内容紹介
信号もなくバスも通らず、島人はみんな顔見知り……
周囲10キロにも満たない「小島」は、まさに一つの国、一つの小宇宙。
今度の週末は、そんな小島へ行ってみてはどうだろう。
せっかくだから1泊して、「海に浮かぶ異空間」を存分に味わえば、
きっと、海外旅行にも負けない驚きと発見があるはず。
「小島」という名の非日常へ、いざ出発!
小島」という名の非日常へ、いざ出発!
「四方を海に囲まれた、周囲10キロにも満たない小さな島が、日本にはたくさんある。信号もなくバスも通らず、島人同士は全員が顔見知り。それはまさにひとつの国、ひとつの小宇宙。日帰りでも歩けるけれど、せっかくだから一晩泊まって〈海に浮かぶ異空間〉の空気を存分に味わおう」──雑誌『島へ。』連載「小島の旅1泊2日」冒頭文より
日本には400以上、人が住む島がある。そして島が小さいほど「島ならでは」の空気は濃くなる──もちろん例外もあるが、島旅を重ねるほどに僕はそう感じていた。島が小さいほど車が必要なくなり、急いで移動することもなく、まして信号もいらなくなる。必然的に住む人の数は少なく、集落の規模や数も縮小して、生活する社会の輪は小さく閉じる。それはいつしか「大陸」の街とは違う、その島だけの独自の世界を作り上げる。
その島独特の風習があり、特有の言葉があり、そこでしか見られない祭りがある。島特産の食材を使い、島でしか食べられない料理が生まれ……それらはやがて「その島ならでは」の空気を醸していく。
そして島の中にいる限り、移動できる距離は限られているから、人々は急がない。それが心に余裕を生む。空は広く海は青く、海で獲れる贅沢な食材が当たり前のように食卓に並び、そんな自然の恵みが人々の心を豊かにする。だから時間を忘れてノンビリゆったり。道行く人と普通に挨拶を交わし、壮大な夕焼けと共に1日を終えて──島の「当たり前」の一つひとつが、都会から来た旅人にはたまらなく心地よい。
僕らはなぜ旅をするのか?それは日常とは違う異文化に身を置いて、日ごろの煩わしいことを忘れたいから。より日常とかけ離れた異文化を求めて、僕らはついつい遠出──海外に行ったりするけれど、「小島」にはそれに匹敵する驚きと発見があると、僕は思う。
本書で紹介する小島はお泊まり付21、プラス日帰りで歩いた小島が5つ、その全てが周囲10キロ以下。島は朝昼晩で表情が違うから、宿がある島を選び、実際に1泊することにこだわってみた。但し島の「ある1日」にさりげなく紛れ込んで、そこで見て聞いたことを徒然なるままに書き留めただけなので、正直それほどドラマチックな出来事は本書には登場しない。ただ島ごとに微妙に違う非日常の空気感を、誌上旅行で楽しんでいただければ幸いである。
そして21の島々、一見何の脈絡もない順番で並んでいるようだが、実は周囲のキロ数が長い順に並べている。読み進むほどに島が小さくなり、その雰囲気もディープになる……かどうかはわからないけれど、それでは皆さんを小さな島のお泊まり旅へ、ご案内──。(まえがき)より
著者について
1965年北海道生まれ。紀行ライター。
早稲田大学卒業後、読売新聞社、女性誌「SAY」編集、情報誌「オズマガジン」増刊編集長を経て、2002年よりフリー。沖縄、島を中心に、日本全国スローな旅を重ねて、単行本、雑誌で紀行文やエッセイを執筆中。最近は年に2、3回のペースでトークイベントにも出演し、噛みまくりのトークを披露している。175cm、101kgの巨体で、カメラ片手に全国どこにでも出没中!
著書『旅の雑学ノート 沖縄24時間』(ダイヤモンド社)、『沖縄へこみ旅』(交通新聞社)、『沖縄自転車!』『オキナワ宿の夜はふけて』『沖縄の島へ全部行ってみたサー!』『島めぐりフェリーでいこう!』(東京書籍)など。
雑誌「Caralway」(JTA機内誌)、「島へ。」(海風舎)などで連載中。
「情報」の無い小島に行きたい。この土日、鬱状態の僕。