都心から電車で僅か45分、四季折々の大自然を求めて、たくさんの人が高尾山を目指す。
世界有数の登山客数を誇るこの山への主要なアクセスは京王高尾線、この休日は高尾山で呑む。
本線の京王線はこの先ひと駅で終点となるのに対して、高尾線は北野駅で分岐すると約9キロの山登り。
築堤と切り通しをを繋いで、8000系はS字を描きながら、最大35‰の勾配をグイグイと登る。
高尾駅を出ると2つのトンネルを潜って14分、あっという間と言ってしまえばそれまでの高尾線の旅。
単線から別れた2本の線路は、高尾山の中腹に行手を遮られて、もうこれ以上登れそうにない。
とろろ蕎麦で一杯の誘惑を断ち切って、情緒のある商店街を抜けると、正面に清滝駅が見えてくる。
ここからは高尾登山電鉄のケーブルカーが、標高472mの山上駅までわずか6分で運んでくれる。
迎えに来てくれたのは黄色のボディーに若葉の帯を巻いた「あおば号」だ。
高尾山ケーブルカーの最急勾配は608‰、日本の鉄道の中において最大なのだそうだ。
そり返るように勾配がきつくなっていくから、トンネルの向こうに山麓駅(清滝駅)は見えない。
淡い冬の陽光を浴びて、まだ残っていた紅葉がキラキラと煌めく。
入れ違いに山を下りていく「もみじ号」が纏う橙の帯が風景に溶け込んでいくようだ。
ここまで来たからには高尾山薬王院に詣でる。
浄心門から男坂の階段を上って山門、っと御本尊・飯縄大権現の随身 天狗様2体が睨みを利かしている。
御護摩祈祷が聞こえる御本堂の脇からさらに登ると、朱に彩られた御本社が美しい。
もう少し標高を欲張ると、やがて標高599m、高尾山頂に辿り着く。遠く聳える高層ビル群は横浜になる。
今日は「ダイヤモンド富士」が見れるから、多くのハイカーが山頂で粘っている。
あらっ空は青空なのにパラパラと冷たい雨があたってきた。これだから山は侮れない。
さてっと人混みを抜け出して、ケーブルカー駅近くまで戻ったボクは一軒の茶屋に入る。
寒いんだけど薄っすらと汗をかいた身体に、キリンラガー633の苦味が沁みる。
“みそおでん” の甘い味噌ダレと案外合うから面白い。
もう一皿は、わらび、蕗のとう、竹の子を並べて “山菜盛り合わせ”、これは本格的で日本酒を誘う。
さて下地はできた。この後、高尾山口でとろろ蕎麦で一杯やろうか、新宿で酒場の暖簾をくぐろうか、
大いに思案しながら下りの「もみじ号」に乗車するのだ。
京王高尾線 北野~高尾山口 8.6km 完乗
高尾登山電鉄 清滝~高尾山 1.0km 完乗
京王高尾線 北野~高尾山口 8.6km 完乗
高尾登山電鉄 清滝~高尾山 1.0km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
LA VIE EN ROSE / 吉川晃司 1984