冬の澄んだ空気をガタンガタンと震わせて、オレンジのラインをひいた気動車が木曽川橋りょうを渡る。
この辺りの木曽川は今渡ダム湖になっていて、鏡のような水面に逆さまになったもう1編成が走っていく。
中山道の難所太田の渡しを控え、飛騨街道と郡上街道の分岐点でもあった太田宿は賑わったという。
今でも脇本陣林家住宅や本陣門を残し、旧街道沿いは宿並の面影を見ることができる。
吞み人はと云えば、宿並の中に白壁黒塀の御代櫻醸造を訪ね、今日の車中酒に純米吟醸酒を仕込むのだ。
鉄路が十字に交わる美濃太田駅、時代が変わっても太田は交通の要衝であることに違いはない。
飛騨街道は高山本線が、郡上街道は長良川鉄道(旧越美南線)が、そして中山道に沿うのは太多線(たいたせん)だ。
4番線にJR東海特有のオレンジのラインをひいた2両編成が入ってきた。
この時間帯の太多線は大抵高山本線を岐阜から走ってくる。県都岐阜と東濃地方を直結する訳だ。
美濃太田13:24発、3630Cが走り出すと、太多線はまもなく高山本線と左右に分かれ往く。
ひとつめの美濃川合駅を出発すると、2両編成の気道車はガタンガタンとガーダー橋を鳴らして木曽川を渡る。
太多線は30分ほどの短い旅だから、早速 "純米吟醸あさひの夢" のスクリューキャップを切る。
清流のごとき淡麗な酒だ。田園風景が長閑な駅は「姫」、女の子の七五三のスナップ写真によさそうだね。
300mlを飲み切らないうちに、右手は名古屋から延びてきた中央本線と合流し、太多線の旅はあっけなく終わる。
さて多治見駅前の「ロマンス食堂」には午後2時からご同輩が集まってくる。
先ずはこの店の名物という凍ったレモンがゴロゴロ入った "エクストラコールドレモンサワー" から始める。
アテには "温玉ポテトサラダ" を。これ、たこ焼きソース?がかかって意外と美味しい。
そして岐阜ケンミンのソールフード "鶏ちゃん焼き"、こだわりの味噌をベースにニンニクが効いて美味い。
地酒は瑞浪の "小左衛門"、信州産の美山錦を醸した特別純米のなめらかな味わいとキレの良さを愉しむ。
小一時間で酒場を辞したら、暮れかかる多治見駅から名古屋行きの快速に飛び乗る。
青春18きっぷの旅だから、東京駅に辿りつくのは日付が変わるころ。これから先が長いのだ。
太多線 美濃太田~多治見 17.8km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
スローなブギにしてくれ / 南 佳孝 1981
「けいちゃん焼き」は下呂と名古屋でしか食べたことがないです~
明智鉄道、いつの日にかお願いします~
中山道を歩いた何年か前、
早朝の馬籠宿から見た恵那山が印象的でした。
大正ロマンの明智も興味深いです。