用意。

 

俺が大キレットを通る時は、いつも雨が降っている。

明日こそは雨も夜露も霜も無い、キレットと行きたいものだ!

そんな事を思いながら、18時過ぎに就寝。

 

実はこの日、腕時計(スント コア オールブラック)の電池が切れるアクシデントがあった。

初めての山では腕時計の高度計機能が役立つ、何度も来ている槍や大キレットなので問題なかったが・・・

ソーラー充電&電波時計のプロトレックが欲しくなった。(デザインが嫌いなんだよなぁ)

 

明日は大キレットを通り北穂へ、そして涸沢の紅葉とおでんが待っている。

 

                                                    つづく


秋の槍ヶ岳と涸沢を目指して 2nd Day 前編

2012年10月11日 | 2012北アルプスの旅

10月5日、AM4:30に起床。

前夜の夕食時に作り置きしておいた『山菜おこわ』を食べる。

勿論、冷たいし、硬くなっていて今一ならぬ、今三のお味。

AM5:30を回ると、テントの中も明るくなってくる。

外へ出てテントを撤収。

天気予報では『晴れ』のはずが、空は雲に覆われ今にも雨が降りそうな天気。

隣のテントの『おっちゃん』が出てきたので、挨拶を交わす。

『おっちゃん』は天狗原へ向かい、そこから中岳・大喰岳・槍ヶ岳と縦走して、ここ槍沢へ戻るそうだ。

と、言う事は、俺と何処かで再会する事になるはず。

先発したおっちゃんに遅れる事30分位だろうか?俺も重たいザックを背負い歩き出した。

 

本日のメインイベントは勿論、槍ヶ岳登頂。

宿泊地は南岳となる。

山と高原の地図によるコースタイムは以下

槍沢キャンプ地→1:00→大曲→1:00→天狗原分岐→2:10→殺生ヒュッテ→0:40→槍ヶ岳山荘→0:30→槍ヶ岳山頂

→0:30→槍ヶ岳山荘→2:30南岳

今日は、ちょいと多目の合計歩行時間8時間40分(槍の山頂往復を除けば1時間マイナス)

Img_1465

歩き出して1時間もすると雨が降り出してきた。

もうテンションガタ落ち・・・。

モチベーション崩壊。

『気象予報士の野郎・・・嘘つきやがって~』と、

今日の天気を『晴れ』との予報を出した顔も知らない相手に怨み節を言いながら登っていった。

雨はパラついては止む事を繰り返し、おまけに西から吹き降ろす風は非常に冷たい。

雨と寒さ+風で指先が痛い。

グローブ2枚をはめても、その痛みが無くならない。

この天候じゃ山頂には立てないのじゃないだろうか?

そう思いながらも、何とか足を前に出し登っていった。

 

こんな状況でも俺に力を与えてくれる物がある。

それは槍沢の紅葉とチューイングキャンディー『カムカム』。

Img_1469

『カムカム』の酸味が~って、カムカムの話は置いておこう。

この紅葉に力をもらい、『若しかしたら晴れるかも』とポジティブな気持ちを何とか持ち続け登る事ができた。

たまに、雲の切れ間から太陽光が射せば、紅葉は一段とその色彩を増して元気を与えてくれた。

Img_1477

自分を奮い立たせ登っていると、昨夜槍ヶ岳山荘に泊まった登山者が、すれ違いざまにこんな言葉を残していく。

『今日は何にも見えなくてダメだね』

『昨日の方が天気良かったね』

登っている人間に、そんな事言うなよ!

寒いし、登っても報われないのかと思うと、もう、泣きそうな気分だった。

好天時なら槍の穂先がドーンと見える所まで登ってもこんな感じ↓

Img_1481

しかし、その時、雲の切れ間に空の青さが一瞬見えたかと思ったったら、一気に雲が流れ出し青空が俺の頭上を覆った。

そして、纏っていた雲を脱ぎ捨て、槍がその姿を現した・・・

Img_1487_2

 

Img_1484

 

Img_1488

槍ヶ岳3180m

なんて、『じらし上手さん』なんだろうか。

『どSさん』と言わせてもらおう。

恋愛上手の性悪女みたいな手を使いやがる。

しかも、この美貌でだ。

もう、メロメロです・・・

 

この姿を見ただけで力が湧いてくる。

体中の細胞が震える!

心が踊る!

