旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

桜みくじと昭和な暮らしとおつかれちゃん鳥万と 東急多摩川線を完乗!

2025-02-02 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

多摩川駅の地下ホームから這い出てきたのは「いけたまハッピートレイン」の3両編成。
池上線のラインカラー「ピンク」と、多摩川線の「えんじ」を大小さまざまな水玉模様で表現して、
「見るだけでワクワクしハッピーになってほしい」という願いをこめてのデザインだそうだ。

振り返ると小高い丘があって、木花咲耶姫命をお祀りする多摩川浅間神社が鎮座する。
初詣の時季を経て「桜みくじ」を結ぶくるまが、それこそ満開の桜のように華やかになっている。

この神社は多摩川を見下ろし、丹沢の山々から富士山まで見渡すことができる。
最近では映画「シン・ゴジラ」で、ゴジラの首都侵略を阻止する多摩川絶対防衛ラインを守る
「タバ作戦」の自衛隊前衛指揮所が置かれたという。ある意味ここはゴジラの聖地でもある。

東急多摩川線の短い旅は多摩川駅の地下ホームから始まる。
かつて目蒲線として親しまれた路線は、東京メトロとの直通運転と東横線複々線化事業により
目黒線と多摩川線に分断された。そしてこの駅では多摩川線だけ地下でひとりぼっちなのだ。

多摩川駅を発った電車はまず沼部駅に停車する。どのみち短い旅だからと降りてしまう。
古いレールと木材を組み合わせたホームの柱、屋根、壁は、東京に居ながらにして、ローカル線の旅情を醸す。

沼部駅のすぐ先では、東海道新幹線が多摩川線を跨ぎ、その勢いで多摩川を越えていく。
駅から高台への坂道を登る。さらに東海道新幹線を越えるのが美富士橋、きっと富士見の名所なのだろう。
のぞみ号の赤いテールランプが次から次に西へと流れて行く。

Googieマップの青い光点を眺めていたら、面白そうなのを見つけた。
下丸子駅から歩いて7〜8分「昭和のくらし博物館」は週末だけ開館している。
昭和26年建築の庶民の住宅(旧小泉家住宅)を家財道具ごと保存した小さな博物館がおもしろい。

狭い台所、ちゃぶ台、コタツ、子ども部屋、ボクの世代には共感できるものがある。
鏡台とか足踏みミシンとか、たぶん母親の嫁入り道具だと思うけれど、我が家にもあったなぁ。

先を急ごう。多摩川線は古参(といってもアラフォーだが)の1000系を中心に運用している。
赤のライン、緑のライン、ピンク×エンジ、と化粧のパターンがいくつかあって、華やかだ。
そして流線型の7000系が変化球として投げ込まれる。撮り鉄を目的とするなら、面白い路線だと思う。

木造モルタルでトタン屋根、隣接する踏切がカンカン鳴って、野口五郎の「私鉄沿線」というか
そんな昭和な駅舎を、まだ低空飛行の冬の陽が陰影をつくってノスタルジーを強調する。

規模の大小はあるけれど、どの駅に降りても商店街がある。
武蔵新田駅を降りて周囲をうろうろしていたら、珍しい量り売りの酒屋を見つけた。
店内にタンクを置いて生原酒を提供している。オリジナルボトルも用意して、なかなか楽しいお店だ。

すっかり陽は落ちた。
グリーンを引いた1000系車両は、緩やかなカーブで環八を越えると、ラスト1000mの直線を駆ける。
さらに左から池上線の複線が近づいて来て、頭端式ホームの蒲田駅に並んでゴールテープを切るのだ。

蒲田駅は東急プラザの2階にホームを持っていて駅舎としての姿はない。
それでもビルの1階部分をアーチ状にして、ターミナル感を演出しているセンスが良いね。

一番街すずらん通りに紛れ込んで、老舗の大衆酒場を訪ねる。
ボクの前に6名グループの席待ち、この時間じゃ入れないよ、この手のお店。
それに男性陣はノリノリだけど、女の子2人は「もっとキレイなお店の方が•••」言いたげ出し。
それでは、おひとり様なので、先に行かせてもらいます。お言葉に甘えて。

冷えた “スーパードライ” をグラスに注ぐ。大瓶が490円也、この値段はこの店の看板でもある。
白板に好物の “まぐろぶつ” を見つけたから、アテはこれから始めよう。

御同輩がずらりと並んだカウンター、一人ひとりのテリトリーは網のようなモノで狭く仕切られて、
まるで養鶏場のトリの様にして呑んでいる自分が笑える。
ずらっと貼られた短冊は、どれも300〜400円台と何を択んでも財布には優しい。

次なる一品は “なすみそ炒め”、味の濃ぉい一品だから2杯目はサッパリと “レモンサワー” を注文。
別に “カットレモン” を求めてジョッキーに沈める。こうでないと決まりが悪い。
店員さんに愛想はないけれど、ジョッキーの『おつかれちゃん』には癒されるなぁ。

ちょっと呑み足りずに3杯目の “ウイスキーハイボール” を。ここのはブラックニッカ。
もう一品は “厚揚煮おろし”、また濃口を択んじゃったけど、ハイボールとは案外いい相性だと思う。

ここまでの会計は小2枚、せんべろとは言えないけれど、なかなかのコストパフォーマンスだ。
始めてしまった2巡目の東急電鉄線の呑み鉄旅。
お洒落な街々を繋ぐイメージの東急線だけど、蒲田、大井町、五反田などディープな街も控えている。
どんな店の暖簾をくぐるのか、楽しみな数ヶ月ではある。ごちそうさまです。

東急多摩川線 多摩川〜蒲田 5.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
Romanticが止まらない / C-C-B 1985



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2 コメント

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Unknown (馬鹿も一心)
2025-02-02 19:56:31
私は小学生の頃
目蒲線鵜の木に住んでました。
初恋の多摩川園前駅
改札口の想い出

https://blog.goo.ne.jp/kikuchimasaji/e/c5b4fac680f7e368034bbc24519433a9
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馬鹿も一心さま (呑み人)
2025-02-04 23:51:37
そうですか鵜の木にお住まいでしたか。
2/1投稿の冒頭部分も、あのあたりの多摩川土手でしょうか。
昭和30年代?の夕陽は、対岸の高層マンション群がない分、よく見えたのでしょうね。
甘酸っぱい思い出いいですね。
コメント、ありがとうございました。
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