「寺町」 という地名に懐かしさを感じるのは私だけであろうか。 職場がある広島市中区にも寺町という町がある。
市内中心部にある広島城から1Kmほどに位置する同町は、 その名の通り寺院が立ち並ぶ。 残念なことに、 同町は原爆の被害で現在は区画整備されているものの、 大通りから一本中へ入ると、 和歌山市吹上の寺町と似た風景が広がる。
寺町という地名は全国に存在する。 東は宮城から西は福岡まで、 約15地域にあるが、 一つの規則性がある。 それは、 かつて城下町として栄えた街に存在するということだ。 和歌山市の場合、 城南エリアからの敵攻めの際の盾にするため、 寺院を1カ所に集めた。 今の真砂浄水場も、 かつては寺院であり、 東西に広がる寺町一帯は城を守るべくして形成された。 広島市も同様の理由であるという。
筆者は和歌山市吹上地区の出身。 通勤途中、広島の寺町を目にすると、 ふと故郷の風景が目に浮かぶ。 徳川家ゆかりの報恩寺、 番町皿屋敷のお菊さんを供養した地蔵菩薩がある窓誉寺、 首大仏がある無量光寺。 歴史あふれる故郷が懐かしく感じられた。
【写真】 和歌山市寺町周辺
あと2週間もすれば桜が開花する。 暖かい日差しの下、 歴史あふれる城まちを散策したくなった。
(次田 尚弘)