笑っちゃう位、元気が出てくる。

『やっぱり槍が一番好きだな、剱や穂高よりも槍ヶ岳が好きだ!』

そう声に出して一人呟いた。

もう、寒さも感じない、指も痛くない。

今からだって富士登山が出来るくらいの力が満ち溢れてる。

 

『山を登る為に一番必要なのはこれなんだ』と改めて思った。

どんなに体力があったとしても、景色風景に感動できる力が無ければ山は登れっこない。

ワクワクする力が無ければ冒険は出来ない。

自分にその力がある事が嬉しくて、目頭が熱くなった。

 

山岳天気予報の気象予報士を信じて良かったー!

えっ?

 

                                                    つづく


秋の槍ヶ岳と涸沢を目指して 1st Day

2012年10月10日 | 2012北アルプスの旅

10月3日17時過ぎに家を出た。

勿論、行き先は北アルプス!

普通列車でコトコト向かった先は松本駅。

22時過ぎに松本駅到着。

帰りの切符(あずさ回数券)とマックのダブルチーズバーガーとハンバーガーにポテト(L)を購入後

最終の新島々線で新島々駅へ向かった。

 

この夜は新島々発上高地行きの始発バスに乗る為に、駅で野宿をするのだ。

駅から少し歩いた所に建つセブンイレブンで飲み物と御菓子(行動食)を購入。

駅の自販機前にあるベンチで遅い夕食。

Img_1425 ハンバーグを『ほおばる』嘔吐してるわけじゃぁありません

今晩のステーションビバークは俺一人。
 

0時過ぎ、ベンチの側にマットを敷いて寝袋で寝に入る。

しかし、駅の脇を通る野麦街道を走るトラックがうるさい!

更に、駅に新聞を置きに来る車のヘッドライトが眩しい!

つまり、寝れない!

丑三つ時には、雨が降り出した。

 

さて、ここで今回の予定を記して置きましょう。

一日目は上高地から槍沢へ、二日目は槍沢から槍ヶ岳、そして南岳。

三日目に北穂高岳へ行き、涸沢へ下って紅葉とおでんを堪能する。(山ガールなんかも観賞する)

四日目は上高地へ戻りキャンプか、涸沢から奥穂・前穂へ登り岳沢泊で翌朝上高地へ

と、まあこんな予定。

 

話を戻して~、日付変わった10月4日。

夜明け前に目を覚まし、と言うか殆ど寝れていない。

雨はもう止んでいた。

セブンイレブンで朝食を購入、店を出る俺の背に店員さんの『お気をつけて!』の声。

 

何処からか現れた登山者数人と、6時の始発上高地行きバスに乗り込み出発。

いつの間にか寝ていた俺が気が付くと、大正池前。

7時数分に上高地バスターミナルへ到着。

 

天気は、晴れ時々くもり

早速この日のキャンプ予定地、槍沢を目指して歩きだした。

Img_1427か~ぱ、かっぱ、河童のマ~クの 河童橋♪

Img_1429 山ガール発見!涸沢へ行くと言っていた

『山と高原の地図』によるコースタイムは以下

上高地バスターミナル→1:00→明神→1:00→徳沢→1:10→横尾→1:40→槍沢ロッジ→40→槍沢キャンプ地

合計歩行時間5時間30分

 

河童橋から梓川左岸の道を横尾へと歩いていく。

心なしか梓川の水が例年より少ない気がする。

歩き出して10分も経っただろうか、不味い事に気が付いた。

水筒に水を入れ忘れて居る事、コンビニで買った菓子を新島々駅に忘れて来た事だ・・・。

まあ、水は徳沢まで我慢!

 

徳沢で水を補給(水は0円勿論天然水)後を少し歩いていると、何かの気配がする。

上を見上げると・・・

Img_1433 猿!猿!

頭上に猿がいた!

空襲を警戒しつつ、この猿の真下を通過。(遊歩道には緑がかった糞が落ちていた)

因みに徳沢のカツラの木の葉は未だ色付いていなかった。

 

横尾に到着すると、此処はいつもの様に賑やか。

Img_1437  横尾大橋

やはりここで休憩している多くの人は涸沢へ向かう様で、槍沢へ向かう人は少ない。

休憩後、涸沢へと橋を渡る人達を横目に俺は梓川左岸を遡る。

この辺りから少しずつ登りになってくるのは、槍沢・涸沢共に同じだ。

Img_1445

槍沢ロッジに到着してテン場の受付をすます。

一泊500円なり、水は沢から引いている0円。

テン場は山小屋から更に40分登った先にある。

登山道は岩がゴロゴロした斜面だが階段状に整備されており、歩きやすいっちゃ~歩きやすい。

 

11時20分頃、槍沢キャンプ地(ババ平)へ到着。

此処は狭いキャンプ地だが、未だ空いていたので風が避けれそうな場所へテント設営。

Img_1456 左奥が我が別荘

この谷間にはかつて山小屋があったが、雪崩で崩壊。

以後、キャンプ指定地になっている。(冬季は雪崩の巣)

因みに写真奥の尾根は槍ヶ岳の東鎌尾根ある。(流行のオネェ系?)

このテン場の左には梓川が流れている。

梓川の源流はここから暫く登った所なのだ。

 

テントを設営していると50~60歳の男性が直ぐ横にテントを設営しだした・・・

こんなに空いているのに?と一瞬思ったが、それは風が避けられる良い場所だからだろう。

そのおっちゃんと言葉を交わし、親しくなった。

 

おっちゃんのテントの側に、ガスカンとゴミが入ったビニール袋が捨ててあった。

誰かが捨てて行ったらしい。

おっちゃんは『信じられないね』と呆れていた。

誰の仕業か知らないが、その者も北アルプスを美しいと思って来たのだろう。

その美しい場所を汚して帰る自分を、何とも思わないのだろうか?

呆れる。

 

ここで槍沢のテン場について少し

ハッキリ言って俺は、このテン場が好きでは無い。

なので出来る限り通り過ぎる事にしているが、今回は仕方なくここで一泊。

好きじゃない理由は、狭い事とトイレ事情だ。

特に、ここのトイレは今までテント泊した北アルプスのテン場の中でもワーストだと思っている。

混雑時はタンクの水が切れ、汚物が流れない事などしょっちゅう。

鍵は紐をかけるだけだし、勿論男女共有。

例えばこんな事もある。

女性がトイレに入ると汚物が流れず残っていて、用を足しているそのドアの向こうには男性が待っている。

流して外に出ようとしても水が切れていて、流れない。

この後のトイレから出る女性の気持ちを考えると・・・

ちょっと笑っちゃうが、女性には絶対に勧めないテン場である。 笑

無論、臭いも・・・

こんなテン場なので俺だって泊まりたく無いのだが、今回は仕方が無い。

 

午後はテントの中でまったりと小説を読んで過ごした。

(今回の山旅は基本的に昼食は無し)

夕暮れ前になるとテン場は混みだし、時々小雨が振り出した。

17時過ぎに夕食のフリーズドライのパスタを食べる。

日没後、テントを優しく叩く雨の音が耳に心地よい。

18時過ぎに就寝。

 

 

                                                    つづく

 

~今回の山旅に持って行った装備~

ウエア:速乾Tシャツ×2(バグーハウスとコロンビア)・ストームゴージュハーフパンツ(ファイントラック)

パフォーマンスロングスリーブ(c3fit)・エレメントロングタイツ(c3fti)・メリノウールのソックス×2(モンベル)

化繊のソックス×2(モンベル)・ジオラインM.W.ラウンドネックシャツ (モンベル)・フリース(モンベル)

フリースの手袋とオーバーグローブ(モンベル)・ヘッドバンド(マムート)・バラクラバ(ファイントラック)

レインウエア上下(モンベル)・レイインハット(バグーハウス)下着×4・アルパインダウンジャケット(モンベル)

就寝時用の防寒着(フリースのパンツとユニクロのヒートテックタイツ)・登山靴(スカルパ)

ギア類:ザック75?(グレゴリー)・ステラリッジ1テント(モンベル)・寝袋(U.L.スーパースパイラルダウンハガー♯3モンベル)

シュラフカバー(モンベル)・スリーピングマット180(モンベル)・チタンクッカー・ハイパワーガス(プリムス)

2243バーナー(プリムス)・スポーク(フォークとスプーン)・シリコンのカップ・ライター×2・山と高原の地図

水筒1?・プラティパス3?(キャンプ時用の水筒)・トレッキングポール(ブラックダイアモンド)・コンパス・ナイフ・クリップ付きのLEDライト

腕時計(スント)・デジカメ&予備バッテリー・予備メモリーカード・携帯電話・ウォークマン・小説(新三河物語上巻)

輪ゴム大小数個・安全ピン・テーピング・靴紐×2・絆創膏数個・痛み止め・下痢止め・酔い止め

総合ビタミン剤・アミノバイタルプロ×5・行動食(ドライマンゴー・かむかむ・カロリーメイト×2袋・カルパス)

ポカリスエットの粉末×3・食料7食分・抹茶ラテ5パック・ゴアテックスのスタッフバッグ大小・メッシュのスタッフバッグ

ジッパー付きのビニール袋各種(ゴミ袋等に)・筆記用具・トイレットペーパー・ポケットティッシュ(水溶性)

ウエットティッシュ・サングラス・文庫本(新三河物語上巻)・・・・

他にも持っていった物がきっとあると思う・・・が、めんど臭いので以上!